こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑰というテーマで

 

メリーゴーランド(1974)

(原題:L'ULTIMA NEVE DI PRIMAVERA)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

 

 

 

晩春の雪とメリーゴーランド

 

本作は1974年に公開されたイタリア映画。

 

原題はイタリア語で「L'ULTIMA NEVE DI PRIMAVERA」英語のタイルは「THE LAST SNOW OF SPRINGTIME (晩春の雪)」

 

 

「メリーゴーランド」と「晩春の雪」では全然作品のイメージが異なりますね汗

 

 

そんな本作は、息子からプレゼントされたレコードを呆然と聴いている父親の姿で始まる慙愧の念の物語なのです…

 

真っ暗な部屋で息子からプレゼントされた

レコードを聴く父親の胸中とは…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

幼くして母を失った十歳の少年が不治の白血病に襲われ、死ぬまでを父と子の情愛をとおして描く。

製作はオビディオ・G・アソニティスとジョルジョ・カルロ・ロッシ、監督はライモンド・デル・バルツォ、脚本はアントニオ・トロイシオとライモンド・デル・バルツォ、撮影はロベルト・デットーレ・ピアッツォリ、音楽はフランコ・ミカリッツィが各々担当。

出演はレナート・チェスティ、ベキム・フェーミュ、アゴスティーナ・ベリ、マルゲリータ・メランドリ、ニーノ・セグリーニなど。

 

 

むむむ。
 
思いっきりネタバレしてしまっている解説ですね汗
 
 
 
ですが恐らく本作は、主人公の少年が死んでしまう事が分かっていて観る方が、作品で描こうとしている事が理解できる作品!!
 
主人公のルカは、母親を早くに失くしていても健気に暮らしている小学生。
 
 
ルカは、有能な弁護士である父親ロベルトを心から尊敬し慕っていますが、激務のロベルトはルカの世話をする事ができず、寄宿舎制の学校に入学させ、面会も1学期に2回しか行いませんでした…
 
 
 
ですが学校が長期の休みになり、ルカは自宅に戻る事となりました。
 
久しぶりに父親と二人の時間を過ごせると楽しみにしていたルカでしたが、学校に迎えに来たのは父親と一緒に仕事をしている事務所のスタッフでした。
 
待ち合わせの時間に来ない父親を
学校の前で一人待つルカでしたが
やって来たのは父ではありませんでした…
 
 
 
ガッカリしたルカでしたが、気を取り直して家に帰る前に、父親へのプレゼントを買うために町に寄り道してもらう事にします。
 
ルカは一生懸命父親に似合うネクタイを選びますが、購入した後にやっぱり違うネクタイにしたいと言い出します。
 
何十本ものネクタイを吟味して
ロベルトへのプレゼントを選ぶルカ。
 
長時間かけて選んだにかかわらず
店を出た途端、返品したいと言い出すルカ。
 
 
これはルカが我がままな性格ではなく、父親を失望させたくないという想いが強すぎた結果!!
 
もしガッカリさせちゃったらどうしようあせるあせる
 
 
 
ネクタイをプレゼントする事を諦めたルカは、プレゼントをレコードに変更し、映画の冒頭で父親が聞いていたレコードを購入し、レコードジャケットに「大好きなパパへ」というメッセージも書き添えます😊
 
「音楽ならきっと喜んだくれるさ…」
ジャケットに自筆メッセージを書き込むルカ。
 
 
けれど家に帰ったルカがいくら待っていてもロベルトは帰って来ず、ルカが寝てしまってから帰って来たロベルトは、ルカが目を覚ました時には既に仕事場へと行ってしまっていたのです。
 
いつまでも帰ってこないロベルトを心配し
事務所に電話したルカでしたが
既に帰社したと言われてしまいます。
父さんはどうして帰ってこないの?
 
その後、深夜に帰宅したロベルトは
ルカのプレゼントも受け取らずに
仕事場へと行ってしまったのです…
 
 
 
…なんだか観ていて切ないですね😥
 
 
ですがこの後もロベルトは、あまりルカとのコミュニケーションに積極的ではなかったのです。
 
孤独な思いをしていたルカは、母親が生きていた時に撮った8㎜フィルムを出して来て一人で鑑賞する事にしますが、そのフィルムには、母親の映像の後に、見た事もない女性が微笑んでいる姿が映されていたのです!!
 
母との思い出を懐かしんでいたルカですが…
 
母の映像の後に見知らぬ女性が!!
誰???
 
 
 
さて、果たして母親の後に映っていた女性は誰だったのでしょうか?そしてロベルトは、ルカのレコードをいつ受け取ったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
どうしてもロベルトに会いたいルカは
裁判所まで行ってしまいますが
ロベルトは忙しいから帰るよう命じたのです!
ロベルト、それでいいのか?
 
 
 

 

【私の感想】 春の残雪に残るのは後悔噬臍(こうかいぜいせい)の想い

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は、ラストが分かっているからこそ、観客の琴線に刺さる展開の作品!

 

サスペンスやエンターテイメント系作品は、オチが分かってしまえば見る楽しさが半減してしまいますが、本作は「ルカが死んでしまう」という前提でご覧になると、自分の仕事や新しい恋人との関係を重視しているロベルトの行動が、どのような結果を招くのか予想出来てしまい「ああ。何故ロベルトは、もっとルカに優してあげないのか」という想いが観客の心の中に去来するのではないかと思います。

 

 

そう。

 

人間は大切な人を喪った時に初めて、"後で悔んでもどうにもならない"という後悔噬臍(こうかいぜいせい)の想いを痛感するもの。

 

 

ルカが死んでしまった後は、ネクタイを選びきれなかったルカの想いをロベルトが知る術もありませんが、そんな"なにもしてあげられなかった"という慙愧の念は、春になって残っている小さな雪の塊のように、ロベルトの心の中に残り続ける事になるのではないでしょうか?

 

新しい恋人と結婚したかったロベルトは

ルカと二人で行くはずだったバカンスに

彼女を同行させると言い出します。

あまりにもデリカシーがないロベルト!!

 

けれどルカは怒りの呑み込んで

ロベルトの恋人と仲良くする事にします。

 

だって、それがロベルトの望みだから…

拾った貝殻を父親の恋人にプレゼントするルカ。

 

そんなルカの健気な想いもロベルトは知らず

ルカは死んでしまうのです…

 

 


私見ですがそんな本作は、ルカとロベルトの死別までの時を描いた切ないの作品であると同時に映画を観ている自己中心的な大人たちに向って、"あなたの子供との関係は今のままで良いのですか?"と問いかけて来るような作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

子供との遊び方を知らないロベルトは

ルカをボートに乗せてほったらかし!

 

寂しそうにボートを操船するルカの姿は

きっと春の残雪のような小さな塊となって

ロベルトの心に残り続けるのだと思います…

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

アンビバレンツな青春

 

というテーマで

 

ファニー

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい子供との死別を描いた発掘良品!
「クリスマス・ツリー」

父子だけで海にバカンスに出かけ、

子供のパスカルだけが

被ばくしてしまった事を知った父親は、

余命半年のパスカルのために、

できる限り夢を叶えようとします。
 

パスカルに死を悟らせずに

過ごさせたいと願う父親と、

自分の死を悟っていながら

多くを語らない利発なパスカルは、

お互いの事を思いやりながら

最後の日を迎えるのです…