こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑲というテーマで

 

ミュージックボックス(1989)

(原題:MUSIC BOX)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

戦後40年に語られる戦時中の真実

 

本作は1989年に公開されたアメリカ映画。

 

1989年と言えば、第二次世界大戦が終結してから40年以上の歳月が経っていますが、本作で描かれているのは40年以上前に起こった事に対する弾劾裁判。

 

 

そんな本作は、戦争が終わった、ずっとパンドラの箱に隠されていたような罪悪が、40年の時を経て社会に放たれてゆくような人間の暗部を見せつける、観終わった観客の心にショックを植え付けるような作品なのです…

 

ちなみにミュージック・ボックスとは

オルゴールの事なのですが

本作のオルゴールは、

箱の中に災厄が潜んでいる

パンドラの箱のようなものなのです!

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ユダヤ人虐殺の嫌疑をかけられた父の無実を晴らそうとする女弁護士の遭遇する〇〇〇〇〇を描くサスペンス。

エグゼクティヴ・プロデューサーは脚本も兼ねるジョー・エスターハスとハル・ポレール、製作のアーウィン・ウィンクラー、監督のコンスタンチン・コスタ・ガブラス、撮影のパトリック・ブロツシュは「背信の日々」のコンビ。音楽はフィリップ・サルドが担当。

出演はジェシカ・ラング、アーミン・ミューラー・スタールほか。

※〇〇〇〇〇の箇所はネタバレになり得る言葉ですので伏字とさせて頂きました。
 

 

 

はい。
 
解説にある通り本作は、ユダヤ人虐殺の嫌疑をかけられた父の無実を晴らそうとする女弁護士が遭遇した出来事を描いた作品。
 

 

そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り。

 

① 女性弁護士のアン・タルボットは、第2次大戦後にハンガリーから農民としてアメリカに移り住んだ父親マイク・ラズロの娘。マイクは武骨な老人でしたが、周囲の住人とも仲良くやっており平和な老後を送っていました。

 

既に自立しているアンとマイクですが

2人は今でも仲良し父娘でした。

 

 

② けれどそんなマイクはある日、第二次世界大戦中にユダヤ人を虐殺した人間として告発され、米国籍を剥奪される裁判に出頭するよう命じられます。ハンガリーで農民として暮らしていた自分はユダヤ人虐殺などしていないと主張するマイクは、米国籍がはく奪されて共産党政権のハンガリーに強制送還されれば、間違いなく死刑になると言い、アンに自分の弁護をするよう要請します。

 

詳しい事情を聞くためにアンと共に

特別捜査局を訪れたマイクに対し

捜査官たちは握手すら拒否!!

 

 

③ 身内のマイクを弁護する事に躊躇していたアンでしたが、裁判関係者の多くがユダヤ人であり、放っておけば間違いなくマイクは有罪になると悟ったアンは弁護を引き受ける事にします。

 

メディアで殺人鬼と報道され

孤立無援となってしまったマイクを

励ますアンの息子のハリーと

もし、いじめに逢っても負けるなと

ハリーを励ますマイクの姿を見て

アンも弁護する決意をします。

 

 

④ ですが裁判が始まると、検察側はマイクは農民ではなくアロー・クロス暗殺部隊の元指揮官でミシュカと呼ばれていた男で、在任中に多数のハンガリー系ユダヤ人を拷問した上に、女性を強姦して殺害していたと告発し、アン自身が個人的にマイクに真偽を問うと、実は自分は農民ではなく警官だったと告白しますが、嘘をついていた理由は、アメリカに移民するのために農民だと申請する必要があったのだと釈明したのです。

 

アロー・クロスのミシュカの写真と、

移民申請時のマイクの写真は

ほぼ同一人に見えますし

筆跡鑑定も一致しますので

マイクとミシュカは同一人物です!

 

 

 

…むむむむ。

 

これは、雲行きが怪しくなって来ましたね汗汗

 

 

さて、果たしてマイクの裁判は、どのように結審したのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

次々と現れる検察側の証人は

マイクをミシュカだと断罪しますが

どの証言も確証がなく

印象批判のような内容であり

マイクに対する魔女裁判のような

様相を呈してゆきます。

果たして真実の行方は!?

 

 

【私の感想】時節の経過によって変化するもの

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は時節が経過する事によって変化してゆく事象を描いた作品。

 

第二次世界大戦が終結した1945年の事は、本作が公開された1989年には40年以上昔の出来事であり、当事者たちの記憶があやふやである可能性も否めません。

 

 

ですが、ソ連が崩壊した後だから語られるようになった40年前の真実があった事も事実であり、時が経たないと明らかにならない事実というのも存在するものなのです。

 

 

 

そう。

 

人間は時と場合によって、自分の考えや主張を都合よく変化させてゆくもの。

 

 

 

本作は、そんな人間の生々しい人間の本性が描かれた作品であり、観終わった後、どのような感情が観客の胸の中に沸き起こるかも含めて評価されるべき作品となっているのです。

 

父親を助けたい一心で涙するアン。

ですがこのような感情さえも、

人間は時と場合により

都合よく変化されてしまうのです…

 

 

私見ですがそんな本作は父親の無実を証明するために奮闘する女性弁護士アンの孤独な戦いを描いた作品であると同時に人間の全ての発言は、自説を正当化するための方便のようなものかもしれないという事実を観客の目の前に突き付けるような作品として観る事もできる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

正直に告白すると、

私は若い頃に本作を観た時に

監督の底意地の悪い視点を嫌悪し

大嫌いな作品でした。

 

ですが経年した現在では

このような出来事が

人生で起こった場合に

どう対処すべきかを考える

機会を与えてくれた価値ある作品

として評価しています…

 

 

 

 

 

という訳で次回はいよいよ本シリーズの最終回。

 

不思議の国ガンヒル

 

というテーマで

 

新ガンヒルの決斗

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品
「ランニングマン」

 

詳細を書く事は

差し引かおさせて頂きますが

本作は「ミュージックボックス」と

類似したタイプの作品。

 

他の類似作品としては

「手紙は憶えている」

「オデッサ・ファイル」

などでばないかと思います…