こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力とビヨンド自己実現!というテーマで

 

イレブン・ミニッツ(2015)

(原題 11 MINUT)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★ビヨンド自己実現!とは?

 

自己実現とは、別名「マズローの欲求5段階説」とも言われている"人間は豊かになってゆくステップで、欲しいものの質が変わってゆく"という考え方!

 

5段階目に到達すると「自己実現の欲求(自分が望んだような人生を送りたい!)」という欲求に至るようです。

 

本シリーズは、映画の中で描かれいる自己実現に至った人々は、どんな行動をしているのかを検証してみようといシリーズです。

 

さて、自己実現は人生に幸福をもたらすものなのでしょうか?

 

↑皆さんが観たい他者の人生とは!?

 

配信黎明時代の寓話


本作は2015年に作られたポーランドとアイルランドの合作映画。

 

上映時間は81分ですが、描かれているのは、自分とは全く関係のない多くの人々の11分間。

 

正直な話、他者の人生の11分間を眺めていると、ちょっと退屈してしまうかもしれません。

 

 

ですが本作のラストでは、きっと観客の皆様が映画というメディアに期待しているようなエクストリームな展開が待ち受けています!!

 

本作はそんな、映画を観に来ている方の自己実現を映像化したような、皮肉に満ちたブラックコメディなのです😅😅😅

 

↑露店でソーセージを売るおじさんの人生。

 そんな赤の他人の日常なんて、

 きっと皆さん、興味を持たれないですよね汗

 ですが最後のイレブン・ミニッツは…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

イエジー・スコリモフスキが、午後5時からの11分間を舞台に、大都会で暮らす人々の姿と、やがて訪れる運命を描いた群像劇スタイルのサスペンス。

起承転結や詳細な心理描写、背景説明などを排除、各々のドラマをモザイク状に配置した斬新な手法が見もの。

出演は「ベルファスト71」のリチャード・ドーマー、「カティンの森」のアンジェイ・ヒラ。

 

 

はい。
 
解説にもある通り、本作はポーランドのワルシャワで暮らす人々の11分間を描いた作品。
 
 
主な登場人物を少しだけ紹介させて頂くと…
 
 
女好きの映画監督リチャードと、彼に言い寄られている新婚の女優アニャ。
 
↑アニャの映し方は、リチャードのイヤらしい視点!
 「ねぇ君、仕事のためなら脱ぐってホント?」
 
 
そんなアニャの事を心配して、リチャードの宿泊するホテルへとやって来た夫のヘルマン。
 
↑愛する妻は、監督の部屋で何やってるんだ!?
 ドアの上から撮った不思議な映像。
 
 
町で愛想よくホットドッグを売ってる店主ですが、彼は少女との淫行で逮捕歴があり、彼に襲われた少女に発見された男は、そそくさと店をたたみ、別の場所へと移動する事にします。
 
↑(あいつ、もう出所してるのかむかっむかっ
 (あっ。やべえ。場所買えなくちゃ…)
 
 
別の場所では、電話で呼び出された救急車が、妊婦と老人を車に乗せて病院へと向かって走り出します。
 
↑古いアパートから救出された妊婦。
 狭いビルディングの狭間から俯瞰した映像!
 
 
その頃、河原で写生をしていた老人は、橋から飛び降りた人間に驚いて、絵に黒い点を付けてしまいますが、飛び降りたと思った人間はスタントマンでした。
 
↑絵を描いていた男は、飛び込んだ男に驚き
 絵に黒い点を落としてしまいました。
 
 
絵がダメになった老人は、バスに乗って家へ帰ろうとしますが、バスに乗っていた青年が、老人の描いた絵に黒点があるのを見て「あなたもアレを見たのか!?」と話しかけて来たのです!
 
↑老人は、黒点をある絵を見た青年から
 「あなたもアレを見たのか?」
 と質問されて困惑。
 「これは、単なるシミですがあせるあせる
 
 
 
…どの話も、全く関連がありませんね汗
 
ちなみに、ここまででご紹介させて頂いた登場人物は、約半分らい!!
 
 
 
 
さて、脈絡のないような人々が蠢くワルシャワの街で、11分後には一体何が起こったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
↑その頃、警察で監視カメラを見ていた男は
 老人の絵と同じ方向の向けられたカメラに空に
 黒いシミがあると呟いていました…
 

 

 

【私の感想】 監視カメラを覗き続ける現代人

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作の冒頭には、これから登場する人物たちが映っている様々な監視カメラの映像が流れ、現代においては、監視カメラによって他者の生活を覗き見する事が可能な時代であるという事が示唆されます。

 

 

そう。

 

つまり監視カメラを使用すれば、他者の人生を鑑賞する事が可能なのです!

 

 

 

ですので本作は、まるで私たちが音声付の監視カメラで、ワルシャワの人たちの人生を鑑賞しているような錯覚に陥れる事を目的として作られた作品だと考えられます。

 

けれど恐らくですが多くの観客にとって、他者の人生の断片を鑑賞して思う事は、他者の人生を眺めている事は退屈な事。

 

 

私たち一般人の人生とは、個人的な想いは色々あったとしても、映画やドラマのようなドラマティックな映像にはならないものなのだと思います…

 

 

ですが恐らく、その事実を知っているイエジー・スコリモフスキ監督は、映画ラスト5分で突然、登場人物たちに壮絶な体験をさせる事で、それまで退屈していた観客が観終わった後に、登場人物たちの生き方や行動に興味を向けるよう仕向けているのです!!

 

 

 

私見ですがそんな本作は、現在世界で起こっているショッキングな映像を観る事た我々が、それまで興味を持った事もなかった国や地域や人々に多大な関心を寄せるようになる心理を描いた、人間の野次馬根性的な浅薄さを描いた作品だと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑人々がほぼ無限にある映像の中で観たいのは

 刺激的なものではないですか?

 

↑映画のラストシーンは、様々な画像が

 どんどん集約されてゆく中で

 登場人物の映像が黒点のようになっています。

 

 つまり、バスの中の青年が見たのは

 自分たちの人生を監視して、

 ショッキングな出来事が起こるのを

 待ち続けている観客の視線なのです…

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

ロシアにおける自己実現

 

というテーマで

 

ANNA/アナ

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい急展開の映画
「ホーリー・マウンテン」

 

映画を観ているうちに、気が付けは観客である私たち自身の視点について言及される事になる本作は、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の傑作であり、同時にエンターテイメント映画ファンの方には理解されにくいカルト作品。

 

 

エログロとか、意味不明とか、思いつきなど言われる事も多い本作ですが、私としては、欲に塗れた現代人が、修行や研鑽へて自己実現に至ろうとする方法の無意味さを喝破した、示唆に富んだ作品だと思います。

 

これは映画だ。さぁ現実に戻ろう!