-7th-・フレームワーク・テクニック・RSI・合格得点・マーク型・設問・解答・勉強法・大学受験
模擬試験まで、毎日とても高い集中力で勉強が続けられた。時間も伸びてきている。
ただ、単純に勉強時間を増やせばいいとは思わなかったし思えなかった。
周りからは「今日は12時間勉強した。」「参考書を2日で終わらせた」といった声が聞こえてきたが、主観と客観とIQ型問題が混ざった場合、一概に時間量で測ることはできないのではないかと思う。
単純に、「本番で解ける力」が欲しかった。
「本番で得点するために問題を解く」ということを、論理立てて分析してみた。
また起こりえる組み合わせを検証する。
これはフレームワークという考え方らしい。
当時そんな名称自体は知らず、ずっと後になってから外資系企業の試験を突破した友人に教えてもらった。
フレームワークは奥が深くとても役に立った。理由は、全体像を掴めば、ごちゃごちゃしていても整理して考えることができるし新しい発見もある。
まず本番で解けるということは何を意味するのか。
それには本番の定義をする必要がある。
本番とは、言うまでもなく本番の試験。すなわち入学試験である。
入学試験には大きく分けて合格と不合格があり、それを決定するのは得点である。
一般的にその得点は各設問に正解していた場合に加算され、不正解の場合は加算されない。つまり得点を多く手に入れる必要がある。
さらにその入学試験には制限時間が設けられており、それは参加者全員に同じ条件として課せられている。
設問の特徴として、筆記型とマーク型があり、センター試験や多くの私立大学の場合マーク型が多い。また設問自体、予測することはできても、予め答えを知っておくことはルール上不可能である。それでは設問どころか試験の存在意義がなくなるためだ。
つまり初めて見た設問でも解けるようにしていなければならない。そしてそれは以前の日記にも書いたように、暗記を一発で当てはめる訓練とは異なるトレーニングであると考えた。
結果として、合格するためには設問を多く正解し、得点を積んでいく必要がある。そのために「その場で正解を導く力」が要求されている。
そのファクターがなければいかなる方法を用いても合格することは論理的には不可能である。ということは、その力を普段から訓練しておくことが合格に近づくためには絶対に必要な力であり、かけた時間に対してのリターンも非常に高いはずである。
当たり前と言えば当たり前なのだが、あくまで分析をしてみることで「考えて」問題に対処したかった。
論理性がここまでの流れの中に感じていたので、もう一歩考えてみた。
では「その場で問題を解く力」を訓練するためにはどうすればいいのだろうか。
答えとして「本番と同じ状況で同じことをすること」が効果的ではないかと考えた。
つまり練習の段階で解けないものが本番で急に解けるようになるとは考えにくいからだ。
そこまでをそう結論つけて、答えを隠してひたすら問題を解く作業により力を注いだ。
その際に、それを選んだ根拠を探した。根拠を紙に書くなりしてプロセスを極力あぶり出す作業に徹する。そうしないと「何となく」といった感情で解答し、正解を選んでしまう確率が常に存在しているし、それを本番までに持ち越すのは不利だと考えたからだ。
また時間の記録も始めていった。
ただ長さを測るだけでは、時間追及にはじまりに惰性に負けて終わりそうだったので、それはやめた。
一日の時間の使い方を意識して、それを志望大学生のアドバイス通りグラフにしていった。勉強した時間よりも、していない時の時間をはじき出し、改善できる箇所を探した。この作業を彼が手伝ってくれたのでとても助かったし、効果は抜群だった。
やり方として、まず短期的時間軸と長期的時間軸の記録をし、それから平均値を測定する。これを数週間続けてグラフにするのだが、線グラフにしたときにおもしろいことに気がついた。
頑張っている時は、短い時間軸の線が、長い時間軸の線を下から突き上げるようにクロスする。
そして調子が悪い時は、短い時間軸の線が長い時間軸の線を上から下にクロスする。これは見ていてとても視覚的にも効果があった。
偶然にも類似したグラフをインターネットの株式チャートで見つけた。
それはテクニカル分析というアプローチのサインであり、移動平均線というものらしい。そしてこれらのクロスを株ではゴールデンクロスと、デッドクロスと呼ぶ。
僕は調子がいい状態のクロスをゴールデンクロス。
調子が悪い時のクロスをデッドクロス。
こう覚えて、勉強以外の時間を少しづつ短縮化していった。
他にも無数のテクニカル分析が存在していた。実際に使っていたおもしろいものを紹介したい。
その一つにRSI
と呼ばれるものがある。
これは加熱率・冷却率を表すサインらしく(厳密には少し異なる)当時の僕は(よし、今日は高いモチベーションで勉強したからRSIは80%だ)と記録し、(今日はかなりスランプ気味でやる気が起きにくいなぁ)という日はRSIは20%と書いた。
これを一日ごとに記入していった。
不思議なことにRSIが高い状態のまま何日も継続することはあまりなく、むしろあるときに必ずと言っていいほど下がる日があった。
これの効果的な点は、事前にある程度モチベーションが下がる日が予測できるのだ。
それによって、ペース配分が調整できたり、下がるとわかっているからこそ暗記科目に徹するなど
かなり臨機応変に対応ができて、凄いものを見つけてこっそり喜んでいた。
投資の世界のテクニカル分析を、勉強に当てはめて考えることはとても面白かった。そして何よりも他の人がやっていないので、すごく楽しんで勉強できた。
模擬試験の日は雨の音で朝7時に目を覚ました。
(花火はやるのかな。)
模試当日の朝に一瞬こう頭をよぎった。でも、今は試験が終わるまではそれに集中しよう。
そして今日の試験が終わったら即行で家に帰って出かける準備をしよう。
雨の中、傘をさして駅まで走った。
『リスクは、自分が何を行っているかを把握していないことに原因がある』

