こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力とタイトルの女
というテーマで昨日に引き続き
蘭の女
という映画を
ご紹介させて頂ければと思います。
本作は公開当時
エロティックな映画として話題となった作品。
公開時のキャッチコピーも
開きはじめた花は、止まらない。
という煽情的なものでした。
↑原題も「WILD ORCHID(野生の蘭)」ですので
ほぼ原題通りの邦題ですね。
ですが、本作はエロティックな映画というより
退廃がテーマの作品なのです。
↑本作が描いているは、社会の規範から逸脱する
堕落への誘惑です。
このシリーズで
本作品を選ばせて頂いた理由は3つ。
推薦理由①
退廃的な人生観を描く
ザルマン・キング監督による
観念的な映画だから
本作で話題となったのは
ラスト10分のセクシャルなシーン!
↑若き日のミッキー・ロークと
モデル出身のキャリー・オーティスの絡みは
かなり衝撃的なシーンです。
確かにこのシーンだけ見れば
エロティックな映画のように思えますが
作品全体のテイストは
むしろエロティックなシーンを
できるだけ抑えようとしているのです!
↑この程度の絡みで終わるシーンが多い映画です。
本作のストーリーは
ブラジルに赴任した新人のエミリー弁護士が
謎めいたウィラーという男性に会い
今まで自分が知らなかった
煽情的な世界がある事を知っていくというお話。
↑今まで知らなかった、妖しい世界へようこそ
エミリーはテキサス出身の生真面目な女の子。
弁護士としてだけでなく
語学も堪能という才能を買われ
入社直後にブラジルに赴任し
リゾートの買収をサポートする事になります。
↑エミリーが語学を学んだ理由は
「自分が知らない世界を見たかった」から。
この言葉は後に
全く別の意味で実現する事となります。
おお
w( ̄Д ̄;)w
入社直後に、いきなり大抜擢ですね!
けれど現地に着いたエミリーは
上司のクラウディアに
買収の仕事とは関係ない任務を命じられます。
↑ブラジルに行くにも関わらず
厚着をしているエミリーを笑うクラウディア。
その任務とはウィラーという謎の男と
クラウディアの代わりに夕食を共にすること。
クラウディアはドレスを貸してくれたので
エミリーは黒いドレスを着て
ウィラーとの夕食に臨むことになりました。
↑はじめてのお仕事は、ドレスアップして
見知らぬ男を接待する事でした…
さて、謎の男ウィラーとは
一体どんな人間だったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。
↑捉えどころのない謎の男ウィラー。
本作はまるで
アダルト版の不思議の国のアリス。
見知らぬ情熱の国ブラジルで
謎の男ウィラーに連れまわされるエミリーは
背徳的な世界に迷い込みます。
↑仮面をつけたクラブに迷い込むエミリー。
私は一体どうなっちゃうの…
もし本作が
エロティックな映画だとするならば
エミリーとウィラーは
早々に関係を持ってしまうと思うのですが
ウィラーはエミリーに手を出しません。
↑会話はしますが、手を出さないウィラー。
彼が楽しんでいるのは
知らなかった背徳的な世界に動揺する
エミリーの姿を見る事。
↑半裸の人間が集まる妖しいクラブ。
こんな場所に来たことのないエミリーは
混乱し、嫌悪しながらも
背徳的な世界に惹かれていくのです。
そう。
本作が描いているのは
背徳的な世界を見てしまった人の心に生まれる
デカダンス(退廃)なのです。
↑こんな事しちゃいけないのに…
どうしてドキドキするの?
退廃とは
モラルを逸脱する背徳感の事。
↑エゴン・シーレの退廃
↑時計じかけのオレンジの退廃
↑キャパレーにおける退廃
健全な子供は見てはいけないし
見ても恐怖や嫌悪感しか感じない退廃は
普通の世界では満足できなくなった
歪んだ心が描き出す秘密の世界なのです。
推薦理由②
歪んだ心が創り出した
闇の美意識が
退廃の危険な魅力である
↑魔法少女まどかまぎかの退廃
一見すると謎に満ちたウィラーの行動も
唐突なドレスを貸してくれたクラウディアの行動も
退廃的な世界の住人たちなりに
ちゃんと理由があります。
↑映画のラストで語られるウィラーの過去。
彼は、歪んだ愉しさにしか
歓びの見出せない生い立ちだったのです。
では、そんな退廃に生きるウィラーに
エミリーは飲み込まれてしまうのでしょうか?
↑一緒に堕ちていくべきなのでしょうか?
本作ラストは
そんな退廃の世界が終わる時を
描いています。
退廃は人の心の歪みが生み出す
妖しいけれど魅力ある世界。
↑H・R・ギーガーの退廃
けれど、退廃よりも美しい世界が見つるのなら
人は退廃に耽溺しなくても
生きていけるものなのかもしれません…
推薦理由③
闇が生み出す美学は
人間らしい喜びを感じる事で
不要になるかもしれない
↑熱病のような退廃的な世界が晴れると
そこは南国の美しい空!
世界が変わったのではなく
ウィラーとエミリーが
自分たちの環境を変えていったのです。
↑ビックリするくらい明るい本作のラスト。
「イッツ・ア・カーニバル」という陽気なサンバに
「恐れなくていいよ」という語句が!
本作はデカダンスの妖しい魅力を描きつつ
そんな世界ばかりじゃないんだよ!
と、退廃の卒業方法を教えてくれているのです。
と言う訳で次回は
氷の悪女
シャロン・ストーン
というテーマで
悪魔のような女
という映画を解説してみたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑死と孤独に取りつかれていた頃の
オディロン・ルドンの絵は、とても退廃的ですが…
↑画壇で認められ、人気が出てくると
彼の絵から闇が去って行きます。
そう。
退廃は恐れなくて良いのです
(*´∇`*)
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