<スピアーズさん広告>妊娠姿にシール…東京メトロ表参道駅

 月刊誌の表紙に使う妊娠中の米国の人気歌手、ブリトニー・スピアーズさんのヌード写真の入った広告を、東京メトロ表参道駅に出そうとしたところ、メトロから「刺激的すぎる」と待ったがかかった。雑誌社側は、おわびを記したシールを腹部から下に張り、掲示することになったが、「妊娠の喜びを表現した写真なのに、コンセプトが分からなくなってしまう」と困惑している。【田村彰子】
 雑誌は、「ハーパース・バザー日本版」(エイチビー・ジャパン、本社・東京都新宿区)の10月号。問題となったのは、お腹の大きなスピアーズさんが胸の前で腕を組み、ほほ笑んでいる写真が入った広告で、縦約2メートル、横約6メートルのものと、縦約2.5メートル、横約2.6メートルのものがある。同誌は、米国で139年の歴史があり19カ国で発行、米国で7月下旬発売の雑誌の表紙にこの写真を使い話題を呼んだという。
 同誌は、日本版創刊6周年を機に、この写真を使ったものを含め6種類の広告を使い、表参道駅の構内全体を借りきった「全面広告」を出すことを計画。7月中旬、広告代理店を通じてメトロに内容の審査を依頼した。
 メトロが、社内の「広告掲出内容取扱要領」に基づいて審査。その結果、「青少年保護の点で適切なものではなければならない」という条文に反するとして、「ひじ下まで隠せば掲載可能」と修正を求めた。
 これに対し、同誌は「表紙と同じでなければ宣伝にならない。話題性があるし、既に広告は完成しており、別の図柄に変更できない」と主張。メトロと協議のうえ、「美しい未来の母の姿を一部隠していることをお詫(わ)びいたします。この場所では、同じ表現をすることができないため、このような処理をいたしました」などと記したシールを張って隠すことにした。広告は、雑誌が発売される28日から1週間掲示される。
 メトロによると、広告内容の審査は1日に二十数件あり1件程度は同様趣旨で修正を求めているが、今回のように修正部分を明確にして掲示する広告は、珍しいという。修正を依頼した理由については「芸術的な写真だとしても、利用客の中には刺激が強いと感じる人もいるかもしれない」と説明している。
 同誌の村上啓子編集長は「表紙の写真は、母となる喜びを表現したもので、青少年保護の点で問題があるとは考えもしなかった」と話している。
 ◇メトロの対応適切 
 ▽雑誌「宣伝会議」田中里紗編集長の話 写真はセクシーで美しい芸術的な作品だ。特定の読者を想定した雑誌の表紙としては問題ないが、不特定多数の目に触れる鉄道駅の広告としてはグレーゾーン。目を奪われた利用者同士がぶつかる事故だって招きかねない。メトロの対応は適切と思う。ただ話題作りという意味では、雑誌にとっては「成功」でしょう。
 ◇大人げない
 ▽演出家のテリー伊藤さんの話 通勤客も見る駅の広告なのだから、多少の配慮が必要なことは理解できるが、大人げない。隠すことによって、おなかが大きいことや妊娠が「わいせつ」で「いけない」「かっこ悪い」ことという意味付けをしている。日本で言えば浜崎あゆみさんのような有名歌手の出産なのだから、少子化のことも考えると応援したいと私は思う。メトロの対応はいただけない。



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