こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と人間観察記というテーマで
英国スキャンダル
~セックスと陰謀のソープ事件
エピソード3
というドラマを解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
スティーブン・フリアーズ監督のドラマ、英国スキャンダルのご紹介もいよいよ本日で最後!
エピソード1、2は、ジェレミーとジョシフの行動をコミカルに描いた楽しい作品でしたが、エピソード3は2人が裁判で対決する法廷劇!
けれど会話中心の法廷劇にも拘わらず、他の映画では軽口を絶やさないジェレミー・ソープ役のヒュー・グラントは、ほとんど何も喋らず沈黙を貫いているのです!
↑あの陽気なヒュー・グラントが沈黙??
(「ラブソングができるまで」より)
エピソード2で、ジョシフ暗殺を決意したジェレミーでしたが、実行した男があまりにもアホだったため計画は見事に失敗し、実行犯に繋がる4人の人間が逮捕される事態に発展しますが、逮捕者の中にジェレミー・ソープがいたために、マスコミは大パニック!!
↑あっという間に捕まった実行犯の男!
↑彼の供述によって芋づる式に容疑者が逮捕されますが
当時労働党の党首だったジェレミーも逮捕されてしまいます
↑一方、ゲイをカミングアウトしたジョシフはみんなの人気者に!
全て始末したはずだったジェレミーのジョシフ宛のラブレターも、警察が保管していた一通が残っており、アメリカへと逃亡していた友人も司法取引でジェレミーを告発する決意を固めたため、ジェレミーは絶体絶命!!
けれどそんなジェレミーは、学生時代同級生だった辣腕弁護士ののアドバイスを受け入れ、全く意見を陳述しないという異例の法廷戦術に打って出たのです!
↑何も喋らず被告席に座り続けるジェレミー・ソープ。
さて、ゲイの暗殺計画者として告発されたジェレミーは、果たして無罪を勝ち取る事ができるのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑屈辱の転落人生に大逆転はあるのか!?
エピソード3におけるイギリスらしさと言えば何といっても、あの古めかしいカツラを被った裁判!
イギリスでは国家権力の司法とは別に、コモン・ローと呼ばれる地域共同体における裁判が古くから確立していた国。
王侯貴族や神が裁くのとは異なり、地域共同体で善悪を裁くのは、善良なる市民の代表である陪審員たち!
だからこそイギリスでは、陪審員に共感を得られるような弁護ができるかどうかが、判決を決定づける決定打となります。
この事件で、ジェレミー・ソープの弁護を担当したジョージ・カーマンは、そんな人心術を掌握しつくしたような男!
彼の人間性は決して善とは言えませんが、弁護における駆け引きは一級品!
↑恐るべき手腕のカーマン!
彼が陪審員に向けて柔らかい口調で話し始めると、99%有罪だと思われていたジェレミーの有罪が、なんだかおかしな雰囲気になっていくのです…
この手管はまるで、ビリー・ワイルダー監督の「情婦」に登場するロバーツ弁護士を観ているよう!!
↑こちらがロバーツ弁護士。雰囲気もソックリですね!
そう。
本作における最後のイギリスらしさとは、陪審員を丸め込んでしまう弁護士の手練手管によって、裁判が操られていくというイギリスの裁判制度の落とし穴なのです!
このように、イギリスならでは感覚をふんだんに盛り込みながら、まるでジェレミーとジョシフという実在の人物を観察して描いたような作品に仕上げる手腕は、スティーブン・フリアーズ監督ならではのもの!
円熟期を迎えたフリアーズ監督の人間観察眼は、今まで以上に冴えわたっているのです!
↑本シリーズでは、日本で観る事ができる
ほぼ全てのフリアーズ監督作品をご紹介しましたので
興味がありましたら、是非ご覧になってみて下さい!
という訳で次回は、せっかくなのでアメリカとイギリスの気質の違いを検証するために
俺たちならできるぜ!
というテーマで
アメリカン・アニマルズ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
おまけ