就職OB訪問ピンチ、企業が名簿出し渋る

 個人情報保護法の影響で、企業が大学に対し、各大学OBの社員の名簿提供を拒み、学生による志望企業のOB訪問に支障が出るケースが続出している。

 提供を断った企業は個人情報流出の危険性を指摘、一方で大学側からは「柔軟に対応を」との声が上がっている。

 東京大は昨年、約800社に「OB訪問に限って利用する」としたうえで、OB名簿の提供を要請した。しかし、最終的に応じたのは約240社にとどまった。個人情報保護法が、個人情報の外部提供は「原則として本人の同意が必要」と定めているため、これを理由に断ってくる企業が多いという。

 東大は昨年4月の法施行後、所有していたOB名簿をすべて廃棄処分しており、現時点で学生が閲覧できるのはこの240社分だけ。今秋に再度、各社に名簿提供を要請する予定だが、「趣旨を理解してもらえるよう、お願いするしかない」(学生部)と話す。