こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日もグラインドハウス今昔物語というテーマで

 

H・P・ラヴクラフトの

ダンウィッチの怪(1970)

(原題:THE DUNWICH HORROR)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★グラインドハウス今昔物語とは?

今月は、2020年10月に開催させて頂いた"想像力とおうちでグラインドハウス"の続編。

かつてホラーやサスペンスなどのB級作品を好んで公開していたグラインドハウスと呼ばれていいた映画館で人気を博していたような作品の過去と現在というテーマで、グラインド・ハウス系映画の新旧比較をお送りさせて頂いております🎃👻💀😆

 

 

 

クトゥルー神話作品5選①

 

本シリーズはこれまで「サランドラ」「地獄の門」「ビヨンド」「マンハッタン・ベイビー」「マーダー・ロック」「怒霊界エニグマ」というルチオ・フルチ監督という6作品をご紹介させて頂きましたが、「サランドラ」「地獄の門」「ビヨンド」「マンハッタン・ベイビー」の4作は、H・P・ラヴクラフト氏が創作した「クトゥルフ神話」をベースにしたコズミック・ホラー作品!

 

得体のしれない邪悪な存在が、じわじわと人間社会を狂わせて行くコズミック・ホラーは、以降のホラー映画にも多大な影響を与えて来たホラーの1ジャンル!

 

ですので、折角ですのでここから5作品は、ルチオ・フルチ監督以外の方が撮られた、4つのクトゥルフ神話映画をセレクトして、解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😊

 

↑1992年に作られた日本版クトゥルフ作品も、

 ご紹介できたらと思っています😁

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ロジャー・コーマンがH・P・ラヴクラフトの小説を映画化。

アーカム大学のアーミテッジ博士は、ウィルバーという男から悪魔の書「ネクロノミコン」を貸して欲しいと頼まれる。
その男は、数十年前に悪魔召喚の儀式で死刑になった男と同姓同名で…。

【スタッフ&キャスト】監督:ダニエル・ホラー 原作:H・P・ラヴクラフト 製作総指揮:ロジャー・コーマン 脚本:カーティス・リー・ハンソン 出演:サンドラ・ディー/ディーン・ストックウェル/エド・ベグリー/ロイド・ボックナー

 

 

はい。
 
クトゥルフ神話をご存知の方は、既にピンときたのではないかと思いますが、「アーカム」というのは「クトゥルフ関連の作品によく登場するいわくつきの地名!!
 
解説には「アーカム大学」とありますが、クトゥルー神話でアーカムにある大学と言えば「ミスカトニック大学」ですので、この部分の解説は間違っていると考えられます!
 
ミスカトニック大学は、クトゥルー神話の事が書かれた希少本である「ネクロノミコン」を所蔵している事でも有名な大学!!
 
↑「死霊のしたたり」に登場するネクロノミコンは
 古代遺跡に眠っていた呪文の書ですが…
 
↑本作のネクロノミコンは、
 図書館の入り口に陳列されている希少本です!
 
 
解説にあるウィルバーという男は、そんなネクロノミコンに異常な執着を示しているダンウィッチという村から来た男!!
 
図書館が閉館する直前に現れたウィルバーは、自分はネクロノミコンを読みたくて遠くから来たので、少しで良いので読ませて欲しいとアーミテッジ博士の助手のナンシーに頼み込み、憑かれたようにネクロノミコンを読み始めます!
 

↑ネクロノミコンを読み耽るウィルバーは陰気な男。

 
 

ナンシーの同僚のエリザベスはウィルバーに不信感を抱きますが、逆にナンシーはウィルバーに好意を持ち、夜になってダンウィッチに帰るバスに乗り損ねてしまったウィルバーを自分の車で送り届けてあげる事にするのですが、その日からナンシーは大学に戻る事なく、ウィルバーの暮らしている古い館に寝泊まりするようになってしまったのです…

 

↑真夜中のダンウィッチに向かって車を走らせる2人!

