こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑰というテーマで

 

ハイヒール(1991)

(原題:TACONES LEJANOS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

 

 

 

スペイン映画は「女はつらいよ」!

 

本作は1991年に公開されたスペイン映画。

 

「スペイン映画なんてあまり観た事がない」という方も少なくないのではないかと思いますが、実は日本で公開されているヨーロッパ映画の中で、スペイン映画はかなり多数!!

 

「パンズ・ラビリンス」「死ぬまでにしたい10のこと」「それでも恋するバルセロナ」「ボルベール <帰郷>」などのスペイン映画は、ご覧になった方も多い作品ではないかと思います😊

 

 

ちなみに上記全ての作品の共通点は「女性の受難」が描かれている事!!

 

 

 

近年に至るまで国内で多くの動乱が発生し続けていたスペインの女性たちは、常に悲劇を噛みしめながら生きて来たのです!

 

イスラム教徒の侵略、強権政治による内乱

教会の異端審問や魔女狩りなど、

女王でさえ悲劇に見舞われるスペインは

女性の悲劇の物語が数多く描かれる国!

(「王女ファナ」より)

 

 

 

本日の作品も、そんなスペインの女性たちの受難を描いた「女はつらいよ」とも言うべき作品なのです😥

 

スペインの女性の受難は子供の頃から!!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

母と娘の愛情をシリアスなタッチで描くコメディ。

監督・脚本は「アタメ」のペドロ・アルモドヴァル、製作はアグスティン・アルモドバル、撮影はアルフレド・マヨ、音楽は「シェルタリング・スカイ」の坂本龍一が担当。

 

 

 

母と娘の愛情をシリアスなタッチで描くコメディ

 

…ちょっと意味が分かりにくいですねあせる

 

 

ですので、もう少しだけ本作のテイストを解説させて頂くと、本作はご覧になられる方が女性だとシリアスな作品ですが、男性にとってはコメディ・タッチに見えてしまう可能性がある作品!

 

その理由は解説にある通り、本作の登場人物は母親と娘なので、母と娘の関係が分からない男子にとってはシリアスな作品だとは思えないからだと思います!

 

 

 

主人公のレベーカは、人気歌手のベッキー・デル・パラモの娘ですが、ベッキーは常に自分中心の生き方を選択する女性であったため、レベーカは孤独を感じながら生きて来ました。

 

結婚離婚を繰り返すベッキーは

娘よりも新しい夫とイチャイチャ!!

義理の夫がレベーカに意地悪しても

ベッキーは気にも留めませんあせる

 

 

そんなベッキーの何度目からの夫は、妻に対して暴力を振るうドメスティックな男!!

 

母が涙している姿を見ていられなかった幼いレベーカは、義理の夫が常用していた覚せい剤と睡眠薬の中身をこっそり入れ替え、自動車事故を起こさせて殺害してしまいます。

 

母親を義父の暴力から守るために

薬を入れ替える幼いレベーカ!

 

 

レベーカが薬を入れ替えた事を知らなかったベッキーは、義父の死を悲しみ、これからは2人で仲良く暮らして行こうとレベーカに言いましたが、ほどなくベッキーは新しい夫と結婚し、新天地を求めてレベーカをスペインに置き去りにしてメキシコへと旅立ってしまったのです!!

 

「お母さん。2人で暮らすって言ったじゃない」

「レベーカ。お母さんの夢を壊さないで!!」

 

 

 

…ね。

 

これって女性の方にとっては、コメディでは済まない問題ですよね😟

 

 

 

尚、メキシコへ旅立ったベッキーは、その後12年間の間一度もスペインには戻らず、レベーカの結婚式すら参列しなかったのです!!

 

 

 

さて、そんなレベーカとベッキーは、12年ぶりに再会した時、どんな話をしたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

12年ぶりの母との再会に緊張するレベーカ!

果たして2人は仲良くできるのか!?

 

 

 

【私の感想】 引力と斥力が共存している母娘関係

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでの解説は、映画開始5分のものですが、たったこれだけの内容に、上手くいかない母と娘との関係がどのようなものであるかが、見事に描き込まれているよう思われます。

 

 

ベッキーは、母である以上に女であり歌手でありたいと思って生きている女性。

 

それに対してレベーカは、偉大な母に認められたいにも関わらず、彼女の眼の中に入れてもらえない事に忸怩たる想いを抱いている女性。

 

 

 

そんな二人は、自分の意志を貫こうとすればする程ぶつかり合ってしまい、2人の再開は緊張をはらんだものとなってしまうのです…

 

母の主張 → 娘がムッとして反論

→ 母が娘の意見を瞬殺 →(母娘の断絶)

こういう言い合いをされた事がある母娘は

いらっしゃるのではないでしょうか…

 

 

 

そう。

 

母と娘は、ずっと仲良しでいたいという引力と、自分の想いを認めさせたいという斥力が相反して存在する、とてもセンシティブな関係!!

 

 

そんな2人の相反関係を描いた本作は、意固地になって奇行に走っているような2人の行動が、実は愛に溢れたものであった事が分かった後に、穏やかな終焉を迎える事となるのです…

 

レベーカが結婚した相手は、

かつてベッキーと熱愛だったTV局の社長!

 

はい。もうお分かりですね!

レベーカが母の愛人と結婚したのは、

母への当てつけなのです…

 

 

 

 

私見ですがそんな本作は、強烈なアイデンティティを持つベッキーに対抗しようとするレベーカのアンビバレントな想いを描いたスペイン人らしい家族の映画であると同時に現在、母と娘の関係が険悪な状態に陥っている方がご覧になる事で、相手のへの愛情を思い出すキッカケとなるよう作られた作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

娘は母に愛されたいと願いながらも

自分の想いが届かない事に怒り

母は娘の未熟さに怒りをぶつけながらも

否定されるとショックを受けます。

 

けれど、ほとんどの場合

根底に愛がある母娘は

どんなに喧嘩をしたとしても

心の奥底では喧嘩を悔いて

和解を求めているのだと思います😊

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

もし明日死ぬのなら…

 

というテーマで

 

早春

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品の母娘関係の作品!
「愛と憎しみの伝説」

自分の意に沿わない養女に対して
凄まじい暴力を振るう

大女優シンディ・クロフォード!

大女優はそんな事する訳ない?

いいえ。

残念ながら幼児虐待に貧富の差がない事は
現代に生きる皆さんならご存知ですよね…

 

時として義母と娘の関係は、

実子とは異なるのかもしれません…