こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と70年代クラヤミ・ホラーというテーマで
悪魔の追跡(1975)
(原題:RACE WITH THE DEVIL)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★想像力と70年代クラヤミ・ホラーとは?
本シリーズは70年代に公開された、おどろおどろしいホラー映画を特集したもの!
60年代のカウンターカルチャーの終焉や環境汚染問題、核戦争の恐怖や校内暴力、そして政治不信などが吹き荒れていた70年代のホラーは、どこか病んだ感じがする鬱展開のホラー!
ですがエンターテイメント系ホラーとは異なり、鬱展開のホラーは観終わった後についまでも記憶の中に残るような、忘れられない作品でもあるのです…
本作では、そんな70年代に作られた暗闇系のホラー映画を特集させて頂きました🎃👻💀😆
本作の原題は「RACE WITH THE DEVIL (悪魔とのレース)」ですので、珍しくそのままの邦題!!
そんな本作は、ポスターがとてもカッコいいので、スタイリッシュなカー・アクション映画を想像させるかもしれませんが、実際の作品は、70年代のアメリカで顕在化していた都会人と地方人の確執を描いたような作品となっているのです…
カッコいいDVDジャケット!
カッコいいポスター!
ですが本作に登場する悪魔は、
都会から来た若者たちに
親し気な微笑みで接する地元民なのです…
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
むむむ。
「戦い」といより、一方的な襲撃なですが…
尚、そんな本作の冒頭の内容は以下の通り 。
① モーターバイクの工場を共同経営しているフランクとロジャーは私生活でも大親友!二人は冬休みに長期休暇を取り、最新のキャンピング・カーで妻同伴のスキー旅行に向かう事になりました。
映画の冒頭、阿鼻叫喚の地獄と化し
逃げ惑うNYの人々!
② キャンピング・カーでの旅行は快適で順風満帆。4人は最初の宿泊地をキャンプ場ではなく、人のあまりいない河原にする事にしました。
折角だから人のいない場所で一泊しよう!
③ 楽しくディナーを終えた4人でしたが、フランクとロジャーが夜風に当たりながら食後の酒を飲んでいると、少し離れた場所にキャンプファイヤーのような炎を発見します。好奇心から炎に近づいてみようと考えた2人でしたが、双眼鏡でキャンプファイヤーの場所を確認すると、そこでは謎めいた儀式が行われており、全裸の女性が処刑されていたのです!
炎の下で行われていた怪しげな儀式!
双眼鏡で覗いていたロジャーの目の前で
少女は刺殺されてしまいます!
④ 直感的に「やばいものを見てしまった!」と感じた2人は、相手に気づかれないうちに退散しようとしますが、その時、車の中にいたロジャーの妻が2人に向かって声をかけてしまったために、炎の周囲にいた人々が凄まじい形相でキャンピングカーへと向かって来たため、4人は必死で脱出を試みた結果、なんとかその場から逃走する事に成功して地元の警察に駆け込みますが、対応した警察官は、殺人事件があった事を信じず、ロジャー達の見間違いではないかと笑いながら諭したのです。
逃走するロジャー達の車の
リアガラスを手斧で破壊してまで
侵入を試みる怪しげな集団!
何とか逃げ延びて、
地元警察に駆け込んだ4人に対して
警察は微笑みながら
この町の人々は温厚だから
殺人などあり得ない、
君たちを襲ったのはきっと
ヒッピーたちだと結論付けますが
ロジャーは納得できません
さて、果たしてフランクとロジャーが目撃した少女殺人の犯人は一体何者だったのでしょう?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
警察に付き添われて
現場に向かったロジャーたち。
その間、車を掃除していた妻たちは
「何も喋るな」という警告文が
車に残されているのを発見します!
あ…もう警察に喋っちゃった
そんなロジャーたちの明日はどっちだ!?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は「イージー・ライダー」「真夜中のカーボーイ」などと同様の、都会人と地方在住者との確執を描いた作品。
1960年代までの地域ごとに閉鎖された世界とは異なり、TVが発明され、若者たちがカウンターカルチャーを謳歌し、核家族化や離婚が社会的に問題となっていった60年代後半から70年代は、都会に住む"自称"先進的な人々と、地域に根付いて保守的な生活を送っている地方在住者との確執が顕著となっていた時代!!
本来であれば、どちらの生き方も許容できる事が多様性社会のはずなのですが、"自称"先進的な人々が集まっている都会の人々は、地域で暮らす人々を頑迷で新しい価値観を受け入れない時代遅れの人々だと嘲笑しながらも、もし自分が都会を離れて地方の人々と暮らす事になったとしたら、ひょっとすると危害を加えられるのではないかと無自覚に恐怖していたのです…
そう。
自分を進歩的だと言う人間の中には、他の価値観を受け入れられない偏狭な性格の人間が紛れ込んでいるもの。
本作はそんな、地方に行った都会の人間が、ひょっとすると自分は殺されてしまうのではないかとと恐怖する、70年代の都市型パラノイア(他者が自分を襲うのではないかと不安になってしまう統合失調症)を映画化した作品の一つなのです。
そして、そんな70年代パラノイア的なホラーは本作だけではありません。
地方に行った都会人が惨殺される70年代の作品と言えば「悪魔のいけにえ (1974)」「わらの犬 (1971)」などの話題作を経て、80年代の「80日の金曜日」や「バーニング」といった陰惨な復讐モノへと受け継がれていったのです…
私見ですがそんな本作は、地方在住者への漠たる不安を描いた進歩的人間たちのプリミティブ(原始的)な恐怖を描いた作品であると同時に、恐らくですが2020年代の現代でも、自説を曲げない意識高い系の自称「進歩的な人」は、保守的な人から反撃されされる事を心の奥底では恐れている可能性があり、その結果、サステナブルな社会や強引な多様性社会の推進や、極端なベジタリアンや昆虫食推進者たちをターゲットにしたホラー映画が、この先誕生する可能性が………おっと、この話はこの辺りでやめておきましょう。
ちなみに、皆様はこの問題についてどう思われますか?
もし地方在住者が、
意に沿わない都会人を殺すなら
交通事故に見せかけるかも?
そんなパラノイア的な恐怖は
本作より4年も前に
スティーブン・スピルバーグ監督の
「激突!(1971)」という作品で
描かれています。
「都会人を殺すなんて訳ないよ…」
という訳で次回も本作の類似作として
都会人の感じる地方の恐怖
というテーマで
脱出
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい日本未公開1970年代ホラー
「SCUM OF THE EARTH (1974)」
地方に住む貧乏な白人を
ホワイト・トラッシュという
侮蔑的な存在として
描いている作品の多くは
同時に彼らに襲われる事を
恐怖している都会人が
心の中で抱いている恐怖を
具現化した映画なのかも
しれないてのです