唱法華題目抄

 文応元年(ʼ60)5月28日 39歳

 問うて云わく、始めに智者の御物語とて申しつるは、詮ずるところ、後世のことの疑わしき故に善悪を申して承らんためなり。彼の義等は恐ろしきことにあるにこそ侍るなれ。一文不通の我らがごとくなる者は、いかにしてか法華経に信をとり候べき。また心ねをば、いかように思い定め侍らん。
 答えて云わく、この身の申すことをも一定とおぼしめさるまじきにや。その故は、かように申すも天魔波旬・悪鬼等の身に入って人の善き法門を破りやすらんとおぼしめされ候わん。一切は賢きが智者にて侍るにや。



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