こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘というテーマで

 

蜘蛛女のキス

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

モンスター映画?


本作は原題も邦題と同じKISS OF THE SPIDER WOMAN

 

スパイダー・ウーマンのキスというタイトルですから、タイトルだけで内容を想像すると、スパイダー系のモンスターが登場する映画に思えますよね!

 

↑蜘蛛女のイメージはこんな感じ?(「ジャイアント・ピーチ」より)

 

 

↑それともこんな感じ?(「スパイダーバース」より)

 

 

↑やっぱりこんな感じしょうか?(「コララインとボタンの魔女」より)

 

 

…えっと汗

 

 

確かに本作は蜘蛛女は登場する映画ですが、本作はモンスターの映画ではなく、牢屋に収監された二人の男性による会話劇なのです!

 

↑本作は、狭い牢屋の中で交わされる会話劇です。

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ファシズムが台頭する南米のある国を舞台にテロリストとホモセクシュアルの交流を描く。製作はデイヴィッド・ワイズマン。エグゼキュティヴ・プロデューサーはフランシスコ・ラマリオ・ジュニア。監督はヘクトール・バベンコ。マヌエル・プイグの同名原作(集英社)を基にレナード・シュレイダーが脚色。撮影はロドルフォ・サンチェス、音楽はジョン・ネシュリング、美術はクローヴィス・ブエノが担当。出演はウィリアム・ハート(85年カンヌ映画祭男優賞/86年米アカデミー賞男優賞受賞)、ラウル・ジュリア、ソニア・ブラガなど。

 

…ファシズムが台頭する南米のある国を舞台に、テロリストとホモセクシュアルの交流を描く??

どういう内容なのでしょうあせるあせる

 

 

 

はい。

 

この解説にある通り、本作はファシズムが台頭し、国家にの意に沿わない人物が次々と収監されていくデストピア的な世界が舞台。

 

 

ある日、未成年と性的な行為をした罪で刑務所に収監されていたモリーナというホモセクシャルな男性の監房に、政治犯のバレンティンという男が収容される事になりました。

 

 

偽造パスポートを所持していた罪で逮捕されたバレンティンは、看守から拷問を受けても、偽パスポート所持していた理由を一切口にしたかった硬派な男!

 

 

そんな信念のために生きるバレンティンは、自分が観た美男美女の登場する映画の話ばかりしているモリーナのおしゃべりにウンザリしていました。

 

モリーナの語る映画の内容は、ナチスドイツの占領下で、反体制ゲリラに属していたにもかかわらずドイツの将校に惚れてしった美人シャンソン歌手の話!

 

↑身振り手振りで、自分が観た映画のシーンを再現!

 

 

…仲間の情報を言わずに拷問されていたバレンティンにとって、そんな映画の話、聞きたくないですよねあせる

 

ですので本作の中盤までは、生き方も考え方も正反対のモリーナとバレンティンのギクシャクした関係が描かれ続けるのですが、映画の中盤以降、二人の関係は急速に親密になっていくのです!

 

↑ねぇ。ご飯食べて元気になりなよ~ラブラブ

 うっせぇ!俺に構うんじゃねぇよオカマ野郎むかっむかっ

 という関係だった二人ですが…

 

↑映画の後半では、長年の親友のようになってゆくのです。

 

 

さて、牢獄の中の二人の関係は、一体どうして変わっていったのでしょうか?そして、一体いつ蜘蛛女は登場するのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑一体いつ蜘蛛女は退場するの??

 

 

 

入れ子構造のラブストーリー

 

本作は、初見では難解な映画に思えるかもしれませんが、映画で描かれている内容を深く読み解いてゆくと感動が待っている伏線回収型の作品!

 

ですので観る楽しみを奪ってしまわないよう、あまり詳細を書くのは差し控えさせて頂きますが、少しだけポイントをご説明させて頂くと、モリーナが映画の冒頭から、ずっと話続けている映画の内容は、バレンティンの人生に酷似したものとなっているのです!

 

 

???

 

…でも、映画の内容は、ナチスドイツの反体制ゲリラに属していたシャンソン歌手が、ドイツの将校と恋に堕ちてしまうという、体制側の映画ですから、反体制派として投獄されたバレンティンとは正反対なのでは?

 

 

はい。

 

確かに、体制・反体制の物語という事で語るのであれば、バレンティンの人生にとっては受け入れられない物語です。

 

↑とっても素敵な映画だったのよ~ラブラブ

 アホか!ナチスのプロパガンダ映画だぞ!

 

 

けれど反体制運動を行って来たバレンティンもまた、シャンソン歌手と同様に、情報を得るために付き合っていた上流階級の女性を恋をしてしまった過去を持っていたのです。

 

けれどそれは、バレンティンにとって誰にも言ってはいけない秘密の過去!

 

 

けれど、自分と同じ恋物語を全肯定してくてたモリーナの想いは、二度と彼女と出会う事のないであろうバレンティンの心の慰めとなってゆくのです…

 

↑仲間にすら言えなかった恋を肯定してくれた男がいた…

 

 

 

そう。

 

自分の想いを理解してくれる人間がいるというのは、人生における救いでもあるのです😊

 

 

 

けれど実は、映画の内容と重複した人生を送っていたのはバレンティンだけではなかったのです!

 

↑親し気にバレンティンに話しかけるモリーナにはどんな過去が?

 

 

本作は、物語を語る語り手が、物語と同じ行動をしていくという「入れ子構造」の映画!

 

モリーナもまた、彼自身の人生を映画に重ね、反体制側だと知りつつシャンソン歌手を受け入れてくれたドイツ人将校に、バレンティンの姿を重ねてゆくのです…

 

↑排除すべき存在だと知りつつシャンソン歌手を受け入れ

 愛してくれたドイツの将校。

 ちなみにモリーナは世間から排除されたホモセクシャルです…

 

 

一人の映画から二タイプの入れ子構造として描いた本作は、ここまでで既に、大変完成度の高い作品なのですが、親しくなったモリーナが、後にバレンティンに語った、孤島に住む蜘蛛女の物語もまた、二人の人生の入れ子構造となっているのです…

 

↑二人の未来を暗示したような蜘蛛女の物語とは…

 

 

 

 

という訳で次回は

 

シェフ殺しは誰だ!!

というテーマで

 

料理長(シェフ)殿、ご用心

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

合格おまけ合格