こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑰というテーマで
アマルコルド(1974)
(原題:AMARCORD)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
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本作は1974年に公開されたイタリアとフランスの合作映画。
邦題は「フェリーニのアマルコルド」という名称の場合もあるのですが、フェリーニとはもちろん「道」や「8 1/2」といった作品で有名なフェデリコ・フェリーニ監督の事!!
1970年代前半のフェリーニ監督作品は「フェリーニの道化師 (1970)」「フェリーニのローマ (1972)」「フェリーニのアマルコルド (1974)」という感じで、全て「フェリーニの〇〇〇〇」という邦題となっているのですが、これは恐らく芸術愛好家などのアカデミックな人たちの間でフェデリコ・フェリーニ監督作品が高く評価されたのを逆手にとって、作品内容を説明る事が難しい本作のような作品を"ほら!あのフェリーニ先生の新作です!"として宣伝したかったからではないかと思われます(同じ手口は1980年代のジャン=リュック・ゴダール監督の作品でも見受けられます)。
"ほら!あのゴダール先生の新作です!"
…という事は本作は、アカデミックな人向けの難解な作品なの??
いいえ。
むしろ本作は、誰にでも撮る事ができる「私的な思い出日記」のような作品なのですが、私的な思い出を映像化して評価されるのは、有名監督の特権なのではないかと思います!
フェリーニ監督の魂の故郷、港町リミニとは?
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
はい。
この「アマルコルド」とはフェリーニの故郷である北部イタリアのリミニ地方の今はもう死語になっている言葉で“エム・エルコルド”(私は覚えている)という言葉がなまったものという解説は秀逸😆
いま使われている言葉ではなく「既に死語になっている言葉がなまったもの」がタイトルである以上、本作は"今はもう、知っている人がいなくなってしまった時代"を描いた作品!
その時代とはもちろん、フェデリコ・フェリーニ監督の少年時代!!
家族がみんなで食卓を囲んでいたあの頃。
そんな本作は解説にある通り、少年時代のフェリーニ監督自身が体験したり、見聞きしたり、想像したりした1年を映像化した、思い出アルバムのような作品。
映画の冒頭、舞台となる港町リミニに春を告げる大量の綿毛が飛来し、喜んだ町の人々は広場に焚き木を積み重ねて、春告げ祭りを行います!
綿毛舞うリミニの春!!
町中みんなウッキウキ😆
さぁみんな、いらなくなった冬物を燃やして
春告げ祭りの始まりだ!!
冬の魔女の人形も燃やすよ~!!
ねぇ、火を見てるとゾクゾクしない?
警官もハメをはずして大騒ぎ!!
これが港町リミニの春告げ祭りでした😆
もちろん春告げ祭りの後も、リミニの町には色々な事が起こります!
子供たちが学ぶ学校では、個性的な先生たちの教育が行われ…
「みんな振り子は知っとるか!?」
「右、左、右、左、右…」
「外国の子にイタリア語は難しいゾ!」
「ベロを出す様に発音のじゃ!」
色っぽいお姉さんの誘惑にイタリア男子がメロメロになったり…
「あらエッチね。見ないでよ~」
「ウヘヘヘヘヘ😍」
町の沿岸にイタリアが建造した豪華船レックス号が航行すると聞いて、町中の人たちがボートで見物に出かけたり…
みんなでレックス号を見に行こうぜ~!!
ところがレックス号がやってきたのは夜中!
だけど町の人は大喜びで手を振って迎えたのです😄
…なんだか波乱万丈の1年みたいですね!
さて、果たしてフェリーニ監督が作品として残したかった1年には、どんな出来事があったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
フェリーニの分身だと思われる少年チッタは
憧れのお姉さんと親しくなりたくて
映画館で少しずつお姉さんの近くへと…
果たしてチッタの作戦は成功するのか!?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は自分が経験した事でないにも関わらず、観ている観客が懐かしさに涙を流すようなノスタルジックな作品!!
え?
なぜ体験した事がないのに懐かしいの?
それは、この作品の中で描かれているフェリーニの思い出は、既に失われてしまった過去の出来事であり、観ている観客はとっくの昔に失われてしまった自分の過去の出来事と重ね合わせながら本作を観る事となるのです。
リミニで耐久レースが開催され
町中の人たちも一緒に24時間観戦!!
そんな中、チッタ(フェリーニ)の脳内では
レーサーになってモテモテの自分の姿!
おお。
これって男の子が誰でも想像する
恥ずかしい妄想ですよね😅
…ああ、俺もあの頃さぁ
私見ですがそんな本作は、フェデリコ・フェリーニ監督がどんな思春期を過ごして来たのかを知る事ができる貴重な記憶遺産のような作品であると同時に翻って自分はどんな思春期を送っていたのかを思い出させてくれる「記憶への扉」のような作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?
そして時が過ぎ、気づけばまた綿毛の季節…
皆様にとっての青春時代は、
どんな思い出が映像化されるものですか?
という訳で次回は
配給会社の罪と罰
というテーマで
ベルサイユのばら
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい監督の私的な想いの描かれた作品!
「ノスタルジア」
フェリーニ監督の 「アマルコルド」が
もう戻れない青春時代の映画なら
アンドレイ・タルコフスキー監督の本作は
“帰りたくても帰れない故郷への想い”
が描き込まれた作品。
本作公開後の1984年、
タルコフスキー監督はソ連当局からの
帰国要請を撥ね付け
事実上の亡命を宣言し、以降、
ソビエトに戻る事なく生涯を終えるのです…