こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と今昔まんがまつりというテーマで

 

ディリリとパリの時間旅行(2018)

(原題:DILILI A PARIS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★"今昔まんがまつり"とは?

近年発表されるアニメーション映画の本数は膨大なものとなり、すべてのアニメーション映画を閲覧する事は不可能な時代へと突入しています。

 

推しのアニメを一生見続けられるというのは幸せな事ではないかと思いますが、その一方で、自分が知らないアニメと出会うための時間を作るのは、簡単な事ではなくなりつつあるのではないでしょうか?

 

本シリーズはそんなアニメの百花繚乱時代において、かつて日本に存在していた「東映まんがまつり」や「東宝チャンピオンまつり」のような、雑多なアニメが一挙に上映されるようなイベントがもし存在したとしたら、どんな効果があるかをシミュレーションしてみようという夏休み企画!

なんとなく立ち寄った古本屋さんに素敵な本が見つかったり、何気なく観に行った3本立ての名画座で、大好きな作品巡り合えるような、そんな偶然をご提供できればと思っております😊
 

 

↑本シリーズの概要はコチラ!

 
 
どんな作品?

 

本作は2018年に公開されたフランスのアニメーション映画。

 

邦題が「ディリリとパリの時間旅行ですので、登場人物がパリでタイルスリップを体験する「ミッドナイト・イン・パリ (2011)」の類似作だと思われる方もいらっしゃると思いますが、本作はかつてエコール・ド・パリ (パリ派)と呼ばれていた開明的な人々が集まっていた1920年代のパリを舞台にした少女の冒険譚!

 

 

そんな本作は、皆さんがご存知のエコール・ド・パリの有名人が山のように登場するバリ派オールスターズのような作品となっているのです😆

 

金色の顔の彫刻は

コンスタンティン・ブランクーシ。

赤い色の絵はアンリ・マティス。

黒い女性の絵はアンリ・ルソー。

女流画家はフリーダ・カーロ。

そして道化師の家族の絵はピカソ。

おお、このシーンだけで5人の

エコール・ド・パリのレジェンドが!!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

「キリクと魔女」のミッシェル・オスロ監督による長編アニメ。

パリが華やいだ19世紀末~20世紀初頭のベル・エポックの時代。

ニューカレドニアからやってきたディリリはパリで出会ったオレルとともに、天才たちの協力を受けながら誘拐事件に立ち向かっていく。

音楽を「イングリッシュ・ペイシェント」でオスカーを獲得したガブリエル・ヤレドが手がけ、ソプラノ歌手ナタリー・デセイが実在したオペラ歌手エマ・カルヴェの声を担当。  

第44回セザール賞にて最優秀アニメ作品賞を受賞。劇場公開に先駆けフランス映画祭2019にて上映、エールフランス観客賞に輝く。
 

 

① 主人公のディリリはニューカレドニア生まれのフランス人とカナック族のハーフ。父親のフランス人は誰だか分かりません。ニューカレドニアでは色白と言われ、自分の居場所を見つけるためにパリへとやって来たディリリでしたが、パリでは色黒だと言われてしまいます。

 

ディリリはバリ万博の催事の一つ

「カナック村」に出演し

半裸で動物のような暮らしを

観客に見せていましたが…

 

実際はフランス語を流暢に話す

知性溢れる女の子でした!

 

 

② 万博が終わった後、ニューカレドニアに帰るまでの間パリで見聞を広めたいと考えていたディリリは、荷車を使って荷物を配達する仕事をしているオレルという青年と親しくなりました。

 

外国を見たくてパリ行きの豪華客船に

密航したディリリでしたが

乗船していたルイーズ・ミシェルという

学校の先生に助けられ

フランス語も彼女から習いました。

 

 

③ けれどその頃バリ市街では幼い女の子の誘拐が相次いでおり、裏で男性支配団という謎の組織が蠢いているという噂があり、ディリリも誘拐されそうになってしまいます。

 

ディリリを誘拐しようと

甘い言葉で近づいて来た不審な男!

 

 

④ ですが頭の良いディリリは、自分を誘拐しようとした男を退けただけでなく、誘拐された自分と同じくらいの女の子たちを救いたいと言って、パリ中に知り合いがいるオレルと共に、誘拐犯探しを始めたのです!

 

配送業をしているオレルは

パリ中の人と知り合い。

これからキュリー夫人の所へ行くよ!

 

 

さて、果たしてディリリとオレルは、1920年代のどんな人と出会ってゆくのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

有力者に協力を仰ぐため

オレルが向かったのはオペラ座の地下。

今でも水路があるオペラ座の地下で

ドビュッシーの元で

オペラの稽古をしていたのは

希代のオペラ歌手エマ・カルヴェ!

