こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑪というテーマで

 

二つの世界の男

原題は「THE MAN BETWEEN(狭間の世界の男)」(1953)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

ベルリンの壁建設前夜

 

本日の作品はドイツのベルリンが舞台の1953年の作品!

 

 

第二次世界大戦が終わったのが1945年だから、ベルリンはもう東西を壁で分断されていたの?

 

 

いいえ。

 

 

ベルリンの壁が建造され始めたのは1961年!!

 

 

 

だから本日の映画では、まだ東西ドイツが隔絶されておらず、敵対する思想の人々がお互いの都市を行き来できた不思議なベルリンが描かれているのです。

 

↑踏切の向こうは、違う思想の国でした…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

「落ちた偶像」「文化果つるところ」のキャロル・リードが一九五三年に製作・監督に当った作品で、戦後のベルリンを舞台にしたスリラー・ドラマ。ワルター・エバートの原作を「検察官閣下」のハリー・カーニッツが脚色し、撮影は「暁の出航」のデスモンド・ディキンソン
…以下は、スタッフ&キャストの情報なので略させて頂きました。

 

はい。

 

解説にもある通り、本作は戦後のベルリンを舞台にしたスリラー。

 

そして、当時の状況を知らない世代の方々にも理解できるようにベルリンの姿を描いている、歴史的資料としても価値が高い作品となっています😊

 

 

主人公のスザンヌ・マリスンは、休暇を利用してベルリンで医師の仕事をしている兄マーティンに会いに来た好奇心旺盛なイギリス人の女の子!

 

イギリス人スザンヌの兄も当然ですがイギリス人。

 

英国軍の軍医であるマーティンはベルリンでベッティーナという女性と結婚しており、スザンヌにとっては、初ベルリン訪問の旅は兄嫁との初顔合わせの場でもありました!

 

↑忙しい兄の代わりに空港に迎えに来たベッティーナ。

 

 

二人はすぐに意気投合しますが、スザンヌは空港を出た瞬間から、他の国とはちがうベルリンの謎めいた空気を感じていたのです!

 

↑何故かスザンヌたちを監視している少年…

 

↑食事中、わざとワインをこぼし中座するベッティーナ!

 

↑その後、誰かと密談をしているベッティーナ!

 ベルリンって、なんだか変な街だわ…

 

 

スザンヌは、そんな出来事に不安を感じてベルリンから逃げ出すの?

 

 

 

いいえ。

 

 

好奇心旺盛で冒険好きなスザンヌは怖がるどころか、この機会を利用してソビエトが管轄している東ベルリンへも遊びに行きたいとベッティーナに申し出たのです!

 

↑真夜中に誰かから手紙を受け取ったベッティーナ。

 そんなシーンを目撃したスザンヌでしたが

 不審な行動を詰問するどころか、東ベルリンの案内を

 ベッティーナに申し出ます!

 …命知らずですね汗

 

 

 

さて、監視だらけの西ベルリンから、東ベルリンへと足を踏み入れたスザンヌには、どんな冒険が待ち構えていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑翌日、東ベルリンに向かったスザンヌたち。

 けれど彼女たちの行く先には空港の少年が!!

 …何故スザンヌは監視されているのでしょう?

 

 

 

片道通行の自由

 

本作で描かれている東西ベルリンは、お互いの国の思惑が交じり合って、かろうじて平穏が保たれていた危険地帯!!

 

 

西ベルリン側は、西側の豊かな世界への亡命を目指す住人たちの救出地帯として。

 

東ベルリン側は、物価の安さやオペラ鑑賞などで西側の住人を呼び寄せて喧伝するプロパガンダ・シティとして。

 

 

…これって一方のメリットが、もう一方のデメリットとなっている状態なので、絶対トラブルが発生する状況ですね。

 

 

そんなベルリンで、救出された亡命者の医療を見ているマーティンは、東側にとっては邪魔な存在!

 

けれど西側軍人であるスザンヌの兄に直接手は出せません。

 

 

だからこそ東側、スザンヌの兄に協力して東ベルリンから西ベルリンへの亡命の手助けをしている、元東ベルリン住人のオラフという男を捕えたいと画策していたのです!

 

↑オラフを捕まえたい東側の諜報員ハレンダー

 

 

本作のタイトルとなっている「二つの世界の男」とは、そんな東側の作戦に関与しているイーヴォという男。

 

彼は西側と東側を自由に行き来できる男でしたが、その理由は東側のスパイだったから!

 

 

 

 

心では亡命を望んでいたイーヴォでしたが、東側に弱みを握られているイーヴォは、心ならずも東側の諜報員として活動を強いられていたのです!

 

↑自分の手柄のためにスザンヌに近づくハレンダーを

 無理矢理スザンヌから引き離すイーヴォ。

 彼は東側を嫌悪しながらも、西側では生きられない

 二つの世界の間で生きる男だったのです…

 

 

本作はサスペンス映画なので、これ以上詳細を書くのは差し控えさせて頂きますが、スザンヌが気軽に東ベルリンに足を踏み入れるのも、イーヴォが自由に東西ベルリンで暗躍出来てしまうのも、ベルリンという特殊な場所があったから!

 

 

両国の思惑を超えたベルリンという場所の存在は、次第にソ連側にとってデメリットが多い場所となってゆくのです。

 

本作の後半では、そんな東ベルリン側のいらだちが描かれていきますが、実際の歴史でも本作のような事件が後を絶たないと判断したソ連は、突如国境地帯に壁を建設し始め、思想の違う人々が行き来できるベルリンの緩衝地帯は、1961年に終わりを迎える事となるのです…

 

↑自分の過去を告白する戦中世代のイーヴォに対し

 私と一緒に気にせず生きようと語る戦後世代のスザンヌ。

 そんな二人は果たして幸せになれたのでしょうか?

 戦争は、個々の人生にも大きな影を落とするものなのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

家族と炎と団欒と

というテーマで

 

ヘル・ファイター

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

合格おまけ合格