こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日想像力と70年代クラヤミ・ホラーというテーマで

 

 

悪魔のしたたり/ブラッドサッキング・フリークス(1976)

(原題:BLOODSUCKING FREAKS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★想像力と70年代クラヤミ・ホラーとは?

 

本シリーズは70年代に公開された、おどろおどろしいホラー映画を特集したもの!

 

60年代のカウンターカルチャーの終焉や環境汚染問題、核戦争の恐怖や校内暴力、そして政治不信などが吹き荒れていた70年代のホラーは、どこか病んだ感じがする鬱展開のホラー!

 

ですがエンターテイメント系ホラーとは異なり、鬱展開のホラーは観終わった後についまでも記憶の中に残るような、忘れられない作品でもあるのです…

 

本作では、そんな70年代に作られた暗闇系のホラー映画を特集させて頂きました🎃👻💀😆

 

 

 

 

 

どんなホラー?

 

原題の「BLOODSUCKING FREAKS (血を吸うフリーク)」というタイトルは、吸血鬼映画を想像される方もいらっしゃいますが、本作は人間の生き血を吸って喜ぶ異常者が登場するサイコ・バイオレンス映画!!

 

ストローで生き血を吸う男!!

 

 

…なんだか気持ち悪いですね汗

 

はい。

 

 

尚、本作と次回ご紹介させて頂く予定の「悪魔の調教師」は、映画表現に厳しい規制がかけられていた60年代にも、映画がエンターテイメント産業として認知されてきた80年代以降にも見られない煽情的で残虐な描写の閲覧に注意を要する作品となっておりますので、ご覧になる際にはその事に十分にご留意頂ければ幸いです。

 

本作は「閲覧注意作品」なのです!!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
 

エロスとバイオレンスが満載のスプラッターホラー。

毎年ハロウィンになると開かれる見世物小屋の拷問ショー。

オーナー・サルドゥは、小人の助手と一緒に残酷なショーを繰り広げ子供たちを恐怖に陥れていた。

しかし、批評家と名乗る男が野次を飛ばし…。

【スタッフ&キャスト】製作・脚本・監督:ジョエル・M・リード 製作:アラン・C・マーゴリン 音楽:マイケル・ソール メイク・特殊効果:ボブ・オブラドビッチ 出演:シーマス・オブライエン/リネット・シェルドン/カレン・フレイシャー /ニールズ・マクマスター

 

 

 

 

???

 

毎年ハロウィンになると開かれる見世物小屋の拷問ショー?子供たちを恐怖に陥れていた??

 

 

…この解説は明らかに間違っていますね汗

 

 

尚、そんな本作の冒頭の内容は以下の通り 。

 

① 本作の舞台はニューヨーク市のソーホー地区で講演をしていたマスター・サルドゥ劇場。オーナーのサルドゥは、サディスティックでな性格あると同時にマゾヒスティックな性癖を持つ男であり、劇場の演目も、裸体の女性を鞭打ったり、腕や指を切り落としたりというエクストリームな内容。当然ながらそんなサルドゥの出し物を観に来るのは、サディスティックな変態や酔狂な客ばかりでした。

 

場末感漂うサルドゥのの劇場名は

「SARDU'S THEATRE OF THE MACABRE」

(マカブルの不気味な劇場)

 

 

② 当然ですが、そんなショーだけで劇場の運営資金が賄えるわけはありませんが、サルドゥは劇に出演させる白人女性を誘拐によって調達しており、誘拐された女性の何人かは人身売買組織に売り払われ、サルドゥの資金源となっていたのです!

 

人身売買組織に女性を売って

大金を手にするサルドゥ。

彼にとって劇場は、趣味と実益の

両方を満たすもの!

 

捕えた女性たちは梱包されて

購入者の元へ配送です!

 

 

③ そんなある晩、サルドゥの劇場に演劇評論家のサイロ、プロのバスケット選手のトムと、トムの彼女でバレリーナのナターシャという3人の有名人が訪れます。喜んだサルドゥは彼等のために、女性の頭部を万力で破壊したり、観客の前で腕を切り落したりというパフォーマンスを披露しますが、サイロはサルドゥのショーは稚拙なインチキで観る価値がないと酷評したため、激怒したサルドゥは、後日腹心のラルファスに命じてサイロを拉致してしまいます。

 

頭を割られて死亡する女性!