 

エマは2人を白鳥の船に乗せ

モネとルノアールがいる

ヴァンセーヌの森へと

連れて行ってくれるのです!

 

 

 

【選ばせて頂いた理由】エコール・ド・パリの水滸伝

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作を選ばせて頂いた理由は以下の3つ。

 

選ばせて頂いた理由① 写真との融合

 

ご覧頂いてもお分かり頂けるように本作は、背景の多くが本作を作られたミッシェル・オスロ監督自身が撮影したパリの写真となっており、まるで登場人物たちが実際のパリの街を歩いているような気分を感じさせてくれます。

 

そしてこれが可能なのは、パリの街には1920年代にあった建物がまだ現存しているから!

 

第二次世界大戦で奇跡的に戦火を免れたパリの街は、今でも1920年代を舞台にした作品を実写で撮る事ができる世界遺産に指定された都市であり、本作はそんなパリの魅力を再認識できる作品となっているのです😊

 

エッフェル塔を設計した

ギュスターヴ・エッフェル氏に会う

ディリリとオレル。

あゝパリは昔が残る街ですね…

 

 

選ばせて頂いた理由② パリを舞台にした水滸伝

 

本作は100名を超える実在の人物が登場し、それぞれがディリリやオレルに協力して誘拐団を追い詰めてゆく群像劇。

 

ピカソは目撃情報を、パスツールは怪我の治療を、ロートレックは情報入手の手助けをしてくれるのは、まるで水滸伝の108人の英雄たちが協力して大事を成していくような展開なのです。

 

 

そう。

 

多くの人が絡み合う事で想像もしなかった展開になってゆくのが群像劇の魅力。

 

 

本作は「1920年代にパリにいた歴史上の人物たちによる群像劇」であり、たとえ架空の物語であったとしても、彼ら一人一人に親しみを感じるようになってゆく映画となっているのです。

 

誘拐団の密談に使われていたのは

キャバレーのムーランルージュ!

 

大人の社交場なので

ディリリは入る事ができませんが

そこで協力してくれたのが

トゥールーズ=ロートレック!!

ムーランルージュの常連の隣にいれば

誰にも咎められません😆

 

 

選ばせて頂いた理由③ バトンを繋ごう!

 

私見ですがそんな本作は、前述させて頂いた「ミッドナイト・イン・パリ」という2012年の作品に着想を得たと思われる作品。

 

「ミッドナイト・イン・パリ」は

ウッディ・アレン監督による2011年の作品!

 

 

エコール・ド・パリの時代に生まれたかったと思っていた作家志望のアメリカ人男がタイムスリップして、サルバドール・ダリやフィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイなどと交流し、自分の生き方について考えるようになる「ミッドナイト・イン・パリ」は、ウッディ・アレン自身の願望を描いたような作品ではないかと思われますが、本作はミッシェル・オスロ監督が、同じ1920年代を舞台にしながらも、様々な人が思い思いに活躍している姿を夢想したような作品となっており、他者の作った作品に刺激を受けて、全く別の作品を生み出した好例となっているような気がいたします😊

 

モネとルノワールが仲良く作画!

一人は睡蓮、一人は日だまりの笑顔!

そんな夢の世界を描きました!

 

 

では、本作を観た私たちは、一体どのような作品を生み出せば良いのでしょうか?

 

私としては、20世紀に活躍した日本のミュージシャンや、映画監督や漫画家さんなどが一同に集って何かを制作するような架空のアニメーション映画が生まれたら楽しいのではと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

ディリリの行動をサポートするため

ロートレックが酒場で一曲頼んだのは

かのエリック・サティ。

 

曲はもちろん「グノシエンヌ」!!

サスペンスによく合う選曲なのです。

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

「センス・オブ・ワンダー」今昔まんがまつり⑤

 

というテーマで

 

夜は短し歩けよ乙女

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい水滸伝っぽい群像劇アニメ
「ジャイアントロボ 地球が静止する日」

 

今川泰宏監督が描くテーマは

「人生には正解が存在しないので、

悩みながら自分で選択する事で

人生の意味を問い続けろ!」

という厳しいもの!

 

本作も、亡き父親から

ジャイフント・ロボという

正義の味方にも悪魔の手先にもなる

ロボットを任された大作少年は、

正しい答えを導きだせない事に

苦しみ迷いながらも、

自分自身の決断を信じて

前へと進んでゆきます。

 

そしてそんな本作には

原作者の横山光輝先生が描いた

様々なマンガのキャラが

花を添えてくれているのです😆