こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑬というテーマで

 

パワープレイ(1978)

(原題:POWER PLAY

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

平凡なタイトルながら…

 

本作の原題は、本題と同じ「パワープレイ(POWER PLAY)」

 

 

…なんだか、パッとしないタイトルですね汗汗

 

 

ですが本作は、一度観たら忘れられないような衝撃的な内容のクーデターを描いた映画!

 

そして恐らく本作を観終わった後、皆さんの心の中では「蜚鳥盡、良弓藏、〇〇〇、〇〇〇。」という有名な中国の故事を思い浮かべる事になるのではないかと思います…

 

↑これぞ発掘良品の名に相応しい知られざる逸品です😄

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ヨーロッパのある架空国で起こったクーデターを中心に、複雑な人間模様を描く。

製作はクリストファー・ダルトン、監督・脚本はマーティン・バーク、撮影はオーサマ・ラウィ、音楽はケン・ソーン、特殊効果はロイ・ホワイブロウが各々担当。出演はピーター・オトゥール、デイヴィッド・ヘミングス、ドナルド・プレゼンス、バリー・モース、ジョン・グラニック、アルバータ・ワトソンなど。

 

 

はい。

 

解説にある通り本作は、架空のヨーロッパの小国を舞台にしたクーデターの映画!

 

 

クーデター映画と言えば、アフリカや中近東や中南米を舞台にした作品が少なくないのですが、本作の舞台は、軍部や秘密警察が幅を利かせている冷戦下の東側のような小国!!

 

↑大統領の後ろに軍人が控えるようなヨーロッパの小国。

 

映画の冒頭ではクーデターは既に終わっているのですが、何故か首謀者の一人であるはずのレイモンド・カサイ大佐はニューヨークに亡命しており、TVのトークショーに出演したカサイは司会者から「革命政府のから逃れアメリカに亡命したカサイは、人々から裏切り者、日和見主義者、人越しなどと呼ばれている男だ」と紹介されます。

 

↑キャスターから酷い紹介をされるカサイ大佐(左)

 

 

ですがその後、映画で描かれるクーデターの顛末を観ていると、カサイ大尉は裏切り者でも人殺しでもなく、どちらかというと温厚で人のよい老軍人!

 

↑子供たちと楽しく遊ぶカサイは温厚な老軍人!

 

 

大統領が軍隊を私的に利用する事に対しても常々怒りを抱いていたカサイ大佐は、流血のクーデターを望まない平和を愛する穏健派の軍人にしか見えなかったのです…

 

↑どちらかというと、カサイの親友でクーデターの首謀者の

 ナリマン大佐の方が冷徹な決断をする男でした…

 

 

 

さて、一体どうしてクーデターが成功したにも関わらず、カサイ大佐は亡命する事になったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑兵卒には大規模訓練だと嘘を言って開始された

 暁のクーデターは、どんな結果に!?

 

 

 

あゝ韓信。あゝ文種。

 

本作はオチを解説してしまうと、ご覧になる楽しみを半減させてしまう作品ですので、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、クーデターを決意した陸軍大学の作戦教授ルーソーや、カサイ大佐の親友のナリマン大佐は高潔な憂国の軍人であり、彼等は当初無血クーデターを計画していました!

 

↑最小の被害で国を変えるにはクーデターしかない!

 

 

ですが理想主義者のルーソー教授のクーデター計画は机上の空論に過ぎず、実際にクーデター計画を進めてゆくと、思わぬ障害が次々と発生し、頭脳明晰で危機管理能力の高いナリマン大佐が問題を解決させようとすると、クーデターは途方もない人数を要する、無血で決行する事など絶対に不可能な血なまぐさいものとなってゆくのです!!

 

↑そうだ!空港を制圧しないと制空権を奪われるあせるあせる

 仕方ない、襲撃して守備兵は殲滅せよ!!

 

 

 

そう。

 

現実とは常に、思い描いていた理想のようにはならないものなのです!

 

 

 

 

そしてそんな理想通りにはいかない現実は、カサイやナリマンの人生も、想像していたものとは異なる運命へと導いて行きます…

 

カサイは見通しの甘さと、いざと言う時の無策によって国を追われ、全ての指揮を取り仕切った実務派のナイマンには「史記」に登場する韓信や文種と同じ運命が待ち構えていたのです!

 

 

本作は、理想を掲げた正義のクーデターがもたらす“キレイ事を行った顛末”を描いた、非常にシニカルな70年代らしい政治不信系サスペンスの傑作だと思います😄

 

↑そう…

 きれいなクーデターなど存在しないのです!

 

 

 

 

という訳で次回は

 

恐ろしき転居

というテーマで

 

テナント 恐怖を借りた男

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