こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

不時着(1964)

(原題:FATE IS THE HUNTER)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

 

サスペンス映画ではありません

 

本作の邦題は「不時着」。

 

日本での公開時のキャッチコピーは「激突!ジェット旅客機の大惨事をめぐるサスペンス・ドラマ」と書いてありますので、飛行機が不時着した原因を巡る陰謀を描いたサスペンス・ドラマではないかと思われれるかもしれませんが、本作はサスペンスドラマというより、「ビック・フィッシュ」のようなエンディングが待っている人間ドラマ!

 

 

 

また「ハドソン川の奇跡」のような、不時着を敢行した機長の過失を問う、責任論をテーマにした映画でもあるのです。

 

 

↑バトーストライクでエンジンが停止し

 ハドソン川への不時着を敢行した機長に

 待っていたのは責任論でした…

 

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

アーネスト・K・ガンの原作をハロルド・メドフォードが脚色、「雨の中の兵隊」のラルフ・ネルソンが演出した事件推理ドラマ。

撮影は「けっさくなエディ」のミルトン・クラスナー、音楽は「野のユリ」のジェリー・ゴールドスミスが担当した。

出演は「うしろへ突撃!」のグレン・フォード、「フラワー・ドラム・ソング」のナンシー・クワン、「ニューヨークの休日」のロッド・テイラー、「遠い喇叭」のスザンヌ・プレシェット、「たくましき男たち」のジェーン・ラッセル、ウォリー・コックス、ドロシー・マローンなど。

製作はアーロン・ローゼンバーグ。

 

 

ストーリーへの言及が一切ありませんね汗汗

 

 

ですので、ネタバレしない程度に解説を加えさせて頂くと、本作は「ハドソン川の奇跡」と同様、離陸直後に不時着する事になったジェット機を操縦していた機長の責任を巡る物語。

 

と言っても「ハドソン川の奇跡」のサリー機長が、乗客や搭乗員を無傷に着陸させたのに対し、本作のサベジ機長は、離陸直後に両翼のエンジンが停止ししために浜辺に不時着させますが、桟橋に衝突させて49名の搭乗員を死亡に至らせてしまった男!

 

↑余裕で浜辺に不時着させたサベジでしたが

 桟橋にぶつかってジェット機は大破!

 

 

サベジたち操縦士はもちろん、キャビンアテンダント1名を除き搭乗者全員が死亡した大惨事は、事故原因を巡って紛糾する事となってしまいますあせる

 

 

フライト・レコーダーは再生不可能、両方とも停止したはずのエンジンの左側は回収して調査した結果問題なし!

 

↑いや、エンジンは問題なく動いてるぞ!

 

 

結果として事故調査委員会は、この事故はサベジのミスによるものではないかと疑い始めます。

 

航空会社の次期社長候補のサムは、親友で、第二次世界大戦でも、絶体絶命の状況において爆撃機を生還させたサベジの能力を高く買っており、彼が誤ってジェット機の運転ミスなどする訳がないと確信していましたが、そんな中、サベジがジェット機搭乗の前の晩、友人と酒場にいたという目撃者が現れたのです!!

 

 

 

さて、果たしてサベジは、サムの期待を裏切るような不誠実な男だったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑生真面目なサムのライバルだったサベジは

 大戦時から豪放磊落な男!

 

↑信じたくはないが、危険な任務中でも

 ふざけていたサベジはもしかすると…

 

 

 

【私の感想】 自分が知らない他者の真の姿

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は既に亡くなっているサベジの潔白を、友人のサムが調査してゆく作品。

 

 

サムがサベジの運転技術を信じている理由は、大戦中に事故で墜落するはずだった爆撃機を、奇跡的な手腕で基地に生還させた経験があったから!

 

ですが事故当時、操縦していたサベジの指示にしたがっ、一足早くパラシュートで脱出していたサムは、実際にサベジがどんな手腕で生還したのかは知らなかったのです…

 

↑操縦不能になりつつあった爆撃機から

 一緒に脱出しようと言うサムに

 先に行ってくれと頼んだサベジでしたが…

 

↑救出されたサムが基地に戻ると

 サベジは爆撃機を生還させていたのです!

 一体どうやって!?

 

 

そう。

 

一見は真ならず。

 

 

 

例え友人であっても、その人間が本当はどんな人物だったのかは、自分が見ていない所で、その人がどんな行動をしていたかを知らなければ見えてこないもの!

 

几帳面に見えた人が、自分の知らないところではいい加減な人間だったり、冷たいと思っていた人が、自分の知らないところでは思いやりのある人間だったりする事は、決して珍しい事ではないのです😊

 

 

サムは、自分の知人ではサベジの知人たちと出会う事で、今まで自分が知らなかったサベジの側面を理解すると同時に、彼等から教えてもらった情報で、自分がサベジに対して抱いていたイメージの多くが誤解だった事に気づき、サベジの真の姿に気づい行くのです。

 

 

私見ですがそんな本作は、普段私たちが接している友人や肉親も、自分が知らないところでは別の魅力を持っているかもしれないという事に気づく事ができるようになる、視点の転換をもたらす作品ではないかと思うのですが、皆さんはどう思われますでしょうか?

 

↑サベジの私生活を調べるため、

 死後、サベジの家を訪れたサムは

 サベジが部屋に置きっぱなしのガーターを

 彼の家の家事代行の女性が

 サベジが女性関係にだらしない証だと

 考えているのを知って微笑みます!

 

 このガーターは、戦時中緊急出動のために

 デートできなくなった慰問の歌手から

 記念にもらったもので

 彼の高潔さを証明する思い出の品あせるあせる

 

 そう。

 自分が知らない他人の情報は

 曲解されてしまう事があるのです… 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

フランス式恋愛観

というテーマで

 

離愁

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「星願 あなたにもういちど」

 

幼い頃に両親を亡くし、自らも視力と声を失った青年オニオンは、交通事故で死んだ後に神様から5日間だけ猶予をもらい、別の人の体に入って行動する事を許されるのですが、自分がオニオンだと他者に告げる事を禁じられたため、愛する看護師のオータムに嫌われてしまいますあせる

 

ライトなラブコメに見えますが、描かれているのは"言葉は想いに届かない"という切ない現実。

 

自分が知らない他者の真の姿というのは、なかなか理解してもらえないものなのです…