トイレに入った僕は個室に入って深く深呼吸した。
..何を戸惑ってるんだろう?あれは夢なのに...
けどすごくリアルだった。
はねられた時もすごい体中が痛かった感触もあったり、
夢ってそんなもんかな?
一人、考えていた時そこに誰かが入ってきた。
「お疲れ....」
「お疲れです」
大野の知らない人たちだった。
他の番組のスタッフかなと思ってじっと座っていたら、個室の外で会話が聞こえた。
「ーーそれにしてもあの話聞いた?」
「え?なんすか?」
「....あの嵐さんが脱退するんじゃないかって話。」
「ーーえ?!そうなんですか!?」
「おま、声でけーよ。」
「す、すいません....でもほんとなんですかね?別に仲悪くないと思いますけど。」
「さぁ、どうなんだろうな。嵐さんは俺らにも優しいからなんかショックだなぁ」
その二人はそう言ってトイレから出ていった。
そんな話を一枚のドアを隔ててしっかりと聞いてしまった僕は頭がパニックになった。
え......脱退?!..僕らが?
そんなのありえないよ...だってそんな話一度も.........
僕は記憶を遡っていたら何故かこの話がどこかで聞いたことのある話なのを思い出した。
どこで聞いたんだっけ.....
必死に頭をフル回転して考えると徐々に思い出してきた。
あ、そうだ。前もトイレだった気がする.....
けど"あれ?"と思った。
同じような場面が前と全く一緒なのを不自然に思う。
なんか、まるで"デジャブ"のような................
もしかして正夢?
僕はハッとした。
正夢で思い出した。......これ、初めてじゃない。
前に一度同じようなことが起きて...それで......
僕は怖くなって手と足が震えた。
これって、"夢"と同じことが起きてる?
え、それじゃあ...僕は人を殺し............
そう思った時あの時の場面がフラッシュバックした。
包丁で....包丁で....
僕が円藤さんをーーーーー........
「......ーー!!はぁはぁはぁ.....」
僕は、あの事を思い出して動悸がした。
心臓がバクバクして
夢なのに、夢なのに、
どうして鮮明なんだろう.....
それは、今から起きる前触れ的なものだから?
嫌だ。もうあんな夢見たくない。。
大野は頭を上げ立ちあがった。
僕が止めなきゃ。
あれを夢のまま終わらすんだ。
けど、僕は、何をしたんだろう?
夢のことを遡っても肝心な方法はなにも思い浮かばなくて、
思い出すのはあの場面ばっかり、
なんで夢って断片的しか覚えてないんだろう...
せめて記憶機能みたいなのがあったら.........
ーー考えていても始まらない。
一番、可能性があるならそれは『円藤さん』だ。
円藤さんが何か知っているのかもしれない....
円藤さんに聞いてみれば何かわかるかも.....
僕は、トイレから出て嵐の楽屋に戻った。
先のことは全く覚えはないけど、
今止めれば間に合うかもしれない。
嵐が脱退なんかさせない。
嵐をバラバラにさせたくない。
僕が......嵐のリーダーとして嵐を守るんだーーーー。。
僕が急いで楽屋に戻ると、
「はぁはぁ.....はぁはぁ....」
「どうした?そんな息切れして、まだ大丈夫だよ?」
「あ....相葉ちゃん.....あの.....」
キョロキョロ辺りを見渡すも円藤さんの姿はない。
「ねぇ.....円藤さんは?」
「円藤さん?...さぁ?スタジオの方じゃない?」
相葉が最後まで言い終わる前に大野はまた慌てて楽屋を出ようとする。
そんな大野を見て4人は、不自然に思い、「リーダー!」と止めた。
メンバーの声に呼ばれてバッと振り返ると四人は大野の顔を見て一歩引いた。
「り、リーダー...どうした?顔、怖いぞ?」
大野は鏡の方を向いて自分の顔をよく見ると、
冷や汗をかいて眉間に皺を寄せて強張った表情だった。
.....こんなの、アイドルじゃないよ。。
両手をグーにしてグリグリ頬を動かした。
へらっと笑ってメンバー側に振り返る。
「ーーどう?」
4人は、「え!?」と驚きながらも「だ、大丈夫じゃない?」と顔を引きつりながら言った。
そして急いで楽屋を出て行った。
機敏な大野を見て4人はお互いを見てキョトンとした。
「....リーダー、今日、おかしくない?」
「なんかいつもよりテキパキしてたよね?」
「なんかあったのかな?」
「もしかしたらさっきの円藤さんに対する態度とか反省して謝りに行ったんじゃない?」
「....そうかな?」
4人には大野の行動が深い意味とは全く分からなかった。
.「そのうちいつものリーダーに戻ってるって」
「ーーそうだね!」