渋谷の女子短大生バラバラ事件で、解せないことが一つある。
殺害された武藤亜澄さんの母親が異臭を感じ遺体を発見したのが3日
の午後9時、父親がクルマで代々木署に届けたのが同11時半。
この空白の2時間半は何だったのか。すぐ110番通報すればパトカー
が何台も駆けつけ、自宅前がやじ馬でごった返すのは目に見えている 

両親ともに歯科医で長男が歯大生。外車を2台も所有する絵に描いた
ような裕福な家庭を襲った惨劇。
父親は届け出たときから、「二男と娘が
けんかしてこうなったのかもしれない」と話していたという。人もうらやむ
家庭ゆえに、ぎりぎりまで世間体を考えていたのだろうか 

▼万事、拝金主義の世の中。セレブだ、勝ち組だ、ヒルズ族だと格差社会
の象徴のような嫌な言葉がはやり、お金の流れていく方向にマスコミや
世間の目が集まって、金があることが即ち幸せ、というおかしな風潮に
なりつつある。この歯科医一家も裕福だったかもしれないが、亜澄さんが
事件数日前「うちで大きな問題がおきている」と周囲にもらしていたという 

 ▼母親が亜澄さんと交わした最後の会話はインターホン越しだったそうだ。
父親も亜澄さんが、よく外泊することから、はじめは気にとめなかったとも
報じられている。
両親や長兄は事件後、激しい動揺がおさまらず、ほとんど
話が聞けないとの記事も目にした。この人たちの今後を思うと、言葉もない 

 ▼狭いながらも楽しいわが家で、6畳一間に親子が3人も4人も
ひざ付き合わせ、互いに思いやりながら幸せに暮らしている家族も多い。
酷な言い方になるが、本当の幸せとはどういうものか、改めて考える機会
かもしれない。


それでも夜な夜なヒルズに集まる輩が多い現代ニッポンの実情。