こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と歌は世につれというテーマで
悪魔とダニエル・ジョンストン(2005)
(原題:THE DEVIL AND DANIEL JOHNSTON)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★歌は世につれとは?
↑本シリーズの概要はコチラ!
本作は2005年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画。
タイトルからもお分かり頂けると思いますが、本作はダニエル・ジョンストンという人物にスポットを当てたドキュメンタリー映画。
…ダニエル・ジョンストンって誰?
という方もいらっしゃると思いますが、彼の名前を知らなくても、彼の描いた目の飛び出したカエルのようなイラストは、ご覧になった事があるかもしれません。
故カート・コバーンが着用していた
Tシャツのデザインとしても有名なカエルは
ダニエル・ジョンストンの作品!
本作は、そんな卓越したアート感覚を持っていたダニエル・ジョンストンというミュージシャンの数奇な運命を知る事ができるドキュメンタリー作品なのです。
不思議な絵も描くミュージシャンの
ダニエル・ジョンストンとは
どんな人だったのでしょう?
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
むむむ。
という事は、ダニエル・ジョンストン氏は躁うつ病なのに天才シンガー・ソングライター兼アーティストとして大成された方!?
そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り。
① 本作は、ダニエル・ジョンストン氏の父母や彼をサポートしてくれていた音楽仲間たちの証言による、ミュージシャンとしてのダニエル・ジョンストン氏の誕生と、その後の人生の軌跡を描いた作品であり、5人兄弟の末っ子として生まれたダニエル・ジョンストン氏は、幼少期から自作のビデオを製作するようなクリエイティビティの高い少年だった事が語られます。
子供の頃にダニエルが自作した
映画「月曜日の憂鬱」。
月曜日は学校行きたくないという
想いが伝わってきます😊
② そんなダニエルは、ミュージシャンとしても特異な才能の持ち主でもありましたが、その一方で双極性障害 (躁鬱病) の傾向があり、自身に興味がある事に没頭したり、奇妙な言説が禍したりして、大学生活を送る事ができず、ヒューストンに住んでいる兄の家に身を寄せ、ガレージをスタジオ代わりにして音楽活動をするようになります。
兄弟に見守られる中、
ガレージで音楽活動を始めます。
③ ジョン・レノンやボブ・ディラン、ニール・ヤングなどのメッセージの強い弾き語り系の音楽に影響を受け、自作の曲をカセットテープに録音して発売し始めますが、そのテープを聴いた音楽関係者の多くは、斬新なのにエモーショナルなダニエル・ジョンストンの歌に衝撃を受け、彼は音楽界の寵児となってゆきます。
ビートルズのアルバム
「サージェント・ぺパー・
ロンリーハーツ・クラブ・バンド」に
触発されたと思われる
ダニエル・ジョンストン製作の映像!
センスが良いですね!
そんなダニエル・ジョンストンの曲は
子供っぽいけど郷愁を誘う
心の琴線に触れるような名曲ぞろい。
こんな曲、誰も作れません!!
④ けれど好事魔多し。音楽的に成功し始めていたダニエルに近づいて来たマネージャーは、彼にLSDなどのドラッグを教えられた事で、脳内のイマジネーションと現実の区別が曖昧となってしまい、自分の頭の中に悪魔が現れた、神の啓示を受けたと言った発言をするようになり、遂には傷害事件を起こして措置入院を命じられてしまったのです!
