こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑳というテーマで

 

オレゴン大森林/わが緑の大地(1971)

(原題:SOMETIMES A GREAT NOTION)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズの最終回となっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 

 

 

頑固一徹ポール・ニューマン監督作品

 

本作は1971年に公開されたポール・ニューマン監督作品。

 

ポール・ニューマン氏は、思想的にはリベラル派であるにも関わらず、出演している作品には「暴力脱獄」や「ロイ・ビーン」といった、己の心情を通して生きる頑固一徹な男を演じる保守的なキャラを演じる事が多い方。

 

 

そんなポール・ニューマン氏がメガホンをとった監督第二作となる本作もまた、オレゴン州の森林地帯で、組合運動に反旗を翻して戦いう頑固一徹な林業一家の姿を描いた、伝統を守って生きる人々の映画なのです…

 

ポール・ニューマンが本作で演じるのは

ストに参加するよう説得しに来た

組合員に向かってダイナマイトを投げる

頑固親父の息子なのです!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

夫人のジョアン・ウッドワードを主演させ、監督第1作「レーチェルレーチェル」を撮ったポール・ニューマンが監督する第2作目。

製作はジョン・フォアマン、フランク・カフェイ、ケン・ケーシーの原作をジョン・ゲイが脚色した。

撮影はリチャード・ムーア、音楽はヘンリー・マンシーニ、編集はボブ・ワイマンが各々担当。

出演はポール・ニューマン、ヘンリー・フォンダ、リー・レミック、マイケル・サラザン、リチャード・ジャッケル、リンダ・ローソンなど。
 

 

 

 

んんんん。

 

この解説だと、本作にもジョアン・ウッドワード氏が出演しているような誤解を招きそうですが、本作にジョアン・ウッドワード氏は出演されておりません…

 

ポール・ニューマン監督作品で

ジョアン・ウッドワード出演としては

「まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響」

という長いタイトルの作品があります。

 

未見ですが面白そうですね(DVD化希望)!

 

 

尚、そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り!

 

① 大森林が美しいオレゴン州で、家長のヘンリーの元、息子のハンクと従弟のジョー・ベンの家族で伐採業を営んでいたスタンパー家は、伐採組合に加入していないため、長期ストを決行中の同業者や村人からは白い目で見られていましたが、「NEVER GIVE AN INCH (1インチも譲るな)」が家訓のハンクは、何事もなかったように伐採を続ける日々を送っていました。

 

俺たちスタンパー家が受けた仕事は

誰にも中止なんかさせないぜ!

 

 

② そんなある日、ヘンリーの妻と共に家を出て行ったハンクの弟のリーが大都市から帰ってきます。ヘンリーの元妻は病気で亡くなっていましたが、ヘンリーは自分を捨てた妻の死に対して何の対応も行っていませんでした。

 

家を出て行った息子リーを

複雑な表情で出迎えるヘンリー。

 

 

③ しばらく実家にいたいというリーに対しヘンリーは、飯にありつきたければ仕事をしろと言って伐採業を手伝わせる事にします。最近木から落ちて腕を骨折していたヘンリーは、都会風のリーの髪型をバカにしたりもしますが、憎まれ口をたたく顔もどこか嬉しそうでした。

 

口は悪いですが、どことなく

リーの帰還を喜んでいるヘンリー。

 

 

④ リーはアシスタントとして伐採の仕事を習い始めますが、スタンパー家がスト破りを続けている事で、収入が長く途絶えていた同業者や村人たち一家を憎み、遂にはスタンパー家が伐採で使用していた重機が放火されてしまったのです!!

 

大都会とはちがう生活に

馴染みつつあったリーでしたが…

 

ヘンリーと村人たちとの軋轢は

悪化の一途をたどって行きました。

 

 

 

さて、閉鎖的なオレゴンの村でスト破りを続けるスタンパー家の人々は、一体どうなってしまうのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

遂には夜中に重機を燃やされた

スタンパー家の明日はどっちだ!?

 

 

 

【私の感想】すべてを失っても残るもの…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はスタンパー家の悪でもある「1インチも譲らない」という考え方は、どのような結果を招くのかを描いた哲学的な作品。

 

代々伐採業を行ってきたヘンリーにとってビジネスとは、契約者との約束を履行するという事であり、収益を上げるために行動している組合の戦術に協力するつもりもありませんし、そもそも興味がありません。

 

 

ですがそんなヘンリーの態度は、組合側からすれば、自分たちの利益を阻害しようとしている敵対者でありと、クライアントに対して誠実なヘンリーは悪者となってしまうのです。

 

 

そう。

 

職人としてのマインドと、ビジネスマンのマインドとは往々にして相容れないもの。

 

 

 

そんな本作は、1990年後半頃から日本各地でも発生していった、大企業による正気規模企業潰しの工程にも似た、職人の末路を描いたような作品となっているのです…

 

①賃上げのためストを決行した組合

②契約者のために仕事を続けるヘンリー

③賃金が入って来ず困窮する村人

④困窮り原因はヘンリーだと罵る村人

⑤観客が来ず閉店に追い込まれる映画館は

スタンパーのせいで閉店したと捨て台詞!

⑥その結果、誠実に伐採していたヘンリーは

悪い人間として断罪され…

 

あれれ?

本当にヘンリーは悪人なの?

 

 

 

私見ですがそんな本作は仕事一筋のヘンリーがどのような過程で人生を終わる事になったのかを描いた頑固一徹な男の最後を描いた作品であると同時にけれどヘンリーのような頑固一徹な生き方は、最終的にはクライアントに愛され、家業が子孫に受け継がれてゆく姿を描いた職人魂礼賛を礼賛している作品としても観ることができると思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

母と共に家を出たリーには語らない理由があり

実母に捨てられたハンクにも語らない理由があり

それでも仕事を続けたヘンリーにもまた

語らない理由があったのです…

 

そんな本作は、まならない人生を生きる

全ての不器用な男たちに捧げられた

「人生は1インチも譲るな」という

ポール・ニューマンからのメッセージが

込められている作品だと思います。

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

地獄でなぜ悪い

 

というテーマで

 

あの空に太陽が

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