こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑫というテーマで

 

パラダイム 

(原題:PRINCE OF DARKNESS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

決して逃げ場がない戦い!

 

本日の作品は、前回の「ゼイリブ」と同様、ジョン・カーペンター監督の作品!

 

カーペンター監督の作品の魅力は逃げられない場所での攻防

 

彼の代表作である「ニューヨーク1999」「遊星からの物体X」「要塞警察」「ザ・フォグ」「マウス・オブ・マッドネス」などの諸作品は全て逃げられない空間でのサバイバル映画

 

↑火星を舞台にした先住民族の怨霊との対決ホラーである

 「ゴースト・オブ・マーズ」も逃げられない空間サバイバル!

 

 

登場人物たちは閉鎖された空間に閉じ込められ凶悪な敵と対峙しなくてはならなくなるのですが、登場人物は次々と殺されてしまい、主人公は、わずかな仲間と共に恐怖と立ち向かう事となるのです!!

 

↑外に逃げられない南極観測所の中で怪物と戦え!!

 (遊星からの物体X)

 

 

そして本作も、そんな逃げられない場所での攻防を描いた作品!

 

本作はなんと、古い教会に閉じ込められてしまった司祭たちが、太古の昔に封印されていた邪悪な存在の復活を阻止するために、恐怖と立ち向かう作品となっているのです😨

 

↑邪悪な存在に包囲された教会での逃げられない戦い!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

廃屋となった教会を舞台に、司教や学者たちが遭遇する悪魔の呪いを描く恐怖映画。

製作総指揮はシェップ・ゴードンとアンドレ・ブレイ、製作はラリー・フランコ。

監督・音楽は「ゴーストハンターズ」のジョン・カーペンター、脚本はマーティン・クォーターマス、撮影はゲーリー・B・キップが担当。出演はドナルド・プレザンス、ジェイムソン・パーカー、ヴィクター・ウォンほか。
はい。
 
ストーリーは明瞭ですね😊
 
 
 
解説にもある通り、本作の舞台は廃屋同然となっている古い教会。
 
なぜ「廃屋同然」という微妙な言葉を使ったかというと、教会の内部には年老いた司祭が一人住んでいたからなのです。
 
ですがその司祭は、何かを伝えるために枢機卿に面会を求めて外出した先で亡くなってしまいます…
 
↑老司祭は外出先で、人知れず死んでいました。
 
 
老司祭の死後、彼の遺した日記には次のように書かれていました。
 
眠りの兄弟へ私は警告する。
 
眠れるものが目を覚まそうとしている
 
私はこの目で見た。
 
と…。
 
 
その日記を読んで不審に思った別の司祭は、亡くなった司祭の教会に向かい、彼が死ぬまで手放さなかった銀色の鍵で地下への扉を開けて中に入り、彼が死ぬまで守っていたものを発見します。
 
↑廃墟同然の教会の地下で何かを発見する司祭!
 
 
その後司祭は、大学で理論物理学と超常現象を教えているバイラック教授に手紙を送りこのままでは2000年間封印していた邪悪な存在が復活してしまうので、私と協力して封印を阻止して欲しいと依頼したのです!
 
意味不明の手紙に困惑したバイラック教授でしたが、司祭に招かれて教会の地下に入ると、そこには謎の緑色の液体が、怪しい光を放ちながらグルグルと回っていたのです!
 
↑「何ですか?あれは??」
 「あれは2000前に封印された邪悪なものです」

 

 

バイラック教授は大学で学生に向けて「我々の現文明が無意識に善や秩序を重んじているのは、過去に何らかのキッカケがあっただけの事であり、もし、悪や破壊を重んじろという別の価値観を選択していたら、人類は滅んでいたかもしれない」という授業を行っており、もしこの液体の中が「邪悪な価値観を人類にもたらす存在」だとするから、大変な事になってしまうと考えて司祭に全面協力を申し出たのです!

 

これは80年代に流行った「パラダイム・シフト」という考え方!

 

 

 

パラダイム・シフトとは今までにない考え方が誕生すると、今までの考え方が根底からひっくり返ってしまうという文明上書き論!

 

パラダイム・シフトの例 :

・自動車が誕生すると馬は移動手段ではなくなる

・メールが発達すると電話での通話はすたれる

・ネットで情報収集ができると既成メディアの価値が…

 

 

前回の「ゼイリブ」がメディアや為政者による大衆支配の問題を描いた作品だとするなら、本作は、果たして人類は今後も善や秩序に価値観を見出し続けられるのかという問題提起をしている、ちょっと哲学的なホラー映画となっているです!

 

↑もし、この中の存在が、人類に新しい価値観を見せ

 人類がそれを受け入れてしまったら??

 

 

 

さて、司祭に協力する事にしたバイラック教授と彼の授業のゼミ生たちは、果たして邪悪な価値観に影響される事なく、善を貫く事ができるのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑言語学、紋章学、コンピューター解析、そして宗教!

 様々なジャンルのエキスパートたちは、果たして

 現文明の価値観を守る事ができるのか!?

 

 

 

文明を上書きする人!

 

冒頭にも書かせて頂きましたが、カーペンター監督は逃げられない場所での攻防を描くのを得意とされている方!

 

 

ですので本作でも、映画の中盤で太古の邪悪な存在の復活に気づいた妖しげな人たちによって教会が包囲されてしまい、司祭や教授たちは物理的に逃げる事ができない籠城戦を強いられる事となります。

 

↑ゼミ生たちが到着した時には、既に怪しげな人たちが…

 

 

 

ん?

 

でも怪しげな人は怪物じゃないのですから、戦って逃走する事も可能なのでは??

 

↑確かに不気味ですが、倒せなくはないのでは?

 

 

 

 

はい。

 

ここが本作を楽しんで頂けるポイント!

 

 

 

まだ邪悪な存在は顕現していないにも関わらず、どうして怪しげな人たちは集まって来ていたのでしょう?

 

それは彼等が既に善や秩序という今までの価値観を捨ててしまった人たちだからだと考えられます!

 

 

 

バイラック教授が大学で講演していた「過去に何らかのキッカケがあって、既に悪や破壊を重んじるという価値観を選択している人」にとっては2000年前の邪悪な存在が支配する世界こそが理想の世界なのです!

 

 

 

 

では、そんな彼等が待ち望んでいる邪悪な存在を降臨させるために最後に必要となるステップとは一体何なのでしょう?

 

 

 

そう。

 

それは、今ある善と秩序の価値観を捨て去って、新しい価値観へと乗り換える変節漢が出現する事なのです!

 

 

 

それは、馬を乗る事を止め自動車に乗り換える人間、メールを扱い始め電話をしなくなった人間、ネットを閲覧する事を覚えTVを観なくなった人間…

 

本作には、今まで信じていた善や秩序のために悪と戦う価値観を捨て、戦う事を放棄して逃げ隠れている変節漢が登場します。

 

そしてそんな彼のエゴイスティックな行動によって、善と秩序の価値観は崩れ去ってしまうのです。

 

 

 

 

「ゼイリブ」と「パラダイム」で描かれている「逃げられない戦い」とは、物理的な意味だけではなく精神的な意味でもあるのです…

 

↑この世は拝金主義者によって管理されている!

 どうする、この状況を享受する?戦う?(ゼイリブ)

 

↑神を信じ善行を成す今の価値観がピンチだ!!

 どうする、人類のために戦うのか?それとも…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

振り返れば死体の山

 

というテーマで

 

エンゼル・ハート

 

という映画をご紹介させて頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします😊

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