こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と70年代クラヤミ・ホラーというテーマで
若妻 恐怖の体験学習(1972)
(原題:FEAR IN THE NIGHT)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★想像力と70年代クラヤミ・ホラーとは?
本シリーズは70年代に公開された、おどろおどろしいホラー映画を特集したもの!
60年代のカウンターカルチャーの終焉や環境汚染問題、核戦争の恐怖や校内暴力、そして政治不信などが吹き荒れていた70年代のホラーは、どこか病んだ感じがする鬱展開のホラー!
ですがエンターテイメント系ホラーとは異なり、鬱展開のホラーは観終わった後についまでも記憶の中に残るような、忘れられない作品でもあるのです…
本作では、そんな70年代に作られた暗闇系のホラー映画を特集させて頂きました🎃👻💀😆
本作は「FEAR IN THE NIGHT (夜の恐怖)」というごく普通のホラー映画らしいタイトルなのに、何故か邦題は成人映画のような「若妻 恐怖の体験学習」というタイトル!!
尚、TV公開時の邦題は「呪われた学園/謎の宙吊り死体」という伊藤潤二先生作品のようなタイトルとなっているのです
伊藤潤二先生と言えば「首つり気球」ですが…
本作は映画の冒頭で
誰かが学校の前で首を吊っている
衝撃的なシーンからはじまる
サスペンス・ホラー映画なのです!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
そんな本作の冒頭の内容は以下の通り 。
① 主人公ペギーはロンドンに住んでいる、かつて神経症を患っていた女性。最近ロバート・ヘラーという教師と結婚したペギーは、ロバートと一緒に暮らすために彼が勤めている男子校に隣接する家に引っ越す事しました。
ロンドンを引っ越す事になり
大家に別れを告げるペギー。
② ですがその晩、一人になったペギーは自室に侵入した不審な男に襲われてしまいます。驚いたペギーは、覆面の不審者に抗いますが、その時不審者の左腕の義手が取れて床に落ちてしまい、その衝撃で彼女も投げ出されて意識を失ってしまいました。
抗ったペギーが不審者の左手を掴むと
義手の左腕が取れてしまいました!
③ その後ベッドで目を覚ましたペギーは、彼女の悲鳴を駆けつけて部屋に来てくれた大家に、不審者の事が尋ねますが、大家は自分が部屋に入った時には不審者などは見当たらず、ペギーが一人で斃れていたと話し、警察を呼んで欲しいと頼んだペギーに対し、何の被害も出ていないのに不審者が出たと警察に言えば、神経症が再発したと思われてしまうから呼ばない方が良いとアドバイスをし、暗にペギーが見たのは幻覚だと言い含めたのです。
警察を呼んで欲しいと
大家と医師に対して言ったペギーですが
ペギーの過去を知っている大家は
警察を呼ぶのは得策でないと
ペギーに説得するよう医師に頼みます。
④ ペギー自身も自分の神経症について不安を感じており、不審者は存在しなかったのかもしれないと自分に言い聞かせ、ロバートとの新生活を始めたのですが、そんなペギーは新居でも再び不審者に襲われてしまったのです!
新居で一人に過ごしていた時
再び不審者に襲われてしまったペギー!
さて、果たしてペギーを襲った不審者は実在していたのでしょうか?それともペギーの脳内で生み出した幻想だったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
尚、ペギーの新居に隣接している
ロバートの勤める学校は
現在、春休みで学生の姿はなし。
あれれ?
でも学校が春休みの時
まるで空き家のように
家具に布をかけるのでしょうか…
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作の内容を的確に表現している邦題は明らかに「若妻 恐怖の体験学習」ではなく「呪われた学園/謎の宙吊り死体」の方!
前述しました通り本作の冒頭で、学校の前で首を括っている男性の姿が描かれていますので、これは本作を読み解くカギになる重要なシーン!!
映画開始4分で現れるシーンがコチラ!
このシーンの前に、誰もいない校庭が映し出され、遠くから校長先生が男子学生生徒に向かって、新学期の讃美歌を歌うよう促声が聞こえてきますが、歌のタイトルは「主よ、我らは再びここへ集う」という意味深なもの。
誰もいない校庭で聞こえて来る
校長先生の声…
その後、讃美歌の歌声と共に学校の室内が映されますが、そこには誰もおらず、古い外見の建物にもかかわらず内装や備品は新品同様で、観客はまるで学校自体が幽霊を見ているような感覚に襲われるのです。
少年たちの歌声は聞こえるのに
学校の中には誰もおらず
古い建物なのに備品は未使用な雰囲気!
なんか学校の幽霊みたい…
そう。
神経症というのは、自身が見ているものが現実なのか妄想なのか判然としなくなってゆくもの。
主人公のペギーが神経症を患っていた女性である本作は、観客にも、自分の見ているものが真実なのかどうか分からなくなっていくような演出で、ジワジワと恐怖を与える、非常に良くできたミステリー系のホラーとなっているのです!
無人の食堂を散策するペギー。
もちろん食堂にもゴミ一つりませんが
何故か校長の席にだけは
食事をした痕跡が!
このシーンは本物?それとも幻想?
私見ですがそんな本作はどうしても「若妻 恐怖の体験学習」という邦題にしたいのであれば「若妻 恐怖の体験、そして学習」として頂き、ペギーが映画の前半で体験する恐怖と、映画の後半、何かを悟り精神的な成長を遂げていくペギーの姿が描かれている作品として観て頂ければと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?
初見の時は、常に不審者に怯え
神経症的な行動が目立つペギーですが
全ての謎が解けた後に
もう一度彼女の姿や行動を観ると
映画のラストのペギーは
全ての真実を知っていても尚
恋人を信じようとする
賢者の瞳を持つ女性に見えてくるのです…
という訳で次回は
語りづらい名作とは?
というテーマで
夜行性情欲魔
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい日本未公開1970年代ホラー
「NIGHT OF FEAR(1972)」
本日の作品とタイトルは似てますが
本作は製作国のオーストラリアで
上映禁止となったスラッシャー映画!
予告編の70年代BGMからも
ヤバイ雰囲気が漂っているのです!!