こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と今昔まんがまつりというテーマで

 

時の支配者(1982)

(原題:LES MAITRES DU TEMPS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★"今昔まんがまつり"とは?

近年発表されるアニメーション映画の本数は膨大なものとなり、すべてのアニメーション映画を閲覧する事は不可能な時代へと突入しています。

 

推しのアニメを一生見続けられるというのは幸せな事ではないかと思いますが、その一方で、自分が知らないアニメと出会うための時間を作るのは、簡単な事ではなくなりつつあるのではないでしょうか?

 

本シリーズはそんなアニメの百花繚乱時代において、かつて日本に存在していた「東映まんがまつり」や「東宝チャンピオンまつり」のような、雑多なアニメが一挙に上映されるようなイベントがもし存在したとしたら、どんな効果があるかをシミュレーションしてみようという夏休み企画!

なんとなく立ち寄った古本屋さんに素敵な本が見つかったり、何気なく観に行った3本立ての名画座で、大好きな作品巡り合えるような、そんな偶然をご提供できればと思っております😊
 

 

↑本シリーズの概要はコチラ!

 
 
どんな作品?

 

本作は1982年に公開されたフランスのアニメ映画。

 

フランスのアニメやマンガは「バンドデシネ」というアート感覚の作品であり、日本の漫画ともアメコミとも異なる不思議な趣のあるタッチの作品が多く存在しています。

 

バンドデシネの例①「ジェレミア」

 

バンドデシネの例②「アンカル」

原作はアレハンドロ・ホドロフスキー!!

 

バンドデシネの例③「ニコポールトリロジー」

 

これらの作品はフルカラーです!

 

 

そんなバンド・デシネの第一人者として世界中の漫画やアニメに影響を与えた「メビウス」ことジャン・アンリ・ガストン・ジロー氏!

 

バンドデシネと言えばメビウス!

 

 

本日の作品は、そんなメビウス氏と、近年カルト的な人気で再注目されている「ファンタスティック・プラネット」のルネ・ラルー監督によって生み出された、ジュブナイル系のSFアドベンチャー・アニメなのです!

 

1980年代にフランスで作られた

宇宙の彼方の物語とは…

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

フランスのアニメーション製作者である「ファンタスティック・プラネット」のルネ・ラルーが、ジャン・ジローの筆名も持ち「トロン」の製作にも参加したコミック作者のメビウスと組んで、三年かかって完成させたタイム・パラドックスSFの長編アニメーション。

フランスのSF作家、ステファン・ウルが1958年に発表した長編小説『ペルディド星の孤児』にもとづき、ラルーとメビウスが脚本を書き、ジャン・パトリック・マンシェットがダイアローグを担当した。

なお、82年のメビウス来日記念シンポジウムの際、ツルモトルームと月刊スターログの共同配給により上映会が行なわれている。
 

そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り。

 

① 映画の冒頭、人間の住んでいない惑星ペルディドの荒野を、クロードとピエールという父子が乗った車が疾走していました。

 

バッタのような形状の車に乗って

荒野を疾走するクロード父子!

 

 

② 家族でペルディドにやって来ていたクロードは、スズメバチのような巨大な昆虫の大群に襲われて妻を殺されてしまったのです。ピエールを救うために逃走していたクロードは、運転しながらマイクという名の通信機を使用して、宇宙の彼方にいる友人で宇宙船の艦長をしているジャファールという男に救援要請をしますが、直後に事故を起こして死亡してしまいました。

 

事故死してしまったクロード!

 

 

③ クロードは死の直前に幼いピエールに向かって、これからはマイクのアドバイスを聞いて、助けが来るまで待つように伝えますが、幼いピエールは父母の死を理解できず、通信機の使用方法も分からないので、たちまちピンチに陥ってしまいました!

 

死の直前にピエールにマイクを渡し、

スズメバチがやって来ない森へ向かい

マイクと会話するよう

ピエールに命じたのですが…

 

幼いピエールは移り気で

マイクを置いて行ってしまいます!

