こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑲というテーマで

 

脱獄(1962)

(原題:LONELY ARE THE BRAVE)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

広義の意味の脱獄とは?

 

本作は1962年に公開されたアメリカ映画。

 

本作の主人公は刑務所から脱獄した男ですので、邦題の「脱獄」というタイトルは間違っていないのですが、原題は「LONELY ARE THE BRAVE (淋しき勇者)」という脱獄とは全く関係ないもの!

 

本作の別ポスター。

 

 

ちなみにポスターのキャッチコピーには「LIFE CAN NEVER CAGE A MAN LIKES THIS! (こんな男の人生は、絶対に檻に入れられない!)」と書かれており、不屈の闘志を持つ男が主人公だと記されています。

 

 

…という事は、不屈の闘志を持つ男=淋しき勇者なのでしょうか?

 

そんな本作は、強い意志を持って自分の生き様を貫きとうそうとする男の孤独を描いた名作なのです。

 

不屈の闘志を持つ淋しき勇者とは?

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

エドワード・アビイの小説「勇敢なカウボーイ」を「ガン・ファイター」のダルトン・トランボが脚色、「誰かが狙っている」のデイヴィッド・ミラーが監督した現代西部劇。

撮影はフィリップ・H・ラスロップ、音楽はジェリー・ジャーメイン。出演は「非情の町」のカーク・ダグラス、ジョン・キャサベテス監督夫人のジーナ・ローランドのほかウォルター・マッソー、新人マイケル・ケインなど。

製作はエドワード・ルイス。

 

 

 

え?
 
西部劇??
 
 
確かに主人公のいで立ちは西部劇風ですが、本作の舞台は自動車やヘリコプターなども登場する1960年代!!
 
主人公はカウボーイみたいですが
映画の舞台は公開当時の1960年代です!
 

 

 

そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通りです。

 

① 主人公のジャック・バーンズは愛馬ウィスキーとともに、気が向くままにアメリカを旅をしていたカウボーイ。ジャックは旧友のボンディが刑務所に収監されるという話を聞き、彼を訪ねるために久しぶりにニュー・メキシコの街へとやって来ました。

 

ジャックが進むボンディの家への道は

右が廃車置き場、左が墓場という

何かを暗示するような光景…

 

 

② けれどボンディは既に拘置所に入れられており、妻ジェリーの話では、ボンディはメキシコからの不法入国者に仕事を求めている人を紹介しただけで捕まったという事を聞すたジャックは、親切にしただけで罪になるのかと怒り、なんとかして刑務所に移送される前にボンディを救い出そうと考えました。

 

ジェリーはボンディの行為を

軽率で愚かだと激怒していますがで

ジャックはジェリーをなだめ

そういう事をするのが西部の人間だと

言い聞かせ、自分がボンディを

救い出そうと申し出たのです。

 

 

③ 拘置所に入るためにトラブルを起こそうと考えたジャックは、地元の人間しか出入りしないような酒場で、喧嘩を売って来た男を返り討ちにして警察に捕まりますが、情状酌量で釈放されそうになったために警官を殴り飛ばし、ジャック自身も刑務所に行きが確定してしまいますあせる

 

酒場で絡んで来た隻腕の男に

自分も片手で戦ってやると挑発して

大乱闘となったジャック!

当然、通報されてしまいます。

 

 

④ 留置所の中でボンディに再会したジャックは脱獄して一緒に逃亡しようと誘いますが、ジェリーと息子がいるボンディに、今の家を捨てる気はないので大人しく服役すると言われてしまったために、一人で留置所から脱出し、指名手配される事になってしまうのです。

 

脱獄して自由になろうと言う

ジャックの誘いを断ったボンディ。

 

仕方なくジャックは一人で

留置所から脱獄する事にしたのです。

 

 

…つまりジャックは、友人のために留置所に入った結果、自分が脱獄者として指名手配されてしまったという事!?

 

 

さて、警官たちから追われる事になってしまった脱獄者のジャックは、一体どうなってしまったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

ボンディが服役するのを知らせに

自分の元に戻って来たジャックの姿に

軽率で愚かだと思っていた

ボンディと同じような行為を

自分に行ってくれたジャックの行為に

思わず涙してしまうのです…

 

 

【私の感想】ダルトン・トランボという生き方

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は「スパルタカス」や「ローマの休日」のダルトン・トランボが脚本を担当された作品 (キネマ旬報社さんの解説の脚色というのは誤字だと思います)。

 

発掘良品で「ジョニーは戦場に行った」と「黒い牡牛」という2つの作品を担当されたダルトン・トランボ氏の脚本の特徴は「どんなに孤独な状況に陥ったとしても、自分の意志を貫く強さを持て!」という強いアイデンティティ!

 

 

たった一人でヨーロッパ中を歴訪していた少女が、自分の運命を受け入れて王女としての任務を全うしようとする「ローマの休日」も、爆撃を受けて手足だけでなく目も口も失ってしまった男が、絶望の中でも生きる事を選択し、他者にメッセージを伝えようと奮闘する「ジョニーは戦場へ行った」と同様、本作のジョニーも、自身のアイデンティティである「誰にも縛られないで思った事をやる」という当時失われつつあったカウボーイ精神で、警察から逃げ切ろうと奮闘するのです!

 

一人なら簡単に逃亡できるのに

愛馬ウィスキーと共に

危険な山岳地帯を逃亡するジャック。

理由は恐らく、自分が愛した馬を

見捨てるなんてできないから!

そして、そんな西部の男だから!

 

 

そう。

 

人間が決断して行う全ての選択は、その人間の価値を形作ってゆくものなのです。

 

自身が赤狩りにあって

脚本家としての仕事を奪われた

ドルトン・トランボでしたが

それでも作品を発表する事を諦めず

「ローマの休日」では

イアン・マクレラン・ハンターという

友人名義で脚本を執筆し

オードリー・ヘプバーンの

運命を変えてしまったのです…

 

 

私見ですがそんな本作は失われつつ西部時代の美徳を貫こうとしたジャックという孤独な男の生き様を描いた作品であると同時に世界レベルで他者の考え方や生き方に対して同調圧力を強いるような人々が跋扈している現代において、我々はダルトン・トランボのように、たとえ孤立したとしても自分の生き方や主張を曲げずに生きて行けるのかを問うような作品としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

断崖絶壁を馬と一緒に登る!?

それって軽率で愚か?

それとも…

 

本作は、そんな絶望の中

自分の意志を貫いて生きて来た

ダルトン・トランボの魂を

垣間見る事ができる作品なのです!

 

 

 

 

という訳で次回は

 

独立者カーク・ダグラス

 

というテーマで

 

赤い砦

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品
「ジョニーは戦場に行った」

 

第一次世界大戦に参戦し

手、足、目、口、などを失ったジョニーは

名前も分からない肉塊として

病院で実験体として生き続けます。

 

ジョニーの見る夢はフルカラーですが

現実世界のジョニーは

真っ暗なモノクロ世界の住人なのです!