本日は

「バージンブルース」


という作品を通して

想像力と
中年ロードムービー

というテーマについて

考えてみたいと思います。






ロードムービーとは

逃避と
行き詰まり


物語です。






ほとんどの場合

主人公は青年。






現状に息詰まっていたり

社会に対して不満があったり

ここではない場所に
理想を求めたり

という理由で

現状から逃避

しますが

最終的には
息詰まってしまう

という

若い時には、誰もが体験する

現実逃避病

を映画として描いたのが

ロードムービーです。


↑アメリカの60~70年代に
多く作られたロード・ムービー。

「イージー・ライダー」
などが
代表作ですね(^^)






けれど、もし

中年のおじさんが

ロードムービーの主人公

だったとしたら

どんなお話になるのでしょう?






本日の

「バージンブルース」


中年男が

現状から逃避して

やがては息詰まる

という

中年哀歌

のようなお話です。





けれど

映画の冒頭は

女の子の浪人生2人

が主人公のように描かれているので

一見すると

女の子のロードムービー

のように見えます。


↑中央の女の子は
秋吉久美子。

可愛いけれど
何を考えているか見えずらい
女の子です







女の子たちは浪人生。






日ごろの鬱憤を晴らすため

集団で万引きを行いますが

店に発見され

仲間は逮捕されてしまいます。






主犯格の女の子は

現場から逃走しますが

もう

下宿先へも帰れません。






だから

逮捕されるくらいなら

共犯で同郷の子と一緒に

岡山の実家に帰ってしまおう!

と考えます。






けれど

二人はお金がありません。






そこで

知り合いの

中年脱サラおじさんに

お金を借りようとするのです。






中年脱サラおじさんは、

人生から
逃避し続けている

ような男。






脱サラして起こしたラーメン屋は

経営が上手く行かず

店は奥さんに任せっきりで

日々、金策に歩き回ります。






と言っても実際は

街をフラフラして

ナンパしているだけの日々。






彼自身の人生は

既に

ロードムービー的には
終っている

のです。






けれど彼は

二人と一緒に岡山へ

行くことにするのです。






万引きの主犯格ではない

大人しそうな女の子の実家は

山林を持っているようなので

上手く説得して

儲け話にしよう

と考えたのです。

↑ウブそうだし
中年の魅力で騙せるかも…






けれど

彼女と旅をするうちに

おじさんの心の中に

次第に

彼女を守ってあげたい

という感情が

芽生えてくるのです。


↑岡山に到着後、
主犯格の少女と別れ
おじさんとおとなしい少女だけの
ロードムービーとなります






女の子は、

純情そうなタイプ。






はじめは

ナンパしたいと思っていたのですが、

なんとなく

彼女の純粋さを
自分の力で
守ってあげたい

という気になってくるのです。






さて

そんな

田舎出身の
純真そうな少女


現実に息詰まった
中年おじさん

の逃避行は

どんな結末を迎えるのでしょうか?






それは是非、皆さん自身で

ご覧になって頂ければと思います。






おじさんは

悪人ではありません。






と、言うよりむしろ

心の中で
ロマンを求めている

永遠の青年。





だからこそ

中年になっても

ロードムービーを

してしまうのです。






けれど青年とちがって

現実逃避に気づいても

もはや帰る場所はありません。





少女に勝手に

自分の夢を投影した

おじさんの逃避行は

青年のような切迫感や

未来への希望を感じない

喜劇と悲劇の交じり合った

破滅への道です。






これはこれで

観ていて痛い
ロードームビー


なのです。






ではまた(*^ー^)ノ


タイトルの「バージンブルース」とは
当時流行った野坂昭如の
フォーク・ソング

70年代の
やさぐれ感の出た
不思議と耳に残る歌なのです。