銭湯が賃貸アパートに変わり、屋台のような飲み屋さんが廃業した。
老夫婦が生活しながら切り盛りしていたお店。
いつもドアは開けっ放しなので、道からお店の中が見える。
住宅地なので、夜は暗闇の中にぽっかりとお店が浮かんでいた。
入ってみたいと思いながら一度も入れず、店が閉まった。
店はやめても、相変わらず店主は開けっ放しで生活している。
仕事がなくなった老夫婦は所在なげに、店のテレビを見ている。
道に背を向け、無防備で、警戒心がまるでない。
表裏のない、どっしりとした人生が垣間見える。一度も会話したことはないけれど。
開けっ放しって、いいよね。
それを言うなら、どの店だって開けっ放しなのだけれど、老店主の開けっ放しとは訳が違う。
新しくできる店舗には、機械的な応対しかできない店員さんが多い。
マニュアル化やシステム化されているのだからしょうがないけど。
少しは人間らしいところをみせてくださいよ。
猥雑さはどんどん減って、小綺麗で小器用さばかりが増えていく。
街はぐるぐると変貌している。
変貌しているのは、自分なのかもしれないけれど。
少し休んだら、また元気を出そう。