こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と今昔まんがまつりというテーマで

 

幸福路のチー (2017)

(原題:幸福路上)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★"今昔まんがまつり"とは?

近年発表されるアニメーション映画の本数は膨大なものとなり、すべてのアニメーション映画を閲覧する事は不可能な時代へと突入しています。

 

推しのアニメを一生見続けられるというのは幸せな事ではないかと思いますが、その一方で、自分が知らないアニメと出会うための時間を作るのは、簡単な事ではなくなりつつあるのではないでしょうか?

 

本シリーズはそんなアニメの百花繚乱時代において、かつて日本に存在していた「東映まんがまつり」や「東宝チャンピオンまつり」のような、雑多なアニメが一挙に上映されるようなイベントがもし存在したとしたら、どんな効果があるかをシミュレーションしてみようという夏休み企画!

なんとなく立ち寄った古本屋さんに素敵な本が見つかったり、何気なく観に行った3本立ての名画座で、大好きな作品巡り合えるような、そんな偶然をご提供できればと思っております😊
 

 

↑本シリーズの概要はコチラ!

 
 
どんな作品?

 

本作は2017年に公開された台湾のアニメーション映画。

 

2023年8月現在、領有権を巡って緊張状態にある台湾ですが、この問題は台湾独立時からずっと続いてきた問題であり、そんな問題をずっと抱えながらも、台湾の方々は人生を歩まれているのです。

 

 

ですので“語り継ぐべき今昔まんがまつり”である本シリーズでは、本作と共に「台湾で生きる人々」について想いを馳せてみたいと思います😊

 

台湾の人達にとっての生活とは?

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

東京アニメアワードフェスティバル2018長編グランプリを受賞した台湾アニメーション。

台湾から米国に渡り成功を収めたチーは、祖母の訃報を聞き、故郷である台北郊外の幸福路に帰る。

そこで幼いころの思い出とともに自分を見つめ直すと、ある決断を下す。

監督は、本作が初のアニメ監督作品となるソン・シンイン。

声の出演は、「薄氷の殺人」のグイ・ルンメイ、「海角七号 君想う、国境の南」監督・脚本のウェイ・ダーション。
 

 

① 映画の冒頭、アメリカ在住の台湾人であるチーは、台湾の幸福路という町にある実家のベッドで不思議な夢を見ていました。

 

実家で夢を見ていたチー。

 

 

② チーの見ていたのは、幼い頃に幸福路へと引っ越してきた夢でしたが、様々な記憶が入り混じって不思議の国のアリスのような、取りとめのないもの!

 

汚い幸福路の川に折り紙の船を落とすと

船にはお姫様になったチーの姿!

そういえば子供頃はお姫様になりたかった…

 

 

③ 夢の中で苦しい思いをしていた時に助けてくれたのはチーの祖母でしたが、夢の最後で祖母は片目のニワトリに乗って空へと飛び去ってしまいます。

 

子供のチーではなく、

大人になったチーを助けた祖母ですが、

隻眼のニワトリと共に空の彼方へ…

 

 

④ 目覚めたチーは思い出しました。自分が台湾に帰って来た理由は、大好きだった祖母が亡くなったからであり、チーが幼い頃から、辛かったり苦しかったりした時に、いつも微笑んで応援してくれていた祖母は、もうこの世にいないんだという事を…

 

そうだ。祖母は亡くなってしまったんだ…

 

 

尚、祖母が亡くなった4月5日はチーの誕生日であると同時に、台湾を建国した蔣介石が亡くなった日でもあったのです…

 

小学校の授業で、蒋介石が亡くなった日に

自分が生まれた事を知ったチーは

4月5日に運命的なものを感じていました…

 

 

 

さて、そんなチーは子供時代、祖母とどんな関係を持っていたのでしょう?そして何故、チーはアメリカへ行ってしまったのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

台湾の南部の高雄から、チーの住む

北部の台北まで来てくれる祖母!

お土産は…あ、隻眼のニワトリだ!!

 

 

 

【選ばせて頂いた理由】台湾について知っておくべきこと

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作を選ばせて頂いた理由は以下の3つ。

 

選ばせて頂いた理由① 台湾カラーのアニメーション

 

本作は、ふんわりとした手書きのタッチが可愛らしい台湾カラーで描かれているアニメ!

 

ここで言う台湾カラーとは、日本とは似て非なる東洋的な色合いの事で、中国のビビッドな色とは異なる、どことなく哀愁漂うノスタルジックな色!

 

台湾の色は懐かしくも柔らかい色

 

台湾インクの店「藍濃道具屋」のサイト(日本語)

 

 

そんな台湾カラーで描かれている本作は、観ている間に台湾カラーに魅了される作品とっているのです!

