人間革命 第10巻 一念
46ページ
山本伸一の、億劫の辛労を尽くした祈りある一念は、この夜、関西の幹部の一念を一変させるに十分であった。
「どうか皆さん、皆さんを信頼している会員の一人ひとりを大切にしてください。末法において、仮にも御本尊を受持し、唱題する人びとは、誰であれ日蓮大聖人の尊い子どもです。絶対に粗末にしてはなりません。
どうか、会員の一人ひとりに、直接、会って、よく話を聞いてあげ、今の悩み深い境涯から、信心によって必ず脱出できることを、真心込めて懇切に話してあげてください。
ともかく、自分も信心に奮い立ち、人にも信心を奮い立たせることが、一切の肝要であることを教えてください。
私は、今日の昼間、何十人という人にお目にかかり、私として精いっぱいの指導をしました。今、関西の会員は指導を求めているといってよいでしょう。
戦う基盤といっても、学会といっても、広宣流布といっても、一人ひとりの会員が、すべての原点です。今、皆さん方は、乾いた土が水を吸うように、真剣に聞いてくれました。皆さんもまず、私と同じことを、広い関西の広野でやってください。これがなければ、一切の勝利はあり得ません。
決して焦ることはない。来る七月の戦いのことなど話す必要は、いささかもありません。皆さんは、関西の指導者として、一人の会員も漏らさず、懇切に指導することを、今は、お願いしておきます」
「それから、もう一言申し上げます。近く教学部の任用試験がありますが、候補生の人たちが、勉強して、全員、合格するように心を配ってください。その心の配り方が、立派な信心指導であるからであります。
それから先のことは、すべて私の胸のなかにあります。不可能を可能にするといっても、奇想天外な手段があるというのでは、さらさらありません。着々とした過つことのない実践の積み重ねが大切なのです。
ともかく、油断のない持続の実践が大切です。祈りを込めて、この実践を、ただただ貫き通していくことです。
私は、皆さんを心から尊敬し、信頼しております。生意気に響くかもしれませんが、私は、関西の人たちが大好きですし、かわいい。
それが、もしも、このたびの戦いが成就できなかったら、関西の純真な皆さんの悲嘆はいかばかりか。それを考えると、私の胸は張り裂けるような思いに駆られます。
しかし、必ず勝ってみせる! この決意は、絶対に変わりません。ただただ、皆さん方のために勝ちます!