「どんな術式を遣うのか想像もつかんからな。どんな男だった」
 ダン・バルダンは背中に5本の杖を背負った姿を思い出した。
「針ネズミのような格好でしたな。背中にこう」
 ダン・バルダンは身を屈めて背中の辺りを指で示した。
「杖を何本か背負っておりました」
「杖使いか」
 レイモンドは腕組みをしたままだ。
「間合いの遠い男です。弓矢の届かぬ山の上から火を放たれました」
「杖を遣うなら接近戦でも手強いだろう」
「それに手練れの剣士がついておりました」
「若かったか」
「20にも満たないかと」
 ひとしきりやりとりをし、ダン・バルダンはレイモンドの前を辞した。生き残りが点々と城に帰っているという。
 自分が出迎えてやるべきだ。ダン・バルダンはそう考えていた。