こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

フィツカラルド(1982)

(原題:FITZCARRALDO)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

 

ヘルツォーク印のファンタジー映画😄

 

本作は、人間という存在の本質を冷徹に喝破するような作風のヴェルナー・ヘルツォーク監督の中では、かなりファンタジックな作品😊

 

主人公フィツカラルドは、南米ペルーのアマゾン川の川辺にオペラハウスを作りたいという夢をあきらめないファンタジックな夢を持つ男ですが、彼が向かった地は、自分たちの領域に入った白人を殺害する事に一切躊躇しない、原住民たちが生息するエクストリームなエリアだったのです!!

 

↑マジで生贄5秒前…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

南米ペルーの密林にオペラ・ハウスを建設しようと試みる男を描くドラマ。
82年のカンヌ映画祭監督賞を受賞している。

製作はヴェルナー・ヘルツォークとルッキ・シュティペティック。
監督・脚本は「アギーレ・神の怒り」(72)のヴェルナー・ヘルツォーク。

撮影のトーマス・マウフ、音楽のポポル・ヴーはともに「アギーレ・神の怒り」にも参加している。

マナウスにおけるオペラ「エルナニ」をヴェルナー・シュローターが演出している。

当初、主役にはジャック・ニコルソンが予定されていたが、病気のためにウォーレン・オーツに交替。

しかし、オーツは密林の生活に耐えられず降り、ジェースン・ロバーツが起用されて撮影に入った。

しかし、ロバーツも赤痢で倒れて、「アギーレ・神の怒り」のクラウス・キンスキーで改めて撮り直した。

この間に重要な脇役だったミック・ジャガーとマリオ・アドルフも、気違いめいた撮影についていけずに降りてしまうし、ロバーズは赤痢になったことでヘルツォークを訴えるなど、トラブルつづきの映画であった。

出演はキンスキーの他に、クラウディア・カルディナーレ、ホセ・レーゴイ、ミゲル・アンヘル・フェンテス、パウル・ヒットシェル、ウェレケケ・エンリケ・ボホルケスなど。

 

 

 

… … … 汗

 

密林の生活に耐えられない&赤痢&気違いめいた撮影についていけない作品!?

 

 

 

はい。

 

本作は、実在したカルロス・フィッツカラルドという人物をモデルにした作品なのですが、ペルーでゴム男爵と呼ばれていたカルロス・フィッツカラルド自身が、常軌を逸した行動をした男だったため。

 

彼は、それまで急流のために船が行き来できなかった場所からゴムを採取するために、船を解体させて流れの緩やかな河まで移送させるという正気の沙汰とは思えない計画を立案し、現地住民を酷使して実行した男!!

 

巨大な運搬船を解体させて密林を移動するというのは、壮絶な作業である事が想像できますが、本作でヘルツォーク監督は、船を原型のままアマゾンの森の上へ引き上げるという驚天動地の計画を敢行してしまいます!

 

↑上の大きな川は急流だから

 左の支流から奥地へ行って右の支流まで

 船を運んでみよう😆

 

 

なお、実在のカルロス・フィッツカラルドとは異なり、本作の主人公のフィツカラルドは、オペラをこよなく愛する夢想家!

 

↑アマゾン川の奥にあるイトキスという

 自分の住む村に、オペラホールを作りたいと

 夢想しているフィツカラルド!

 

 

ちなみにイトキスは荒廃したスラムのような村で、フィツカラルド自身は鉄道事業に失敗して、破産状態の男!

 

↑これがイトキス村!

 

 

 

さて、ほぼ無一文のオペラマニアのフィツカラルドは、果たしてどうやって船を調達し、ジャングルの山の上に、その船を移動させたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑俺は絶対イトキスにオペラホールを作るぞ!

 という決意表明をしに教会の鐘楼に登り

 勝手に鐘を打ち鳴らすフィツカラルド!

 

↑その結果、当然ですが牢屋行きに…

 フィツカラルドの明日はどっちだ!?

 

 

 

【私の感想】 狂気を描くなら狂気たれ!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、キネマ旬報社の解説にもある通り、本作は常軌を逸した撮影を強行した事でも有名な作品!!

 

320トンの蒸気船を手動で山の上に運ぶシーンは、CGでないのはもちろん、実際に山に運んだ事によって大事故まで発生していたようです汗

 

↑恐らくですが、現地の方に協力してもらい

 画面に写っている状態と同じように

 船を引き上げたのではないでしょうかあせるあせる

 

 

…まぁ、常識ある監督でしたら、このような撮影方法は採らないのではないと思います😅

 

ですが前述しました通り本作を撮られたのは、人間という存在の本質を冷徹に喝破するような作風ヴェルナー・ヘルツォーク監督!!

 

 

本作で彼が描きたかったのが「船を山に登らせてでも目的を果たそうとした狂気に似た感情を持っていた男」だとするなら、それは正常な精神で撮影する事ができるものなのでしょうか…

 

 

 

「カスパー・ハウザーの謎」の主人公のカスパー・ハウザーは正常な精神の持ち主でしたし、「小人の饗宴」の登場人物は健常者とは思えませんが、「フィツカラルド」の主人公のブライアン・スウィーニー・フィッツジェラルドは、オペラを愛するあまり狂気に満ちた行動を起こした、常軌を逸した男!

 

私見ですが、本作を作るに当たりヘルツォーク監督は、自身の行動も常軌を逸していないと、リアリティのある作品を撮れないと考えたのではないでしょうか?

 

 

そう。

 

強烈な感情は、いつしか周囲の人に伝染してゆくもの。

 

 

 

狂気に近い感情を持った男の映画は、狂気に近い感情を持った監督でなければ撮る事ができないと考えたヘルツォーク監督は、あえて常識的なスタッフが逃げ出してしまうような撮影現場を作り出した事で、余人は絶対できない"常軌を逸した男の映画"を撮る事に成功したのではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか😊

 

↑「山の上まで上げたら、今度は下ろすぞ~!」

 「狂ってる!!なんでこんな事させるんだ!」

 「何故ならこれは、そんな男の映画だからだ!」

 

 

尚蛇足ですが本作は、第35回のカンヌ国際映画祭て監督賞を受賞されています…

 

↑監督の狂気は、カンヌの審査員の心に

 届いたのではないでしょうか…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

世紀末ジャガー対戦!

 

というテーマで

 

サルート・オブ・ザ・ジャガー

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「パピヨン」

 

本作は実録系の脱獄映画ですが、爽快感のあるアクション映画ではなく、人格も希望も奪われた孤島の刑務所に収監されてしまったパピヨンと呼ばれていた実在の人物を描いた作品!

 

刑務所長は、収監された囚人たちに開口一番こう言います。

「ここは人間を矯正する場所ではなく人間を壊すための刑務所だ。」

 

フランスとは、そんな刑務所をギニアで運営していた人権抑圧国家だったのです!