こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力とビヨンド自己実現!というテーマで

 

ハイライズ(2016)

(原題 HIGH-RISE)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★ビヨンド自己実現!とは?

 

自己実現とは、別名「マズローの欲求5段階説」とも言われている"人間は豊かになってゆくステップで、欲しいものの質が変わってゆく"という考え方!

 

5段階目に到達すると「自己実現の欲求(自分が望んだような人生を送りたい!)」という欲求に至るようです。

 

本シリーズは、映画の中で描かれいる自己実現に至った人々は、どんな行動をしているのかを検証してみようといシリーズです。

 

さて、自己実現は人生に幸福をもたらすものなのでしょうか?

 

↑高層マンションの住人の自己実現とは!?

 

 

野心的で素晴らしい失敗作!?


本作は2016年に作られたイギリスのSF映画!

 

 

ただしSF映画といっても科学的な内容の作品ではなく、人間の心理を描いた難解な作品となっており、公開当時「ハリウッド・レポーター」という情報誌に「野心的で素晴らしい失敗作」と評されたしまった作品あせるあせる

 

 

ですが、本作の原作小説の著者であるJ・G・バラード氏の作風が、散文詩的で難解な内容となっていますので、難解な原作を難解な映画にした事をもって失敗作だと言うのは、いかがなものかと思います😟

 

 

 

そんな本作は、特定の人の心に刺さるように作られた"観る人を選ぶ作品"!!

 

もし皆さんが、高額の高級マンションに住まわれているなら、本作をご覧になる際には十分ご留意頂ければと思います。

 

↑夢のタワマンでウキウキライフ!?

 

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

SF界の巨匠J・G・バラードの小説『ハイ-ライズ』を映画化。

ロンドン郊外の高層マンションに入居したラングは、上層階に行くにつれ住人が富裕層になっていき、フロアの高低に基づく階級間の摩擦の存在を知る。

そしてある夜の停電を境に彼らの問題は顕わになる。

監督は、「サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド」のベン・ウィートリー。

出演は、「マイティ・ソー」シリーズのトム・ヒドルストン、「ドラキュラZERO」のルーク・エヴァンス、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のジェレミー・アイアンズ、「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラー、ドラマ『マッドメン』のエリザベス・モス、「ニンフォマニアック」のステイシー・マーティン。

2015年トロント国際映画祭正式出品。

 

 

はい。
 
 
本作は、現在では世界中で珍しくなくなった超高層の高級マンションを舞台にしたサスペンス映画!
 
 
主人公のドクター・ラングは、最近ロンドンの郊外に建てられた裕福層向けタワーマンションに引っ越して来た医師。
 
ラングが違約した上層部の部屋は、斜めに傾いて設計されている特別仕様!
 
太陽が差し込むベランダで日光浴をしていたラングは、彼よりも上の階に住む人々に誘われてパーティーに参加する事にしますが、そこは中世の貴族たちの社交場のような雰囲気!!
 
↑舞台は上層部が傾いているタワマン!
 
↑上層階に住んでいるラングのベランダは
 日光が燦燦と降り注いでいます😊
 
↑ラングが参加した上階のパーティは
 彼の想像を超えた世界でした…
 
 
上階に住む人たちは、贅沢三昧の生活を送っていましたが、彼らはタワーマンションでの生活に満足しておらず、不満を持っていました。
 
彼らの不満の原因は、下層階の住人たちとインフラを共有しなければならない事!
 
 
 
ゴミの捨て方や、エレベーターの共有、果てはマンション内の共有施設の使用権についても、自分たちに優先権があるはずだと考えている上層部の住人たちでしたが、逆に言えば下層階に住む住人たちにとっては、同じマンションに住みながらも、様々な特権が与えられている上層部の住人たちは気に喰わない存在!!
 
↑住人が共有するプールは下層階が独占!
 これじゃあまるで市民プールだ!?
 
↑他方、屋上は上層階の人の専有スペース。
 どうして俺たちは行けないんだむかっむかっ
 
 
 
そんな潜在的な不満を持つ上層階と下層階の住人たちは、大規模停電が発生した事で対立が顕在化し、お互いを攻撃し始めてしまったのです!!
 
 
 
 
さて、夢のタワーマンションの住人たちの確執は、一体どのような結末を迎える事となるのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
↑停電によって暴かれたタワマンの闇とは!?
 

 

 

 

【私の感想】共同住宅は対立の坩堝と成り得る

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作では、様々な意味あり気なエピソードが回収される事なく映画が終わってしまうため「あのシーンは何だったの!?」と観終わった後で消化不良感を感じるに可能性がある作品。

 

ですがこの消化不良感は、デビッド・リンチ監督作品などでも見受けられる「観客の意識下に作品の断片を残るようにしておく」というトリッキーな手法であると考えられます。

 

 

そう。

 

人は、良く分からないものを観ると、いつまでもその事を記憶しているもの!!

 

 

 

私見ですがそんな本作は、多くの意味ありげなシーンが記憶に残るからこそ、タワーマンション内で住人たちが対立するという普遍的な問題も、観客の記憶に残り続けるよう仕組まれた問題提起型の作品だと考えるのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑異様なシーンが記憶される事で

 マンション内の対立という本作のテーマも

 観客の心に記憶されるのでは?

 

 

ちなみに、秩序が崩壊してゆく中で、正常なままでいられたのはドクター・ラングと、彼の部屋の上階に住む少年の二人だけ。

 

彼らの共通点は、孤独を好み、周囲の出来事に関心を示さないという事!!

 

 

 

ですのでJ・G・バラード氏は恐らく喝破していたのです。

 

大都会で他者に憎しみを持たずに平然と生きていけるのは、人間性が欠如した孤独な人間だけだという事に…

 

↑上層階とも下層階とも付き合う事ができる

 ドクター・ラングですが

 彼は親友もいませんし私生活もありません!

 

 タワーマンションで他者とトラブルを感じないのは

 そんなタイプの人ではないでしょうか…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

自己実現で殺し合い!

 

というテーマで

 

昭和歌謡大全

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たいオーストリア辺境の映画
「スノーピアサー」

 

「ハイ・ライズ」が階層を縦に分断した社会なら、本作は階層を横に分断した作品!

 

地球崩壊後も走り続けている世界縦断高速列車は、貧富によって車両が分断されていました!

そんな階級世界を打破しようと考えた怒れる最下層の男は、最上位層の人々が動かしている機関車の操縦室に向かって行ったのです…