「こ、これって本当?」

「いや、稚拙な演劇だよ」

 

感想を聞いたサルドゥに向かって

酷評して寄付用の皿を叩き落とすサイロ!

…ウラミハラサデオクベキカむかっ

 

後日、アトリエにいたサイロは

吹き矢で意識を失って拉致されます!

 

 

④ サルドゥは劇を褒めるよう捕えたサイロに強要しますが、サイロは絶対に認めないと宣言したためサルドゥは、次の自分の劇にはナターシャが出演してダンスを披露してくれる事になったから、それを見てから再度評価をしろと言い、今度はナターシャを拉致してしまったのです!!

 

再び吹き矢で失神させナターシャを拉致。

ラルファスはなかなか優秀です!

 

 

 

 

さて、果たして拉致されたナターシャは、サルドゥのためにダンスを披露してくれたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

拉致されたナターシャは

もちろんダンスを踊る事を拒否!!

するとサルドゥはナターシャの目の前で

捕えてた女性の一人を処刑!

「ナターシャ。死にたくなければ踊るんだ!」

そんなナターシャの明日はどっちだ!?

 

 

 

【私の感想】グラン・ギニョール劇場に恋焦がれる人々!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでの解説だと本作はコミカルな作品のように思えるかもしれませんが、実際の映像は裸体、拷問などのシーンが延々と続くゴアな作品であり、ご覧になると不快な思いになる方がほとんどではないかと思われるような内容です。

 

 

…では、どうしてそんな作品が作られたのでしょう?

 

恐らくですがそれは、かつてパリに実在していたグラン・ギニョール劇場で行われていた残酷ショーを70年代アメリカで復活させてみたいと考えたからだと思われます。

 

グランギニョール劇場のポスター。

 

 

この劇場では、公序良俗は一切なし!

 

舞台では善人が容赦なく殺され、血は吹き出し、目玉は抉られる残酷描写で、卒倒したり嘔吐する観客が続出し世間から批判されながらも人気を博していた見世物小屋的な場所がグランギニョール劇場だったのです!

 

血みどろのグランギニョール劇場では

毎晩、猟奇的な殺人劇が開催され

人気を博していたのです!

 

 

 

そう。

 

人の心の中には、時にはショッキングなシーンを見て興奮したいという秘めたる欲望が蠢いているのです…

 

 

尚、グランギニョール劇場は、1930年頃からホラー映画が人気を博すようになると共に人気に陰りが訪れた結果、劇場は1960年代に閉鎖されます。

 

ですがそれから10年後、今度はホラー映画に飽きた人々が、より残酷で陰惨な作品を映画に求めるようになり、カウンターカルチャーが退潮した1970年頃の映画には、残酷に人を殺害したり拷問したりするような作品が多数生まれて来る事になったのです…

 

食事を拒否したサロンは

北京ダックのような状況に!!

どう?こんなシーン観たかった!?

 

 

私見ですがそんな本作は「狼よさらば (1974)」「タクシードライバー (1976)」「ゴッドファーザー (1972)」といった残酷描写のある映画よりも刺激を求める観客を意識して作られた作品であり、本作のようなタイプの作品が飽きられた後も、人々の密かなグランギニョール劇場的なものへの欲望は、ゾンビ映画の人体破壊描写やスプラッター映画のゴア描写に継承され続けているのではないかと考えるのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

地下鉄車内で人を射殺する「狼よさらば」

 

売春宿の従業員を無差別に殺害する

「タクシードライバー」

 

容赦ない大虐殺が敢行される

「ゴッドファーザー」

いや、もっともっと血が観たい!!!

 

そんな人々の歪んだ欲望に応えたような

残酷描写のある70年代のホラーは

以後も形を変えて、

今もなお作り続けられているのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

70年代悪魔シリーズ第五弾

 

というテーマで

 

悪魔の調教師

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい日本未公開1970年代ホラー

「THE CANDY SNATCHERS (1973)」

 

1973年のアメリカの搾取犯罪映画。

 

この映画は、実際にあった誘拐事件に

触発されて作られた作品で

3人のアマチュア犯罪者に誘拐され

10代の女の子が生きたまま埋められるという

ショッキングな作品なのです!