こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

さすらいの青春(1967)

(原題:LE GRAND MEAULNES)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

 

めくるめく美しき思い出

 

本作は1967年に公開されたジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督の作品。

 

 

ジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督の父親は、写真家のキント・アルビコッコ(Quinto Albicocco)氏。

 

尚、本作で撮影監督も務められているキント・アルビコッコ氏の撮られた写真はこんな感じ!

 

↑右下に「Quinto Albicocco」とサインがあります!

 

 

ネット上でキント・アルビコッコ氏の写真を探すのは至難の業なのですが、この一枚から見ても、キント氏の目指してい方向性は、マン・レイ氏などの系統を受け継いだ幻想的な作風だという事が理解できると思います😊

 

↑マン・レイ氏は1920年代にパリで活躍していた

 アヴァンギャルド系のカメラマンです。

 

 

本作は、そんな幻想的な映像を撮って来たルビコッコ父子のめくるめく美しさが映像化された桃源郷のような世界が描かれた作品なのです😍

 

↑美しきアルビコッコ父子の映像世界!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

フランス青春小説の代表作アンリ・アラン・フルニエの『モーヌの大将』の映画化。

脚色・監督は「金色の眼の女」のジャン・ガブリエル・アルビコッコ、撮影は、ジャンの父、キント・アルビコッコが担当。

音楽は、ジャン・ピエール・ブルテール、美術は、ダニエル・ラドゥール、衣裳は、シルビー・プーレが担当した。

出演は「禁じられた遊び」の名子役ブリジット・フォッセーがヒロインに扮している他、ジャン・ブレーズ、アラン・リボール、アラン・ヌーリ、ジュリエット・ピラール、マルセル・キュブリェ、テレーズ・ヤンタンなど。イーストマンカラー、テクニスコープ。

 

 

 

…ストーリーに関する言及は書かれていないようですね汗

 

 

ですので少しだけ内容を解説させて頂くと、本作は森の中で不思議な結婚式に迷い込んでしまったモーヌという青年の数奇な運命を描いた作品!

 

郊外の寄宿舎学校に入学した主人公の青年フランソワは、そこでオーギュスタン・モーヌという名の青年と友人になります。

 

モーヌは友人たちから一目置かれている青年!

 

 

思い立ったら即行動する直情径行タイプのモーヌは、学校の先生の親戚を迎えに行くために一人で馬に乗って出発しますが、駅の場所をしらなかったため失踪し、行方不明となってしまいますあせる

 

↑メッチャ張り切って馬を走らせたモーヌは

 道を間違えて、そのまま失踪!

 

 

モーヌが帰って来たのは二日後でしたが、帰って来たモーヌは何かに憑かれたような表情。

 

心配したフランソワが何があったのかを尋ねると、モーヌはフランソワだけに、自身が体験した不思議な出来事を語り始めます。

 

 

モーヌの話は以下の通り。

 

森の中で迷ってしまったモーヌはサーカス団と出会い、彼らと共に森の奥深くの館で行われる結婚式に向かう事となり、花嫁が到着するまでの余興の時間の間に、花婿フランツの姉のイボンヌと出会って恋に堕ちてしまった。

 

↑森の廃屋で寝ていたモーヌは

 やって来たサーカス団に誘われ結婚式に…

 

↑結婚式の会場となった家に到着すると

 そこはおとぎの国のような場所!

 

↑サーカス団員は、花婿の到着まで

 お客様をおもてなしします😄

 

↑そんな中モーヌは、美しいイボンヌに出会い

 一目惚れしてしまいます😍

 

 

なかなか到着しない花嫁を待つ間にイボンヌと親しくなっていったモーヌは、彼女に愛を告白し「待ってます」という言葉をもらって歓喜しますが、その後、花嫁が結婚を辞退して失踪してしまった事が判明し、結婚式は開催される事なく中止となり、モーヌもイボンヌと別れ別れになってしまったのです!