 

 

④ クロードからの連絡を受けた時、革命が起こって自分の惑星を追われていたマトン王子とベル王女を乗せて宇宙を航行中でしたが、事態が緊急を要する事を悟って航路をペルディドへと変更し、途中、現地に詳しいシルバードという旧知の老人を同乗させるためにデヴィルス・バルという星へと向かう事にしたのです。

 

シルバードが住むデヴィルス・バル星は

空に蓮の花が飛ぶ不思議な星。

 

 

 

さて、果たしてジャファールたちは、無事にピエール少年を救出する事が出来たのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

一人ぼっちのピエールに向かって

マイクを通して話しかけるのは

ジャファールだけではありませんでした。

 

「どうしてマイクは色んな声なの?」

ピエールは不思議そうです。

 

 

 

【選ばせて頂いた理由】初恋の感覚を瞬間冷却!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作を選ばせて頂いた理由は以下の3つ。

 

選ばせて頂いた理由① 80年代らしい宇宙描写

 

1982年に公開された本作は、世界中の人たちが、遠くない未来に宇宙への旅が可能になると夢想していた時代のイマジネーションに満ちた異世界描写が魅力的なSFアニメ。近年の映画やコミックなどでは、異星の人たちとの交流する事が可能な場合が多い気がしますが、真剣に未知なる星を探索しようと考えていた80年代における宇宙の描写は、人間とは相容れない存在が徘徊している事も多く、温故知新なテイストを味わえると思い選ばせて頂きました。

 

蓮の花が開くと生物が誕生!

…わぁ宇宙って素敵ラブラブ

 

一方、ピエールのいるペルディドには

会話も成り立たないスズメバチ!

こんなのが大量に襲って来るの!?

宇宙って怖いあせるあせる

 

 

選ばせて頂いた理由② 宇宙でも人間は独りぼっち

 

本作は、登場人物誰もが孤独を感じながら生きている作品。ひとりぼっちになったピエールはもちろん、普段は宇宙を一人で航行しているジャファールや、蓮の花に魅了され、たった一人でデヴィルス・バルで暮らしているシルバードや、国を追われたマトン王子も孤独の中で自分の生き方を模索しているのです。

 

そう。

 

たとえ宇宙に行ったとしても、人間と言うのは孤独を感じながら生きるもの。

 

 

日本のアニメの多くは、誰かと繋がる事で勇気や元気をもらう展開の作品が多いのですが、子供の頃から、親と距離を持たれてしまうフランス人の心の中にあるのは、人間は孤独な生き物であるという寂莫の想い。本作は、そんなフランス人の孤独な心理を垣間見せてくれる作品でもあるのです。

 

蓮から生まれた妖精のジャドとユーラは

テレパシーで人の心か読めるので

国を追われたマトン王子が

財宝を持ち逃げした事を不思議がります。

「これが欲しくて孤独を選んだの?」

 

 

選ばせて頂いた理由③ パラドックスSFとは?

 

「キネマ旬報社」さんの解説にある通り本作は「タイム・パラドック」の謎が描かれている作品。ネタバレとなってしまうためにこれ以上の言及は避けますが、1970~80年代のSFには「パラドックスもの」と呼ばれる「物語の最後に受け入れがたい事実が明かされる」作品が少なからず存在していました (有名なものとしてはトム・ゴドウィン氏の「冷たい方程式」という小説があります)。そんなパラドックスSFの特徴は、観終わった(読み終わった)後で「人生とは何だ!」というような、不思議な想いが心の中に去来する事!私としては、そんな感覚は「思春期」にこそ一度は味わってもらいたいと思います…

 

あゝ人生とは何ぞや?

そんな気持ちになるパラドックスものは

思春期にこそ観るべきなのです…

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

今昔「思春期向け」まんがまつり③

 

というテーマで

 

機動戦士ガンダム

ククルス・ドアンの島

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観た懸想を描いた作品
「ファンタスティック・プラネット」

 

 

本作はアニメと言っても、

子供が観るような作品ではなく、

70年代初頭のデストピア的な

世界観が描かれたダーク・ファンタジー!

 

虫けらのように必死になって

生き延びようとして足掻く人間と、

日々空想に耽る巨人が

暮らしている世界を舞台にした本作は、

圧倒的なチカラを持つ巨人と、

非力ながら創意工夫を重ねてゆく人間。

 

果たして次世代の支配者は

どちらなのでしょう?

 

世界の変化に対応できない生物は

適者生存の理から外れ

滅び去っても仕方がないのかもしれません…