こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力とビヨンド自己実現!というテーマで

 

悪魔の呼ぶ海へ(2000)

THE WEIGHT OF WATER

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★ビヨンド自己実現!とは?

 

自己実現とは、別名「マズローの欲求5段階説」とも言われている"人間は豊かになってゆくステップで、欲しいものの質が変わってゆく"という考え方!

 

5段階目に到達すると「自己実現の欲求(自分が望んだような人生を送りたい!)」という欲求に至るようです。

 

本シリーズは、映画の中で描かれいる自己実現に至った人々は、どんな行動をしているのかを検証してみようといシリーズです。

 

さて、自己実現は人生に幸福をもたらすものなのでしょうか?

 

男女4人のヨットクルーズでの自己実現とは?

 

 

日本未公開のキャスリン・ビグロー作品!


本作は2000年に公開されたアメリカ、フランス、カナダによる合作のキャスリン・ビグロー監督作品。

 

キャスリン・ビグロー監督と言えば「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」「ハートブルー」などを撮られている人気の監督!!

 

 

ですが本作は、2000年のトロント国際映画祭で初公開されたにも関わらず、2002年11月まで米国で公開されず、日本では劇場公開される事がなかったビグロー監督不遇の作品なのです…

 

本作は約100年前に起こった殺人事件の

真相に迫ろうとするミステリー映画です!

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

『アイ・アム・サム』のS・ペン出演、『ハートブルー』のK・ビグロー監督で描くサスペンススリラー。

1世紀前に起きた殺人事件をリポートするために、写真家・ジーンが夫とともに訪れた島では、過去と現在を結びつける恐ろしい惨劇が待っていた。

【スタッフ&キャスト】監督:キャスリン・ビグロー 製作:ジャネット・ヤン 脚本:アリス・アーレン 音楽:デヴィッド・ハーシュフェルダー

出演:ショーン・ペン/エリザベス・ハーレー/キャサリン・マコーマック/カトリン・カートリッジ

 

 

はい。
 
主人公のジーン・ジェーンズは、1897年にニューハンプシャー海岸沖のショールズ諸島のスメティノズ島で起こった殺人事件の真相を追っている女性新聞カメラマン。
 
彼女の夫のトーマスは有名な詩人であり、2人はバカンスを兼ねて、トーマスの弟のリッチが所有しているヨットに乗ってスメティノズ島へと向かう事にします。
 

仲睦まじいジーンとトーマス。

 

 

3人だけの楽しいクルーズの予定でしたが、リッチはヨットに新しいガールフレンドのアデリーンを乗船させていたため、4人のクルーズはダブルデートのような雰囲気になりました😊

 

ただしジーンが気になったのは、初対面だと思っていたトーマスとアデリーンが過去に面識があった事!

 

以前に作家の食事会で知り合っていたという

トーマスとアデリーン。

 
 

セクシーなアデリーンの肢体をチラチラと覗き見るトーマスの視線に気づいたジーンの表情は険しいものとなっていきます。

 

トップレスで甲板に寝そべるアデリーンと
チラチラと彼女を見るトーマスの視線に
イラッとするジーンむかっ
 
 
ですがスメティノズ島に到着したジーンは、そんな不穏な空気も忘れて100年前の殺人事件の調査に没頭するようになるのです!
 
ちなみにスメティノズ島で100年前に起こった殺人事件とは、実際にあった女性二人の惨殺事件の事!!
 
島で暮らしていた2人の女性が、一人は斧で殺され、一人は絞殺されていたという陰惨な事件は、犯人が殺人後にその場でお茶を飲んでいた事も相まって大騒動となり、2人の知り合いであるルイスという漁師の男が犯人として逮捕され、絞首刑となるのですが、ルイスは最後まで無実を訴えており、裁判の決め手となったのは、殺された2人の女性の血縁であり、事件当時海岸へと逃げ延びて一命を取りとめたマレンの証言だったのです…
 
斧で殺されていた女性の顔には
レースのハンカチがかけられていました。
なんという猟奇的な殺人!!
 
犯人がルイスだと証言したのはマレンは
島で唯一の生き残りの少女!!
 
 
 
ん?
 
という事は、この100年前の事件を観直そうとしているジーンは、犯人がルイスでなくマノンじゃないかと疑っているという事?
 
でも、事件の犯人は斧で女性を殺すという荒事をしていますし、2人の女性と同居していたマノンには2人を殺さなければならない動機なんてありませんから、事件を再検証しても意味がないのでは…汗汗
 
 
 
 
さて、100年前に実際に起こった事件を検証しようとするジーンの目的は、一体なんだったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
100年前にマノンが隠れていただろう場所に
足を運んで考えるジーン!
ひょっとしてジーンはサイコメトラー!?
 
 
【私の感想】事実を検証しようとする姿勢!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は原作となる小説も出版されている事実に基づいた事件を描いた作品ですので、なぜキャスリン・ビグロー監督が、この映画を作ろうと考えたのでしょうか?

 

この事についての検証は誰もなされていないようですが、キャスリン・ビグロー監督の本作以降の作品がイラクに派遣された爆発物処理兵の心理を描いた「ハート・ロッカー」だったり、ビンラディン抹殺の命を受けた特殊部隊の行動を描いた「ゼロ・ダークサーティー」だったりする事を考えると、この頃からキャスリン・ビグロー監督の興味が「人知れず行動する人間の深層心理を描く事」へと向かっていた可能性があるのではないかと考えられます。

 

 

 

そう。

 

人が死地に至ってまで何かを行おうとするには、その行為に自己実現を見出してしまったから!!

 

 

死に直面する仕事に自己実現を見出した男の

戦場依存症を描いた「ハート・ロッカー」

 

任務に忠実であるが故に、何としても

ビンラディンを殺そうと奔走する女性の

自己実現を描いた「ゼロ・ダーク・サーティ」

 

 

ですので、100年前の事件を追っていたジーンは、非力でもの静かなマノンが、人を殺してでも叶えたかった自己実現とは何なのかを突き止めてゆく事になるのです。

 

事件以前は、夫と二人だけで島に住み

仕事熱心な良妻だったマノン。

 

そんなマノンの元へやって来たのは

兄夫婦と実の姉でした!

 

あれれ?

でも兄姉がいるのにどうしてマノンだけ

寂しい離島で暮らしていたの?

 

 

私見ですがそんな本作は、自己実現というのは、時に普通に生きている我々には思いもよらない欲望を発生させるという事を描いた作品であり、公開当時の2000年よりも、多くの人が自己実現について悩みを抱えている現在の方が共感してもらえる作品だと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

尚、映画の最後のテロップでは

100年前の事件の犯人がルイスかどうかは

未だに議論が続いていると記されています…

 

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

自己実現が不可能なら…

 

というテーマで

 

パーム・スプリングス

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい行間を読むスペインの作品
「ナイトビジター」

 

本作もまた、自己実現のために万難を排する男の物語。

 

無実の罪で脱出不可能な牢獄に収容されてしまった男は、自分の持てる才能全てを消費して、牢獄からの脱走と復讐を目指す人生を送っていたのです!