こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と世界の写窓からというテーマで
シング・ストリート
未来へのうた(2015)
(原題 SING STREET)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★世界の写窓からとは?
自由に海外旅行を楽しめたのが、遠い昔の様になってしまった2020年代。
今海外は、一体どのような状況になっているのでしょうか…
「世界の写窓から」は、そんな世界各地の状況を、映画に写った画像を通して観に行こうというコンセプトで映画紹介をしてゆくシリーズです😊
本作は、2015年に公開されたアイルランドのダブリンを舞台にしたアイルランドとイギリスとアメリカの合作映画!!
アイルランドと言えば、趣のある街並みをイメージされる方も多いと思いますが、本作で描かれているのは、80年代の大不況により、若者たちが次々とイギリスへと脱出していた頃の斜陽な空気が漂っているアイルランド!
そんな変わらない日常に鬱々としていた若者たちは、80年代に新しく生まれたミュージック・ビデオというメディアに魅了され、エンタメの世界でビッグになろうと、無邪気な夢を見ていたのです😆
↑こういうのが俺たちの時代のアートだ!!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
おお!!
という事は、本作のジョン・カーニー監督は「街で見かけて一目惚れした女の子に、自分のバンドのPVに出ないかと口走った後で、慌ててバンドを組んだ過去がある」って事😅😅😅
はい。
こういう無謀な過去は、80年代を経験された方たちにとっては、ご自身も一度は体験した事である"今思い返すと恥ずかし体験"なのではないでしょうか?
本作の主人公のコナーは、そんな恥ずかしい動機でバンドを始めてしまった、いじめられっ子少年!
私立の高校に通っていたコナーは、父親が失業してしまったために転校を余儀なくされ、ガラの悪い生徒がタムロしている学費の安いカトリック系のシング・ストリート高校に通う事となりました。
↑入学初日から不安がよぎる
シング・ストリート高校の登校風景
転校初日からいじめの標的になっただけでなく、抑圧的なバクスター校長からも独善的な指導を受ける事になってしまったコナーにとって、シング・ストリート高校はまるで地獄のような場所!
↑80年代の校内暴力は超ハード!!
ですが、学校の前にある家に住んでいるラフィーナという美少女に心を奪われてしまいます😍ったコナーは、学業ではなく、ラフィーナの気を引くために学校に行く事を決意したのです!
↑学校の前の家で立ってる美少女は誰!?
勇気を出してラフィーナに話しかけたコナーは、彼女がロンドンに行く事を夢見ている16歳のモデルだと知り、気を引きたい一心で「僕のバンドのプロモーションビデオに出演してくれないか?」と仕事の依頼をしてしまったのです!
さて、プロモーションビデオの製作はおろか、歌さえ満足に歌えないコナーは、果てしてラフィーナをモデルにしたプロモーションビデオを製作する事が出来たのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑とりあえず、いじめられっ子仲間の
ダーレンをマネージャにしてメンバー探し!
どんな楽器でも器用に弾きこなす
エイモンのスカウトの成功!!
よし次は、バンドにいると見栄えがする
黒人を探しに行こう!!
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は80年代だからこそ可能だった「好きな事を楽しみながら成長できた時代」を思い出させてくれる作品。
プロモーションビデオと、その結果によって生まれたバンドのアイデンティティの映像化というのは、80年代に誕生した新しいメディア!!
ですので当然の事ながら、作り手側も全員がプロフェッショナルという訳ではありませんので、作品レベルは玉石混合であり、審美眼の肥えた現代の方の目には、耐えられないようなレベルの作品も数多くあったよう記憶しています😅
↑黎明期プロモーションビデオの例①
KC & The Sunshine Bandの「Give It Up」。
↑「キングスマン」でも使用されていた曲です😊
↑黎明期プロモーションビデオの例②
Bomb The Bassの「Megablast」。
↑80年代は何でもありだった事が分かるカオスな映像です😆
ですので当然、コナーがラフィーナの気を引くために作った初プロモーションも、失笑を禁じ得ないような完成度!!
撮影の途中で譜面台やシンバルは倒してしまうし、意味不明な疾走シーンや、突然メンバー全員が手を叩くという謎演出なども、80年代プロモーションビデオあるあるなのではないかと思います😊
↑カット編集ができないので移動は各自!
いや、そのシーンは映しちゃダメでしょ
↑必見!「初めてのMV制作」
ですが、そんな自主制作活動を経る事でコナーは次第に、ミュージシャンとしての才能を開花させてゆきます!
そう。
才能と言うのは、実体験をした人だけがスキルアップしてゆくもの!!
最初はラフィーナの気をひくために始めたコナーのプロモーションビデオ撮影は、音楽好きの兄の協力も手伝って、映像としてだけでなく、ファッションや音楽性、そして最後にはソウルフルな歌詞さえも生み出す原動力となっていったのです😉
↑グラムに影響を受けて化粧をしたり…
↑兄からザ・キュアーというバンドを教えてもらい
ファッションはソリッドなブラックに…
↑そして遂にはファッションではなく
ソウルを持ったシンガーに成長していきます!
私見ですがそんな本作は、SNSなどで世界中に自分が作ったものを動画配信できるようになった現代の10代の子供たちにこそ観て頂きたい、自分が好きなものを配信する事で成長する事の楽しさを描いた素晴らしい作品!!
恐らくですがSNSも黎明期が終われば、洗練されたものしか評価されない時代となってしまいますが、今はまだ、若者のエネルギーを受け入れてくれる土壌が残っているフロンティアであり、10代のうちからInstagramやyoutubeを発表の場として楽しんだ世代が、次代を担うクリエイターへとなってゆくと思われるのですが、皆様はどう思われますでしょうか?
↑本作で一番可愛そうなのは、
コナーの兄のブレンダン。
ずっと音楽に詳しいブレンダンですが
プロモーションビデオが登場した80年代に
彼は10代ではなく、コナーのような
無謀な挑戦はできなくなっていたのです…
10代とは、失敗さえ許されてしまう
特権を与えられた時代!
だからこそSNSを10代で楽しんた
クリエイティブな若者たちは
20歳以上ではできない成長を
ネット上で体験できると思うのです😄
という訳で次回は
旧共産圏の宝探し
というテーマで
トレジャー
オトナタチの贈り物。
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たいイングランドが舞台の映画
「イリュージョニスト」
フランスのジャック・タチ監督の遺稿を映像化した、人生の晩秋を感じさせる、物悲しいアニメーション。
需要がなくなってしまったマジシャンは、最後の魔術を使って、寂れたイングランドの孤島で暮らしていた一人の少女だけを幸せにするのです。