こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日もグラインドハウス今昔物語というテーマで
スリー・フロム・ヘル(2019)
(原題:3 FROM HELL)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★グラインドハウス今昔物語とは?
本作は、あの「マーダー・ライド・ショー」シリーズの第三弾!!
「マーダー・ライド・ショー」とは、殺人家族ファイヤーフライ一家が主人公のエクストリームなスラッシャー映画!!
↑ポスターからもヤバさが伝わって来る
「マーダー・ライド・ショー」!
「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス一家を遥かに超える狂気を孕んだファイヤーフライ一家は、旅行者はもちろん、警官や刑事なども容赦なく殺してしまう抑制の効かない殺戮一家だったのです!!
↑原題は「HOUSE OF 1000 CORPSES」!
ファイヤーフライ一家は1000の死体の家の主です!
そんな「マーダー・ライド・ショー」は、すさまじいホラー映画として伝説となりましたが、続編である「デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2」は、そんなファイヤーフライ一家に父親を殺されて狂気に犯された警官によって、今度はファイヤーフライ一家が惨殺されてゆくという"狂気の伝染"を描いた傑作!
↑全くテイストの異なる第二作!
第一作であれほど残虐に人を殺していたファイヤーフライ一家が、一人また一人と殺されてゆくと、観客は不思議な事にファイヤーフライ一家に同情するようになり、最後に残った一家3人が、ライフル銃を構える警察官の群れに特攻してゆく姿は、涙さえさそうシーンとなっているのです!
↑瀕死の状態で警官の群れに特攻する3人!
死出の旅のBGMは「キングスマン」でも使われた
レーナード・スキナードの「フリー・バード」!
このシーンは泣けます
そんな「デビルズ・リジェクト」は「マーダー・ライド・ショー」の完璧な完結編であり、これでファイヤーフライ一家の物語は終焉を迎えたハズでした!
↑さよならファイヤーフライ一家!
ですが2019年に突如、「マーダー・ライド・ショー」の続編が誕生!!
それも、銃弾を被弾しまくって散っていったはずの3人の悪党たちが、実は死んでいなかったというトンデモナイ展開のストーリーとなっていたのです!!
↑この感動的で完璧な「デビルズ・リジェクト」ラストに続きは不要!
心音が止まっているのも確認できます!!
では一体どうして、この続編が作られたのでしょう??
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
↑3人共裁判所の判決は「DEATH ROW (死刑)」
ですがオーティスは、郊外での強制労働中に、従弟のフォクシーの手助けによって刑務官と囚人を皆殺しにして脱走し、刑務所所長の家を襲撃して所長の妻と友人夫妻を人質にして、所長にベイビーを脱走させるよう強要したのです!!!
↑記録映像に映っていたオーティスとフォクシー!
悪魔オーティスは世に放たれました
さて、再会を果たしたベイビーとオーティス、そして新たに加わったフォクシーは、一体何をしでかすのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑刑務所所長が家に帰ると、
そこには怯えた妻とオーティスの姿が!
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は多くのレビュアーの方が、前作よりもパワーダウンした作品だとコメントしており、その理由が、キャプテン・スポールディングが死刑になった事で「マーダー・ライド・ショー」の顔ともいうべき彼の活躍を見れなかったからだと書かれております。
↑やっぱりスポールディングがいなくっちゃ!!
ですが、本作が公開された2019年にキャプテン・スポールディングを演じておられたシド・ヘイグ氏が亡くなっている事を知ると、本作が作られた意味も、おぼろげながら見えてくると思います。
本作に登場したシド・ヘイグは、以前とは見違えるようなゲッソリとした姿!
↑やつれた感じがするシド・ヘイグ
この姿から、出演当時からシド・ヘイグ氏の体調は思わしくなかったのではないかと拝察されます。
そしてこれは私見ですが、もし、シド・ヘイグ氏の体調の事を知っていたロブ・ゾンビ監督が、彼のために最後の作品を撮ろうと考えたのなら、その作品はきっと完全な新作ではなく、みんなから愛され、そして怖れられていたキャプテン・スポールディング役ではなかったのでしょうか?
↑ロブ・ゾンビ監督の出世作であり、
シド・ヘイグ氏がキャプテン・スポールディングとして
大人気となったあの作品で…
そう。
本作は受けを狙った作品ではなく、ロブ・ゾンビ監督がシド・ヘイグ氏に送ったプレゼントのような私的な作品ではないかと推測されるのです!
私がそう考えた理由は、二つの不思議なシーンが挿入されていたから!
1つは、刑務所所長の家で家族を人質にしていた時、パーティの余興のピエロがやって来た事!
パーティのピエロは子供たちの出し物であり、大人の食事会に呼ばれる可能性はまずありません!
オーティスたちの存在に気づいたピエロは怯えまくりますが、オーティスは「ピエロなら俺たちを笑わせろ!」と言って芸を強制させた後に、つまらなそうな顔をして問答無用で射殺します!!
↑グダグダのピエロの芸を
うんざりした目で見ているオーティス。
このシーンはスートリーには必要ありませんので、恐らくですが、ピエロを演じてくれたシド・ヘイグ氏に対して「お前は最高のピエロだった!」という賛辞を込めたシーンではないかと思います。
またメキシコに落ち延びたベイビーが、オーティスに対してポツリと「スポールディングがいなくなって寂しい。これからどうなっちゃうの?」と言い、それに対してオーティスは「いや、俺たちはまだ世の中を震え上がらせられるさ」と励まします。
このセリフは、それまでのスートリーとはちょっと違うテイストであり、これもまたシド・ヘイグ氏に対して「俺たちは、まだまだホラーを撮り続けて行くから心配するな」というメッセージのような気がしています😊
尚、本作が公開された後の2019年9月21日にシド・ヘイグ氏は80歳でお亡くなりになっています。
この写真を見る限り、シド・ヘイグ氏は完成した本作をロブ・ゾンビ監督他、多くの演者たちと一緒にご覧になった後に、お亡くなりになった拝察されます。
ここにシド・ヘイグ氏のご冥福を心よりお祈り申し上げると共に、同じホラー映画仲間のために、最後の作品をプレゼントされるロブ・ゾンビ監督の思いやりに、心から賛辞をお送りさせて頂きます。
↑さよならキャプテン・スポールディング!
あなたこそホラー映画界で最高のピエロでした…
という訳で次回は
荒野の人外魔境
というテーマで
トマホーク ガンマンvs食人族
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たいグラインドハウス系(ではない)映画
「オールウェイズ」
本作と同様オードリー・ヘプバーンの遺作となった本作は、エンターテイメント系の作品ではなく、ヘプバーンが亡くなる事を察したスピルバーグ監督による「今までありがとうヘプバーン」という感謝の花束のような作品!
本作でヘプバーンは、既にイマジネーションという存在となっており、これから先は、俳優たちの後ろに立って応援してあげる存在となっているのです😉
だから今の若い俳優さんたちの後ろにもヘプバーンがいらっしゃって、応援して下さっているかもしれませんね😘