 

 

 

さて一体何故ナンシーは、ウィルバーの館に棲みつくようになってしまったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑親切に館まで送ってくれたナンシーに対して

 怪しげな薬入りのコーヒーを振る舞ウィルバー!

 

↑そして、館にいるウィルバーとは別の"何か"

 彼等は一体、何を企んでいるのか…

 

 

 

グラインドハウス今昔夜話 "代々引き継がれる邪悪な試み"

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は公開当時、ラグクラフト・ファンから酷評されてしまった映画!

 

ですがその理由は恐らく、一般の観客が期待していたクトゥルー神話が、イギリスのハマーフィルムのような古城を舞台にした幽霊譚のようなものであり、本作のモダンな映像表現が俗っぽく観られてしまったからではないかと思われます。

 

↑ダンウィッチで過ごすようになったナンシーが

 突然見る白昼夢はサイケデリックな雰囲気!!

 当時の観客「何これ?意味わかんないあせる

 

 

ですが、様々な映像表現を許容できるようになった現代の私たちにとては、本作の映像は70年代らしい創意工夫の溢れるものとして理解できるだけでなく、クトゥルー神話の定石を踏んだ正当な展開の本作は「クトゥルー神話映画入門」として最適な作品ではないかと思えるのです😊

 

尚、本シリーズで何度かご説明させて頂いておりますが、クトゥルー神話の基本パターンは…

 

1.かつて地球には、人間を遥かに凌駕する邪悪な存在していた
 

2.彼らは何らかのキッカケによって、再び地上に復活する日を待っている

3.邪悪な狂信者や、考古学者、禁忌を知らぬ科学者などは、それらの存在を復活させてしまう事がある

4.復活してしまった邪悪な存在は、人間の手に負えるものではない

5.邪悪な存在を信奉する人間たちは彼らのしもべと化す

6.ひょっとすると彼らは今日、世界のどこかで復活してるかもしれない…

 

というものですので、本作におけるウィルバー・ウェイトリーは「3」の邪悪な存在を復活を画策している人間!

 

 

本作では親切にも、映画の冒頭でウィルバーが誕生するシーンをキチンと描いているため、なぜ彼が邪悪な存在を復活させようとしていたのかが映画を観ている間に理解できるようになっているのです!

 

↑映画の冒頭はウィルバーの出産シーンですが

 後にウィルバーの母親は精神疾患で入院し

 祖父は世捨て人となっている事が分かります!

 

 

 

そう。

 

偉業と言うのは、自分の代で達成できるものとは限りません!

 

 

 

ウィルバーがネクロノミコンを読み解こうと執念を燃やしていたのも、ナンシーを自分の館に引き留めていのも、全ては父の成し得なかった偉業を自らが達成するため!!

 

クトゥルー神話における邪悪な者の復活は、その意志を継ぐものたちがいる限り、何度失敗したとしても頓挫する事はないのです…

 

↑祖父は僕の事を失敗作だと言った!!

 けれどそれは間違いだ!

 何故なら、僕が邪悪なる存在を降臨させる

 偉業の達成者となるからだ!!

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

動かない恐怖

というテーマで

 

H・P・ラヴクラフトの ダニッチ・ホラー

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

 

★おまけ★

併せて観たいグラインドハウス系映画
「襲い狂う呪い」

 

街の人々から忌み嫌われている男は、古く荒廃した屋敷に妻と娘と従者と共に暮らしていましたが、彼の妻は娘の友人の男性に「娘を連れて、この家から逃げて欲しい」という手紙を出していました!
 

ラヴクラフト氏の「宇宙からの色」が原作の本作は、人智を超えた存在にうかつに近づいてしまった人間を襲う忌まわしい出来事を、物悲しいテイストで描いています!

人は人生を挽回するために、時として禁忌に近づく決断をしてしまう生き物なのです…