僕の頭の中身が飛んでいっちゃった…
妄想と躁鬱が錯綜してしまい
行動が制御不能となっていってしまった
ダニエル・ジョンストン…
折角、音楽の才能が見いだされていた矢先なのに、可愛そうですね…
さて、頭の中の悪魔と会話し続けるようになってしまったダニエル・ジョンストンは、果たしてどうなってしまったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
入院して治療薬を服用すれば
頭がぼんやりして
イマジネーションは失われますが
けれど服用を止めれば
現実と妄想が混濁してしまいます。
そんなダニエルに
再起の道はあったのでしょうか?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はアウトサイダーアートとも言えるダニエル・ジョンストンの人生を俯瞰する事で、彼の孤独や心の痛みが理解できるよう作られたドキュメンタリー映画。
彼は愚者ではなく、自分が好きなものに溺愛する事でイマジネーションのベースとしてゆくという、クリエイターに不可欠な資質を持っていながらも、その影響が作品を越えて日常にまで浸食してしまった事で、普通の生活を送る事ができなくなってしまうタイプのアーティストだったのです。
LSDによって作品の方向性が変わり
ダニエル・ジョンストンの作品には
神や悪魔が頻出するようになりますが
それは熱心なキリスト教徒の父母の言説や
敬愛するミュージシャンの影響!
ビートルズの「ホワイト・アルバム」に
収録されているジョン・レノンの
「Revolution 9」という
コラージュ曲に影響を受けて
「9」は悪魔の言葉だと言い始める
ダニエル・ジョンストン。
純粋すぎるダニエルにとって
「Revolution 9」は
狂気への扉となってしまいました…
普通の人でも狂気に陥りそうになる
「ホワイトアルバム」の「Revolution 9」!
そう。
異能の天才には、その才能を上手に作品へと昇華させてくれる協力者が必要となるのです。
ですが大変残念な事に、ダニエル・ジョンストンの周辺には、彼の事を心配はしてくれていても、彼の心の中の想いを創作活動へと昇華させる手伝いをしてくれる協力者は存在してしいかったようで、彼は心の中いるキャプテン・アメリカや、おばけのキャスパーや、牙のあるアヒルや目玉の怪物と脳内で語りあって創作活動を続ける「孤独のアーティスト」となってしまうのです…
ダニエル・ジョンストンの絵からは
彼の心の中の世界が垣間見えます…
私見ですがそんな本作は「キネマ旬報社」さんの解説にあるように繊細さゆえに、躁うつ病に苦しむ天才シンガー・ソングライター兼アーティスト、ダニエル・ジョンストンの狂気、創造性、愛を描いたドキュメンタリーであると同時にもしダニエル・ジョンストンが若い頃に、現代のようなSNSで彼の歌を世界中に発信できるような環境があったとしたら、彼の孤独な心を理解してくれる世界中のファンに支えられ、別の人生を歩めたのではなかと考えさせられるような作品としても観る事ができる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?
恐らくですが、彼が音楽活動をしていた時
ダニエル・ジョンストンの孤独な心を
理解していたのはニルヴァーナの
カート・コバーンでしたが
彼がダニエルのTシャツを着た事で
ダニエルはエンタメ側の人たちに
目を付けられてしまいした
そんなダニエルの理解者であった
カート・コバーンも1994年に死去。
そして2019年の9月10日に
ダニエル・ジョンストンもまた
帰らぬ人となりました(享年58歳)。
ですが孤独な魂を知る人は
故人となったダニエルの曲を
今でも大切に歌い継いでいるのです…
ダニエル・ジョンストンの心中を歌った
「STORY OF AN ARTIST」は
多くの人にカバーされていますが
日本人の方では、ふちがみとふなとさんの
「歌う人」が一番心に刺さる気がいたします…
という訳で次回は
ネコに何が起こったのか?
というテーマで
キャッツ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい孤独な芸術家の人の作品
「ゴッホ 最期の手紙」
本作は、かの
フィンセント・ファン・ゴッホの絵を
アニメーション化した作品!!
ゴッホの絵のタッチは、
感情を筆に乗せたような躍動感のある
“今にも動き出しそうな筆致”ですので
アニメーション化するのは大変な作業!
ですので本作はゴッホを愛する
100人のアニメーターたちが集結し
作った共作アニメーション!!
そんな本作は、
ゴッホの死因にまつわる映画でり
同時に様々なアニメーターが
彼の孤独な心を理解し
賛辞を送っているような作品に
なっているのです😆