愛しみ給う「その瞬間」 | 隣 人 ノ 憂 鬱

愛しみ給う「その瞬間」

まだサンタクロースがいると信じていたころ、プレゼントにパンダをお願いした事があった。


目覚めると、枕元には一目でぬいぐるみと分かるパンダが置かれていて、本物のパンダがやってくると信じていた分、ひどく落胆した事を覚えている。初めてサンタクロースの存在に疑念をいだいた瞬間でもあった。


それからは、サンタクロースなどいないという事をうすうす気づき始めてはいたが、いない確証もないので、毎年空に向かって欲しい物を叫ぶという儀式を続けていた。


お願いしたプレゼントをもらえる事もあれば、もらえない事もあり、一進一退がが続く中、ある法則に気づく。それはお願いしたプレゼントが生き物の年は、決まって違うプレゼントであるという事。


まさかと思いつつ、ある年の12月初旬、水色の寒空に向かって「いぬくーださいっ!」と叫んでみる。それから3週間が経ち、枕元に将棋とオセロがリバーシブルになっているボードゲームが置かれていた瞬間、疑念が現実のものへと変わった。


子供は様々なかたちで本当のプレゼントの送り主を知り、サンタクロースを卒業していく。その瞬間は落胆だったり恥じらいだったり喜びだったりする事だろう。


それなのに「その瞬間」という大切な想い出が、将棋とオセロって。犬をお願いされて将棋とオセロを選ぶセンスが信じられない。