ソニー電池発火、05年12月に原因特定していた

 ソニーが、昨年11月に起きた米デル製パソコンの発火事故の原因が自社製充電池にあることを直後に把握していたのに、デル以外のメーカー向けの充電池やパソコンのシステムなどの十分な調査を怠っていたことが、2日わかった。

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 ソニー製充電池を搭載したパソコンではその後も発火事故が相次ぎ、ソニーは今年9月に大規模なリコール(自主回収・無償交換)に追い込まれたが、回収が早ければ事故の拡大は防げた可能性がある。ソニーの認識の甘さが改めて問われそうだ。

 デルとソニーによると、デル製ノートパソコンの発火事故は昨年11月、東京都内で発生した。事故を受けてデルは翌月、同タイプの充電池を搭載したパソコンで充電池を交換するリコールを行った。

 ソニーはこの時点で、発火は自社製充電池の製造時に、金属粒子が混入したのが原因と特定していた。

 だが、発火はデル製パソコンだけの問題とされ、リコールは36機種、約3万5000台に限られた。充電池がソニー製であることも公表されなかった。

 ソニーは事故を起こしたのと同タイプ、同時期に生産されたデル向けの充電池について安全性を調査した。しかし、他社向けの充電池の調査は事故が起きていないことを理由に見送られた。電子回路などパソコン側の調査も不十分だった。

 ソニーは充電池の製造工程を改善したが、デル以外のメーカーには事故の概要や原因、デルによる回収を連絡しただけだった。リコールの要請をしなかったことで、他社は昨年12月以降も、在庫の充電池を使って発火の恐れがあるパソコンを出荷していた可能性がある。

 ソニーは「パソコンのシステム構造まで含めた原因の検証が足りなかった」(広報センター)と落ち度を認めている。