こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と
発掘良品の発掘
というテーマで
戦争のはらわた
という映画を
ご紹介させて頂ければと思います。
発掘良品第三弾の全18作品のうち
残り3本は戦争映画。
戦争映画というと
戦争を美化するようなタイプの映画?
(-"-;A
いいえ。
このシリーズの戦争映画は
いずれも、戦争の愚かさを描いた作品!
どの作品でも主役は職業軍人ですが
最前線で命懸けで戦う彼らは
自軍の上層部の発案した愚かな作戦を遂行し
苦しみ続ける事になるのです。
このシリーズで
本作品を選ばせて頂いた理由は3つ。
推薦理由①
戦争に参加する人間は
それぞれ身勝手な思惑によって
行動しているという事が
描かれた映画だから
本作の舞台は
第二次世界大戦末期の東部戦線。
緒戦ではソ連に優勢だったドイツ軍も
戦争末期は敗戦続きで
クリミア半島まで撤退を余儀なくされます。
勝ち戦のソ連軍の士気は高く
休む間もない攻撃の連続を加えてきますので
ドイツ軍はボロボロ。
けれど、そんな状況においても
全くひるむことなく
ソ連軍に奇襲を繰り返し
戦果を挙げ続けている部隊がありました。
その部隊はドイツ国防軍の
シュタイナー曹長が率いている小隊!
↑銃撃、特攻、奇襲、暗殺。
何でも来いの職業軍人シュタイナー曹長。
あれ?
(・_・;)
第二次世界大戦のドイツ軍って
ナチス親衛隊や突撃部隊じゃないの?
↑ドイツ軍って、こういう軍服じゃないの?
(「鷹は舞い降りた」より)
はい。
そこがナチスドイツの複雑なところ。
党としては新興のナチスが国政を握った後
ナチスの軍隊も創立されますが
ナチスが結党する前から存在していた国軍は
ドイツ国防軍という
ナチスとは別系統の軍隊だったのです。
…という事はドイツ軍は
二つの組織で戦場していたの?
そうなんです。
ヒトラーに絶対の忠誠を誓う
ナチス親衛隊とはちがい
シュタイナーの戦う目的はドイツの勝利!
↑ナチスのために戦ってんじゃねぇぜ!
けれどシュタイナーが勝利を重ねると
相対的にナチス親衛隊の評価は下がりますよね。
そう。
国の存亡に関わる状況下でも
俺たちの影が薄くなって困りますよね…
その事を分かっているシュタイナーは
前線の指揮官に向かい
私は全ての将校が嫌いです!
とハッキリ言ってしまうタイプの無骨な男。
けれど、そんな東部戦線に
元プロイセン貴族でナチス親衛隊将校の
シュトランスキー少尉が赴任してきます。
名家の出身であるシュトランスキーは
成り上がりのヒトラーとナチスを
心の中では軽蔑していますが
軍人としての功績を得る事を夢見ており
あえてナチス親衛隊に入隊し
苦戦の東部戦線に志願してやって来ました。
↑やぁ諸君、みんなで伝説を作ろうじゃないか!
つまりシュトランスキーが前線に来た目的は
戦闘に参加するのではなく
名指揮官としての評価を欲していただけ!
勝利する事だけを目指す
最前線の職業軍人のシュタイナーと
名誉だけを望んでいる
プライドだけの男シュトランスキー。
どう考えても二人は
シュタイナーが、自分が活躍したと証言してくれれば
鍵十字勲章がもらえると考え
シュタイナーを懐柔しようとしますが…
↑シュタイナーは、シュトランスキーのような人間を
心から嫌っている男だったのです!
さて、そんな二人は
地獄と化した東部戦線において
果たして生き延びる事ができるのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。
↑けれど彼らの戦場は
勲章がもらえるような状況ではなく
死と敗北の香りが漂う、地獄と化した東部戦線!
けれどシュトランスキーは
そんな状況も知らずにやって来たのでした…
本作における戦場の描写は
苛烈を極めます!
ソ連は子供を前線に立たせ
せっかくシュナイダーが捕虜として助けた少年も
解放して家に帰らせようとしたにも関わらず
ソ連側からの攻撃で死亡します。
↑まだ子供の兵隊を殺すのは忍びないので
シュナイダーは命令を無視して、少年を解放しますが
少年は味方に撃ち殺されてしまいます。
大人も子供も、男性も女性も
激しい戦禍に巻き込まれて死んでいく。
それが戦場の日常!
そんな世界にも関わらず
勲章をもらう事だけを夢見ているシュトランスキーは
とても愚かな人間に見えます。
けれど、ひたすら人を殺し続け
怪我をして病院に入院しても
すぐに出てきて戦場へ戻ろうとするシュナイダーも
とても正常とは思えません。
↑爆撃を受け、脳震盪を興して入院したシュナイダーは
病院での平穏な生活で狂いそうになり
急いで戦場へと戻ってきます。
シュナイダーもまた、戦場でしか生きる事ができない
心が壊れてしまった男なのです。
推薦理由②
戦争は、参加者全てに
狂気を植え付ける
本作のクライマックスでは
崩壊していく最前線にいるにも関わらず
最後まで愚行を繰り替えし
私欲のために、多くの仲間を犠牲にした
シュトランスキーに対して
堪忍袋の緒が切れたシュタイナーが
特別レクチャーを施し
シュナイダーの笑い声と共に映画は終わります。
↑そんなに勲章が欲しいなら
俺が特別にレッスンしてやるからついて来い!
二人の戦場に勝者はなく
ドイツも敗北して第二次大戦は終結します。
けれど…
映画の最後に戯曲家ブレヒトの
こんな言葉が添えられているのです。
彼の敗北を喜ぶなかれ。
世界は立ち上がり
あの畜生を阻止した。
だがそいつを産んだメス犬がまた
発情しているのだ
シュトランスキーと
シュナイダーの戦場は終結しましたが
今も世界では
新たなる戦争の火種がくすぶり続け
ひとたび戦場が生まれれば
戦闘だけでなく
戦争に参加した人々のエゴによって
無意味な惨劇が
きっとまた生み出されていくのです…
↑映画のラストに添えられた言葉。
サム・ペキンパー監督は
愚かな戦争を再び産まれさせないように
徹底的に残酷で愚かしい本作を
生み出したのだと思います。
推薦理由③
戦争とは
どんなに戒めたとしても
機会さえあれば…
と言う訳で次回は
理想と現実と戦争と
というテーマで
特攻大作戦
という映画を解説してみたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
本作の原題は「CROSS OF IRON」。
クロス・オブ・アイロンとは
シュトランスキーがずっと欲しがっていた
この鍵十字勲章の事です。
人間とは、こんな勲章ひとつのために
他者が死ぬことさえ許容する
恐ろしい生物なのです…
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