 

↑「待ってます」と言われたモーヌでしたが…

 

↑花嫁が来ずに結婚式が中止となり、

 イボンヌもどこかへ消えてしまいました…

 

 

… … … 😅

 

それって、森の中で迷ってしまったモーヌが見た夢じゃないの?

 

 

モーヌ自身も、フランソワに語った事が夢か現実か判然としなかったのですが、その後花嫁にフラれて家を飛び出してしまったフランツが、サーカス団に入団している事が分かり、モーヌの語っていた事が現実だと明らかになったのです!

 

↑ある晩やって来たサーカス団の中に

 花嫁に逃げられたフランツが!

 …という事は夢じゃなかったんだ!!!

 

 

 

さて、桃源郷のような結婚式での出会いの後、イボンヌはどこへ消えてしまったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑夢のような映像ですが、

 現実だったイボンヌとの出会い!

 

 それを知った直情径行のモーヌは、

 一体どんな行動に?

 

 

 

【私の感想】 夢追い人の彷徨

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は映像美を追求した作品であるの同時に、モーヌのストイックで美しい生き方を描いた"夢のような人生"を描いた作品!!

 

↑映像も幻想的ですが、映画の後半に描かれる

 モーヌの生き方もまた、常人では実行できない

 ストイックで美しいものなのです!

 

 

 

ですが、そんな作品を撮りあげてしまった監督は、その後一体どんな作品を作れば良いのでしょう…

 

 

そう。

 

ストイックな生き方とは、現世の利益や名誉に執着しない事!!

 

 

 

本作の後半でモーヌが選択した生き方は、個人の想いのために人生を崩壊させたとしても悔いないという、エクストリームにストイックな選択!!

 

 

ですが本作を撮ったジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督もまた、本作の後「別れの朝」という作品を最後に、映画界から引退してしまったのです!!

 

 

ちなみに、本作が公開された1968年は、5月19日に起きた「カンヌ国際映画祭粉砕事件」が勃発した年!

 

↑「カラスの飼育」のカルロス・サウラ監督の

 「ペパーミント・フラッペ」という作品の上映を巡り

 フランス映画界が紛糾し、映画祭中止となった

 「カンヌ国際映画祭粉砕事件」。

 

 

事件の首謀者は、ヌーベル・バーグ運動の中心的人物だったゴダールとフランソワ・トリュフォーでしたが、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督も粉砕運動に参加!

 

ですがその後、ゴダールもフランソワ・トリュフォーもカルロス・サウラも映画業界に残って作品を撮っていたのに対して、アルビコッコ氏だけは、まるでモーヌの決断のように、全ての地位を捨てて映画界を去ってしまったのです…

 

↑尚「ペパーミント・フラッペ」は日本未公開作品。

 映画史を学ぶ上でも重要な作だと思うので

 是非TSUTAYA発掘良品に

 セレクトしてもらえればと願っています😊

 

 

私見ですが本作は、そんなアルビコッコ監督のストイックな選択についても想いを馳せながら鑑賞しても良い映画ではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑どうしてもイボンヌに会いたいモーヌは

 村での生活を捨ててパリへ!

 ですが、モーヌのストイックな生き方は

 パリに行ってしまった事で、

 更に辛いものとなっていくのです。

 

 ストイックな生き方の末路には

 幸福が待っているとは限らないのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回はいわいわ本シリーズの最終回。長い間お付き合い下さり、本当にありがとうございました😄

 

 

ラストは

 

黒岩先生に非ず

というテーマで

 

ビッグ・マグナム77

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「わが青春のマリアンヌ)」

 

森の中にある全寮制の学校に転校して来たヴァンサンは、父を亡くし、母親の再婚をキッカケに転校させられてしまった"親から断絶された子供"。

けれどそんなヴァンサンは、霧深い湖の傍に佇む古城で、他者から隔絶されて暮らしていたマリアンヌと出会った事で、人生の転機を迎えます。

本作もまたストイックに生きる事の素晴らしさを描いた作品ですが、本作の様に、恋をした事で人生の目標が確立できるのは至高の幸せだと思います😊