こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑫というテーマで

 

肉体の悪魔(1986年版) 

(原題:DIAVOLO IN CORPO)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

原作と全くちがう恋愛映画!

 

本作は、有名なフランスの「肉体の悪魔」という小説を映画化したもの!

 

ですが原作が青年の純愛を描いた悲恋の物語なのに対して、本作は性に奔放な二人の男女が、女性に許嫁いるにも拘わらず、周囲の目も気にせず愛し合い続けるという変な展開の映画!

 

 

さらに女性の行動が常軌を逸しているために「狂気の愛」とでもいうべき空気感を漂わせている不思議な作品なのです!

 

↑メチャクチャになった部屋で一人で踊っている女性…

 これってなんの映画なのあせるあせる

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

'68年以後のポスト・テロリズムの時代を背景に若い学生によって真の愛を知る女の姿を描く。

レイモン・ラディゲの同名の原作を大巾に改変し監督のマルコ・ベロッキオがエンリコ・パランドリと共同執筆、撮影はジュゼッペ・ランチ、音楽はカルロ・クリヴェッリ、編集はミルコ・ガッローネが担当。

出演はマルーシュカ・デートメルス、フェデリコ・ピッツァリスほか。
はい。
 
これはとても素晴らしい解説😄😄😄

 

 

本作はの原作は、20歳で急逝したフランスの小説家レイモン・ラディゲの「肉体の悪魔」という小説をベースにしているのですが、ウィキペディアによると原作の内容は以下のようなもの。

1917年、第一次世界大戦の最中、「僕」は年上の女性マルトと恋に落ちた。

マルトには出征中のジャックという婚約者がいて、間もなく2人は結婚したが、その時にはマルトのジャックに対する愛は冷めていた。

夫が前線で戦っている間、「僕」とマルトは毎晩のように愛し合った。そんなある日、マルトが「僕」に妊娠したことを打ち明けた。
 
 
…20歳で早世したラディゲは、これを何歳の時に書いたの汗汗

 

 

ラティゲは1923年生まれで、「肉体の悪魔」が出版されたのは1923年ですので、執筆していたのは20歳より前という事になりますよね…

 

↑レイモン・ラディゲ氏(1903-1923)

 

 

20歳未満の時に書いた小説としては、かなり過激で背徳的です!

 

ですが、反道徳的な内容である事で逆に注目を浴びた本作はベストセラーとなり、ラティゲが死亡した後に、何度も映画化される事となりました。

 

 

ですので本作のストーリーも、基本的には原作と同様、婚約者のいる女性ジュリアに一目惚れをした高校生のアンドレアとジュリアの熱愛を描いたラブストーリー!

 

↑教室の窓から見えるジュリアに恋したアンドレア!

 

 

ジュリアの名前さえ知らないアンドレアでしたが、彼女の事で頭がいっぱいになってしまった彼は、車で移動する彼女をバイクで追跡し、彼女が裁判所に入っていくのを目撃し、自分も裁判所を傍聴する事にします。

 

↑彼女がどこへ出かけたのかが気になってしまい

 授業を抜け出して追跡!!

 

↑彼女は裁判所へ! よし僕も入ってみよう!!

 

 

裁判所で行われていたのは、テロ行為で逮捕された沢山の若者たち。

 

ジュリアは、容疑者の一人で許嫁のプルチーニの裁判を傍聴するために裁判所へとやって来ていたのですが、多数の人間を一度に裁こうとしている裁判のため、容疑者たちは檻の中!

 

ただし裕福な家に生まれたプルチーニは、実母から警察にワイロを渡してアイスクリームを差し入れてもらっています!

 

↑檻の中から裁判を受けるテロリストたちですが

 プルチーニだけはアイスをペロペロ!

 

 

ん?

 

テロリストとしての裁判だと刑期は重くなりそうですが、プルチーニはワイロで何とかなりそうな感じですね汗

 

 

 

ジュリアはその後も裁判を傍聴しに訪れますが、アンドレアも密かに同行し、二人は傍聴席で顔も知りの存在となっていくのですが、ある裁判の時、檻に入れられていた男女が、檻の中でキスをし始めると、ジュリアはアンドレアに近づいてきて「観て!」と彼らを指さしたのです!!

