こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と
ヒスパニック見聞録
というテーマで
ゲルニカ
(1950年版)
という映画を
ご紹介させて頂ければと思います。
前回ご説明させて頂いたゲルニカは
スペイン内戦時の記憶を
映画として残しておく事を目的として
制作された作品。
爆撃シーンを映像化する事で
ゲルニカ爆撃を視覚的再現する事に
挑戦していました。
↑無差別爆撃の恐怖!
では
無差別爆撃への
怒りや哀しみやなどの感情
は
映画に残せなかったのでしょうか?
↑ピカソのゲルニカが
絵画的な怒りと哀しみの記憶なら
映像的な怒りと哀しみの記憶は残っていないの?
いいえ。
そんな
ゲルニカ爆撃の怒りと悲しみの記憶を
映像化した作品というのも存在するのです。
本日のゲルニカは
知性派映像作家アラン・レネによる
13分の短編映画。
↑アラン・レネは、後に「去年マリエンバートで」などの
超美麗な作品を撮っていく
フランスのセーヌ左岸派と呼ばれる
知性派監督です。
本作は
ピカソが描いたゲルニカをベースに
ゲルニカで起こった爆撃時の人々の感情を
映像に残しておこうと試みた映画。
↑写真さえほとんど残っていないゲルニカの惨劇を
どのように映像化していくのか?
この作品は
人間による演技ではなく
ポール・エリュアールの詩の朗読と
ピカソの描いた様々な絵を
モンタージュという手法を使って
ゲルニカで起こった悲劇を伝えようと試みます。
モンタージュとは
映像を繋ぎ合わせる手法のこと。
↑映像と絵画を自在に組み合わせていくモンタージュは
スマホの写真加工アプリなどを使いこなす
現代の人にとっては
なじみのある手法かもしれません。
本作でりコラージュは
絵画の世界のコラージュのように
ピカソの様々な絵が
ゲルニカの悲劇のために再構築されています。
↑ピカソの絵の一部を撮ったり
重ね撮りしたりして
ゲルニカでの悲劇を描いていきます。
ちなみに
絵画においてコラージュという手法を
発明したのはパブロ・ピカソ。
↑ピカソの発明した
“作品の再作品化”というコラージュ技法は
今でもデザイン界に恩恵を与えて続けてくれています。
つまり、この映画は
ピカソが爆撃に対する怒りを絵画表現した
ゲルニカという作品を
ピカソの発明したコラージュという手法を使用し
もう一つのゲルニカとして
再構築したもの
なのです!
↑ピカソの怒りの絵を素材として
映像的コラージュ=モンタージュした作品です。
使用された絵はゲルニカ以外の絵は
ピカソの青の時代の絵
青の時代とは、若い頃のピカソが
友人の死の際に感じた哀しみが
絵の中に描きこました作品群の事です。
↑なんだか寂しい青の時代の絵。
ゲルニカの物言わぬ人々の叫びと
青の時代の深い哀しみ
そして
ポール・エリュアールの詞が語る
怒りと悲しみに満ちた言葉は
ゲルニカで尋常ならざる事が起きた事を
いまも人々に伝え続けているのです。
↑ポール・エリュアールの詞は
マリア・カザレスによって切々と語られます。
機関銃は子供と戯れた。虐殺者たちは無邪気だ。
ゲルニカよ、罪なき者は罪に勝つ。
…そして観ている我々は言葉を失うのです。
↑ゲルニカで起こった事。忘れるべからず…
という訳で次回は
国内対立の悲劇
というテーマで
日曜日には鼠を殺せ
という映画を解説してみたいと思います。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑言葉は分らないかもしれませんが
ゲルニカの悲劇について強く訴える想いは伝わって来る
ゲルニカ(1950年版)は
YOUTUBEでも閲覧する事が可能です。
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