待人-15th-邂逅・刹那・クリスマス・大学受験・勉強法・クラッチバッグ | 大学受験デイズ-GIFT-

待人-15th-邂逅・刹那・クリスマス・大学受験・勉強法・クラッチバッグ

12月も半ばに入り、センターまで1か月ちょっとになっていた。
この時期にしていたことは、マークタイプの問題を解き続け、実際に行われる入試の時間よりも10分短く設定して過去問を解き続けていた。


英語の場合、先に文法問題で完問を狙いその次に後半の長文へと移行する。
後半の長文は配点比率が高く、内容を把握していれば取りこぼさずに内容把握では満点を狙う。
その長文では指示語と接続詞に注意をした。
単純な一例だが、「○○,but△△」だと主張している内容に変化が出ている。
そのため、こうした接続詞による変化後の内容に線を引いてすぐに見つけられるようにした。

英文法はIQ型の問題ではなく暗記型の色合いが強い。
並び変え問題のケースでは前置詞が混ざり、正しく並び変える順番がヒネられていることもある。
基本的な解答までの道筋は、その問題において核となる熟語・構文・文法があるので、それを見つけることだった。


センター現代文を解く時、そして本番の試験対策のために、選択肢から速く正解を選びやすくするためのテクニックを使っていた。現代文は最高で70近い偏差値が出たこともあった。

まず、明らかに異なる選択肢においては×をつけた後、Z(アルファベットのゼット)をその上につけた。
これは5つの選択肢の中、不正解である残りの4つの比較検討をしやすくするためのものだ。
もちろん選択においてその根拠を本文から射抜くことは言うまでもない。
明らかに異なる選択肢を早めに除外するため、正解を探すためのスピードを確保しやすかった。


政治経済は、同じ問題集を解き続けた。
知識の体系をそれまでの時期にずっと入れ続けていたため、それをマーク型に対応して引き出す作業をする。
正解となるキーワードが選択肢の中に含まれているものの、単純に暗記一発型ではない。

結局のところ、マーク形式でもIQ型問題との組み合わせがなされていることがほとんどだと感じた。



24日の約束の日、僕達は地方都市の駅前にあるツリーで13時に待ち合わせることになっていた。

この日の朝は早くに目が覚める。なんだか落ち着かなくて一階に降りて埃をかぶったプレステを起動した。
どうもこういう日は慣れない。会っている時は普通に話せるのに、そこに行くまでの間に妙な行動を取ってしまう…
今だって武者震いをしながら、武将のゲームをする自分がいた。シンクロしすぎだろ。


午前中にメール受信の音が鳴る。

この着信音は、志望大学生 からだ。
彼からは雪で覆われた風景の写メが届いた。文章はひとつもない。
地元の写真であろうか。
僕の地元ではクリスマスに雪が降らない。そう知っていたから送ってくれたのだろう。
言葉がなくても気持ちは伝わった。

メールを保護して、12時に家を出る。


太陽は高く、風だけが速い。空には大きな鷲が飛んでいた。

あの鳥も遥か向こうの目的地を目指していて飛んでいるのだろうか。



30分前に飾り付けられたツリーの下に着く。多くの人がここで誰かと待ち合わせていた。
待っている間、過ぎゆく人達を見る。

幾人もの人が何処かへと向かい、同時にその景色が流れ過ぎていく。
以前の渋谷でもこの感覚を感じていた。
刹那的な時間の中に、一瞬の邂逅がある。

隣の人に待ち人が現れては消えていく中、向こう側から白い服を着た彼女が現れた。


『その日その日が一年中の最善の日である。』
エマソン