 

↑ねぇ。見て!!

 

↑愛し合ってるわラブラブ

 

 

…なんか、いきなりの展開ですねあせるあせる

 

 

 

そしてこの後は、更にいきなりの展開!!

 

裁判所を出たジュリアは、アンドレアを誘って結婚後にプルチーニと一緒に住む予定だった家へと向かい、そこでアンドレアと肉体関係を持ってしまったのです!!

 

↑憧れの女性と初体験をしたアンドレアは有頂天!!

 

 

… … … ???

 

なんだかサッパリ分からない展開ですねあせるあせるあせる

 

 

 

さて、許嫁の身を案じて裁判所に日参していたジュリアは、一体どうしてアンドレアと肉体関係をもってしまったのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑それ以降はももうジュリアはアンドレアにメロメロラブラブラブラブ

 これってラノベみたいな展開の映画!?

 

 

 

愛が二人を分かつ時 

 

えっと…。

 

一見すると分かりにくい本作は、ジュリアを演じられたマルーシュカ・デートメルスさんのヌードシーンが印象的な為、エロティックな映画に分類されてしまう事があると思います。

 

 

ですが恐らく本作はエロティックな映画として作られたのではなく、原作の「肉体の悪魔」と同様に純粋な愛を描いた悲恋の物語

 

 

ただし本作が公開された1980年代後半のイタリアの社会的な状況を理解していないと、純愛映画だと理解しにくい作品となっていると思われます…

 

 

1980年代のイタリアは、1960年代頃にイタリアで過激な破壊行為を行っていた赤い旅団というテロ組織が壊滅していった時期!

 

赤い旅団に参加したのは最盛期で500人以上と言われていますので、当時のイタリアの若者たちも、少なからず参加していたものと管変えられます。

 

 

赤い旅団は1970年代の後半に要人の誘拐や殺人を行っていたため、逮捕されたメンバーは、何十年もの刑期を追う可能性がありました。

 

ですので、本作で裁判にかけられているプルチーニたちは、恐らくですが赤い旅団のメンバー!

 

裁判で有罪になれば、何十年も刑に服する可能性があったプルチーニを待つ許嫁のジュリアの心境はいかばかりのものだったのでしょうか?

 

裕福な家のプルチーニの実家は、プルチーニとジュリアのために新築の家も用意してくれていたのに、それも使用される事なく放置される事となります…

 

けれど未来の妻として、必死になって夫の裁判を傍聴していたジュリアに対し、彼は愛も囁かず、ただアイスクリームを食べながら、実母の裏工作で減刑されるのを待っているような雰囲気!

 

牢獄の中で愛し合っているような情熱は、プルチーニは持ち合わせていなかったのですあせるあせる

 

 

 

だとしたら…

 

こんな状況でもジュリアはプルチーニに操を立て、戻らないかもしれない夫を待ち続けた方が良いのでしょうか?

 

彼女には、自分を熱烈に愛してくれる人を求める権利は与えられないのでしょうか?

 

 

 

 

はい。

 

原作の「肉体の悪魔」が、純愛を求めた青年が道ならぬ恋心を止められなかった悲劇を描いた作品であるならば、本作もまた、純愛を求めていたジュリアが、道ならぬ恋心を止める事がてくなかった悲恋の物語なのです!

 

↑ああ。私が求めていた人生は、こいう感じだったの!!

 

 

 

本作はアンドレアの視点で描かれている作品ですので、初見の時はジュリアの行動が奇妙に見えるかもしれませんが、以上の事をご理解の上、ジュリア視点で再度観て頂けると、内容がよくご理解頂けると思います😊

 

 

哀しい事ですがジュリア狂人ではありませんので、自分が望んだことがモラルに反している事も十分に理解していながらも、誰かから愛される事を望まずにはいられません…

 

 

本作は、愛の国イタリアらしい視点で描かれた「愛を求める事の是非を問う」別バージョンの「肉体の悪魔」となっているのです…

 

↑刑務所で面会した時のプルチーニはこんな態度。

 ジュリアが求める愛を与えず逮捕された許嫁に対しても

 彼女は一方的に愛を捧げるべきなのでしょうか…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

リビドー大爆発!

 

というテーマで

 

青い体験

 

という映画をご紹介させて頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします😊

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