前回は私がシンナーを使いだした時の話を書きました。
今回はいよいよ覚せい剤と出会って使用しだすまでの事を書こうと思います。
※リアリティを優先してその時のありのままを書きます。断薬に励んでいる方や、そういう話がトリガーになってしまいそうな方は閲覧を控えて頂けると助かります。
クリーンな日々
20歳間近でシンナー依存からいとも簡単に抜け出した私。
正直、使わなくても全然平気だったしその後1度だけ誘われてシンナーを吸ってみたものの、過去のような高揚感を得ることはできずすぐに吸うのをやめてしまったほど、シンナーに対する執着は消えていました。
しばらく薬物とは縁遠い普通の生活を送ることができていました。
当時付き合っていた彼女が実家に転がり込んできたこともあり、半同棲のような生活をしながら真面目に仕事に励んでいました。
その当時、すでにスロットにはまり借金もあり、金銭的に余裕があった訳じゃないけど実家暮らしということもあり人生が切羽詰まるようなこともなく毎日を幸せに過ごしていました。
運命の日
覚せい剤と出会ったのは彼女と同棲を初めて2年ほど経った頃でした。
スロットに投資するための金を稼ぐため、休みを削り毎日遅くまで残業し、そのせいで彼女のことを放ったらかしにしていたことが原因でついに彼女が家を出ていってしまいました。
年末年始の連休に入ってすぐのことでした。
当時の私には根拠の無い自信があり、また直ぐに戻ってきて仲乗りできるだろうと久しぶりの1人の連休を謳歌しようと自由な連休を楽しんでいました。
あれは、正月休みの最終日だったと思います。
当時一緒に仕事をしていた同級生から電話がかかってきました。
ちょっと付き合って欲しい。
小学校からの同級生で、少年時代は一緒にシンナーも吸った悪友でした。
しかし、20歳を過ぎお互いにシンナーもやめて毎日ふたりで一緒に仕事をするほど気心の知れた人間でした。
目的は聞かされませんでした。
私の車で彼を迎えに行き、車を20分ほど走らせました。
案内されてとある牛丼屋の駐車場に車を停車させました。
しばらく待っていると、型落ちのTOYOTAのセダンがやって来ました。
運転席には国籍不明の屈強な男が乗っていました。
ちょっとまってて、と友人はその車に乗り込みどこかへ行ってしまいました。
3.4分して戻ってきて友人は男と笑顔で挨拶すると私の車に再度乗り込み、近くの人気のない場所へと私を連れていかれました。
そこで私が見せられたのは、小さなポチ袋に入った結晶と、病院でしか見たことの無い注射器でした。
それが私と覚せい剤の初めての出会いでした。
私は初めて覚せい剤を使用することに躊躇はありませんでした。
シンナーと覚せい剤の境界線がまったく無くなっていました。
どちらも同じ薬物だしあれだけやめられなかったシンナーだって辞めることができた。
そんな根拠のない自身と、新しく目の前に現れた薬物への興味で超えてはならない一線を一気に超えてしまったのです。
当時の相場は0.4gで1万円、薬物初心者のふたりが使ってもおつりがくるくらいの量でした。
名刺を縦に折り曲げ、そこにポチ袋の上からライターで砕いて粉末状にした覚せい剤を乗せ、溢れないよう細心の注意を払って流し込む。
溶かす水はコンビニで買ったボルヴィックでした。
ヴォルビックの蓋に水を入れ、栓をした注射器の先端を入れ水を引く、水の中にで覚せい剤の結晶が泳ぐように舞うそれを溶かすように手首をスナップさせて振り、最後に気泡一つ残らないように慎重に空気を抜いていよいよ血管に入れるだけになった。
腕に充電器のコードを巻き付け拳を強く握ると、太い血管が浮かびありました。
自分で注射器を使うことに慣れていない私に友人は注射をしてくれました。
血管に刺さる注射器の房を引き抜くと一気に私の血が吸い込まれていきその棒が元の位置まで戻った瞬間、私の体内に覚せい剤が一気に浸透していきました。
その時の私にとって、いや現在でもこのときの瞬間が私の人生において
最高で、そして唯一無二の快楽でした。
私はその瞬間、人間が絶対に味わってはいけない快楽を得ました。
その快楽を味わってしまえばもう一生それ以上の快楽を味わうことのできない禁断の果実を口にしてしまったのです。
(続く)