 

茶色のようなオレンジや薄紫、

ピンクも日本のものとは異なります😊

 

当然ファンタジックな世界も台湾カラー!

なんだか新鮮ですね。

 

 

選ばせて頂いた理由② 人生は喜怒哀楽

 

そんな本作で描かれるているのは、チーという少女が辿った数奇な運命。

 

幼い頃はお姫様にになれたかった無邪気なチーでしたが、裕福ではない父母が望んだのは、金持ちになれる医師になる事!

 

ですが勉強が好きではないチーは中々成績が上がらず、困った母親は小学校の先生にワイロを送ろうとしますが、逆にチーの目の前で先生に諭されてしまい、その時の母の辛そうな顔を見たチーは、なんとかして勉強ができるようになりたいと願うようになったのです…

 

勉強が嫌いなチーは、

母の行動に反発していましたが

母が諭されている姿を見るのは

もっと辛かったのです…

 

 

そう。

 

人生とは、何かを体験する事で新しい価値観が生まれて来るもの。

 

 

本作は、幼い頃から多感だったチーが、楽しい事、辛い事、嬉しい事、苦しい事をと繰り返しながら、その度に、これからの人生について考えてゆくという台湾人らしい人生観が描かれたアニメとなっているのです。

 

成績を上げたいと思ったチーが

祖母に相談すると

台湾に伝わるおまじないをした結果

見事に成績はあがりますが

祖母は喜ぶチーに対して

本当はおまじないなんてないよ、

心の持ち方で人生は変わるものだと

話してくれるのです…

あゝ、ここでもチーは学びましたね。

 

 

 

選ばせて頂いた理由③ 日本人が知らない台湾人について

 

では、そんな台湾の方々の色彩感覚や人生観を、我々日本人はどこまで理解しているのでしょうか?

 

大変残念な事ですが日本人の殆どの方は、台湾に限らず多くのアジアに住む多くの方もマインドや人生観に興味を持つ事がなく、日本人マインドで彼らと交流を持とうとしています。

 

 

それは一体どうしてなのでしょうか?

 

私見ですがその理由は、彼らの歴史や小説や映画や音楽などに興味を持たれている人があまりいないからではないかと思います。

 

 

元は日本領だった台湾。

 

蒋介石がやって来て、北京語が公用語となった台湾。

 

親中派と反中派が政治的に対立し続けている台湾。

 

そして、そんな揺れるアイデンティティの中で悩み続け、他国へ望みを託しては、そこでも異邦人として苦しむ事になった台湾の方々。

 

そして、それらの事を多く語らない台湾の方々。

 

 

彼らの歴史を知ったり、作られた映画をご覧になって頂ければ、台湾人のメンタリティを理解した上で、より良い関係構築が可能であり、本作のようなアニメで台湾の人の気質が理解できる本作は、日々、緊張感が増している台湾の人々を、日本がどう助けるべきなのかを考える端緒となるような気がするのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

台湾の方の多くが日本に親近感を持つ理由は

歴史を知り、映画やアニメなどを観て

日本人のマインドに共感してくれたから!

 

では、現代の私達日本人は

どれだけ台湾の歴史を知り、映画などの

コンテンツを観ているのでしょう?

まずは本作からスタートし

親台湾となって行くのも

素敵な事ではないかと思います😊

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

伝承すべき物語 今昔まんがまつり③

 

というテーマで

 

東京ゴッドファーザーズ

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい、台湾を理解するための映画

「台北ストーリー」

 

 

本作は1985年に公開された

エドワード・ヤン監督の台湾映画。

 発掘良品シリーズにセレクトされている

エドワード・ヤン監督の作品は

「恐怖分子」「牯嶺街少年殺人事件」

そして「台北ストーリー」の3作品ですが、

公開された順番は

1985年「台北ストーリー」、

1986年「恐怖分子」、

1991年「牯嶺街少年殺人事件」

となっており、発掘良品で紹介されている

順番とは異なっています。

ですがもし皆様が、

まだエドワード・ヤン監督の作品を

ご覧になっていらっしゃらない場合は、

①「恐怖分子」②「牯嶺街少年殺人事件」

③「台北ストーリー」という

発掘良品さんのセレクトされた順番で

ご覧になる事をお勧めいたします。
 

その理由は、

エドワード・ヤン監督の作品中に漂う

「台湾的な孤独の辛さ」!!

会話も分かりやすい「恐怖分子」に対し

「牯嶺街少年殺人事件」や

「台北ストーリー」は、

孤独に蝕まれてゆく人間の姿が

言葉少なに描かれている

「孤独の辛さが描かれた絵」を

鑑賞しているような

雰囲気の作品となっているのです。