スポーツ学べば就職有利 私大で学部・学科の新設相次ぐ

 ■健康志向に応え即戦力

 スポーツ関連の学部や学科を新設する私立大学が関西を中心に相次いでいる。少子化が進む中、目新しいカリキュラムで学生を確保するとともに、今後、成長が見込めるスポーツ関連ビジネスの人材を育成するのが狙いだ。

 同志社大学(京都市上京区)は2008年度に「スポーツ健康科学部」を新設する。健康増進やスポーツの社会的発展に貢献する人材育成を目指し、その基礎となる身体活動・運動能力を多面的、総合的に指導する。

 コースは「健康科学」「トレーニング科学」「スポーツ・マネジメント」の3つ。

 このうち健康科学コースは、健康・体力の維持・増進のための理論と知識をスポーツ・運動と関連づけて指導。トレーニング科学コースでは最先端のスポーツ科学について、生涯スポーツとからめて教える。スポーツ・マネジメントコースでは、スポーツ振興のための施策やマネジメント力などを身につけさせる。

 立命館大学(京都市北区)は来年4月、産業社会学部に「スポーツ社会専攻」コースを新設する。公的機関や民間企業、ボランティアの側からスポーツの方向性、あり方などを考察し、社会的に振興していくための人材育成を目指す。

 さらに、びわこ成蹊スポーツ大学(滋賀県大津市)は、スポーツ学部の募集定員をこれまでの180人から07年4月から270人に増員。

 このほか同年4月に松本大学(長野県松本市)が「人間健康学部」を新設し、「健康栄養学科」とともに「スポーツ健康学科」を設ける。スポーツ健康学科は、健康づくりを実践したり、地域のスポーツ振興をリードする人材の育成が狙い。また、金沢星稜大学(金沢市)も「人間科学部スポーツ学科」を新たに開設する予定だ。

 私立大学がスポーツ関連の教育を充実する背景には、まず大学志願者の減少がある。日本私立学校振興・共済事業団(東京都千代田区)によると、05年度の私立大学の志願者数は前年度比1・7%減の301万5647人に落ち込んだ。これに伴い定員割れの私立大学は全国542校中160校と、全体の約3割を占めるまでになっている。そこで、成長が見込めるスポーツビジネスなどの分野に着目し、就職の有利さもアピールして学生を獲得しよういう生き残り策だ。「スポーツ」を前面に出すことによって、少しでもブランド力を高めたいという大学側の思惑もある。

 03年9月に施行された、自治体のスポーツ振興を目的とする「指定管理者制度」も後押ししている。同制度は自治体が公共施設の管理・運営を、民間の指定管理者に代行させるシステム。運営受託を狙う企業にとっての課題は人材。その点、スポーツマネジメントを専門的に学んだ学生は即戦力になるというわけだ。

 スポーツ用品メーカー、ミズノの子会社で、全国11カ所のスポーツ関連施設の運営委託事業を手掛けるミズノウエルネス(大阪市中央区)の西海浩一社長は、「今後、自治体からの施設運営委託は増える。大学が、指導者など事業に関連する人材育成を積極化するのは大いに歓迎すべき動きだ」と話す。

 ただ、専門家は「こうした管理者を育成するうえでは、現場での実践教育が不可欠」と指摘する。カリキュラムに企業や公的施設での実習を盛り込み、時代の要請にどうこたえていくかが成否のカギを握ることになりそうだ。(香西広豊)




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