東北地方太平洋沖地震は、2011年(平成23年)3月11日(金)の14時46分頃に、宮城県牡鹿半島の東南東約130㎞(北緯38.0°、東経142.9°)、深さは約24㎞で発生した、マグニチュード(M)は8.8、最大震度7の大地震である。
これにより、気象庁は、北海道から徳島県の太平洋岸に大津波警報を発令した。
なお、津波は場所によっては地震発生後直ちに到着し、福島県相馬市では最大7.3mを超える津波が発生した。
また、マグニチュード(M)8.8の地震は国内では過去最大級で、最大震度7は、2004年(平成16年)の新潟県中越地震(10月23日17時56分)以来である。
(気象庁は、後にマグニチュード(M)8.8をマグニチュード(M)9.0に修正している。)
- 各地の震度状況(3月11日15時26分頃)
- 震度7:宮城県栗原市築館
- 震度6強:宮城県南部、宮城県中部、福島県中通り、福島県浜通り、茨城県北部、茨城県南部、栃木県南部
- 震度6弱:岩手県沿岸南部、岩手県内陸北部、岩手県内陸南部、福島県会津、栃木県北部、群馬県南部、千葉県北西部
- 経過概略(一部省略)
- 3月11日14時46分頃:三陸沖(北緯38.0°、東経142.9°)、深さは約24㎞で、マグニチュード(M)8.8最大震度7
- 3月11日15時06分頃:三陸沖(北緯38.0°、東経142.9°)、深さは約10㎞で、マグニチュード(M)7.0最大震度5弱
- 3月11日15時15分頃:茨城県沖(北緯36.0°、東経141.2°)、深さは約80㎞で、マグニチュード(M)7.4最大震度6弱
- 3月11日15時26分頃:三陸沖(北緯38.0°、東経144.7°)、深さは約10㎞で、マグニチュード(M)7.2最大震度4
- 3月11日15時41分頃:岩手県沖(北緯39.4°、東経142.1°)、深さは約50㎞で、マグニチュード(M)5.7最大震度4
- 3月11日15時46分頃:宮城県沖(北緯38.8°、東経142.3°)、深さは約10㎞で、マグニチュード(M)5.7最大震度4
- 3月11日16時15分頃:福島県沖(北緯36.6°、東経142.2°)、深さは約10㎞で、マグニチュード(M)6.8最大震度4
- 3月11日16時29分頃:三陸沖(北緯39.0°、東経142.8°)、深さはごく浅く、マグニチュード(M)6.6最大震度5強
これにより、気象庁は、大津波警報や津波警報の発令した地域を追加した。
- 各地の震度状況(3月12日(土)3時59分頃)
- 震度6強:長野県栄村北信
- 震度6弱:新潟県十日町市、新潟県津南町下船渡
東京電力・福島第1原子力発電所
東京電力(株)福島第1原子力発電所とは、福島県双葉郡大熊町及び双葉町に、東京電力(株)が建設した原子力発電所である。
東京電力(株)福島第1原子力発電所は、1号機から6号機までの6つの原子炉を保有し、総出力は469万6千kWとなっており、東京電力(株)初の原子力発電所である。
東京電力(株)福島第1原子力発電所の営業運転は、1号機が1971年(昭和46年)3月、以降順次営業運転が開始されており、6号機は1979年(昭和54年)10月である。
東京電力(株)福島第1原子力発電所1号機 では、第15回(1991年(平成3年))と第16回(1992年(平成4年))の原子炉格納容器漏洩率検査において、東京電力社員による不正行為が行われていたことが発覚して、2002年(平成14年)11月29日から1年間、経済産業大臣から運転停止処分を受けていた。
2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震により、運転中だった1号機から3号機では炉心溶解が発生し、定期検査で停止中だった4号機でも燃料棒の溶解が発生した。
なお、東京電力(株)は、新潟県柏崎市と刈羽郡刈羽村に、世界最大級の東京電力・柏崎刈羽原子力発電所を建設し、営業運転をしている。
1号機 | 沸騰水型軽水炉(BWR) | 1971年3月26日 | 46.0万kW | GE製 | 運転中 | 建屋損傷 |
2号機 | 沸騰水型軽水炉(BWR) | 1990年9月28日 | 78.4万kW | GE/東芝製 | 運転中 | 建屋損傷 |
3号機 | 沸騰水型軽水炉(BWR) | 1993年8月11日 | 78.4万kW | 東芝製 | 運転中 | 建屋損傷 |
4号機 | 沸騰水型軽水炉(BWR) | 1994年8月11日 | 78.4万kW | 日立製 | 停止中 | 建屋損傷 |
5号機 | 沸騰水型軽水炉(BWR) | 1990年4月10日 | 78.4万kW | 東芝製 | 停止中 | - |
6号機 | 沸騰水型軽水炉(BWR) | 1996年11月7日 | 110.0万kW | GE/東芝製 | 停止中 | - |
- 東京電力(株)福島第1原子力発電所の事故経過
- 3月11日:原子力災害対策特措法 第10条第1項に基づいて関係行政機関に通報。内閣総理大臣が原子力緊急事態を宣言。避難指示発令(半径3㎞圏内)。
- 3月12日:1号機で炉心溶解及び爆発。発電所周辺でセシウム(Cs55)を検出。避難指示拡大(半径20㎞圏内)。
- 3月14日:3号機で炉心溶解及び爆発。避難指示継続(半径20㎞圏内)。
- 3月15日:2号機で炉心溶解及び爆発。4号機で爆発。発電所正門付近で8.217ミリシーベルト/hの放射線量を検出。
- 3月28日:発電所付近でPu238、Pu239及びPu240の3種類を検出。
シーベルト・ベクレル
シーベルト(Sievert)とは、放射線によってどれだけの影響を受けるかを表わす量の単位であり、生体(人体を含む)に与える影響も加味した放射線の強さのSI系単位である。
従来、レム(rem)と言う単位が使われていた。
1rem=0.01Sv
なお、人間は、自然界から1年間におよそ2.4mSv(2,400μSv)被曝していると言われている。
ベクレル(Becquerel)とは、放射性物質が1秒間にいくつ崩壊(放射線の放出)するかを表わす単位であり、放射性物質が放射線を出す能力を表すSI系単位である。
したがって、ベクレルで表される量は、放射線のエネルギー量や危険度とは比例しない。
また、従来は、キュリー(Curie)と言う単位が使われていた。
1Ci=37GBq
すなわち、あるベクレル量の放射性物質があったとしても、放射性物質と生体(人体を含む)との間に遮蔽物があれば、遮蔽物の厚さや性質によって被曝するシーベルト量が異なる。
しかし、このあるベクレル量の放射性物質を、吸引あるいは食べたりすると直接体内に取り込まれることになり直接被曝となりシーベルト量も大きくなる。
d | deci | 10-1 | da | deca | 101 |
c | centi | 10-2 | h | hecto | 102 |
m | milli | 10-3 | k | kilo | 103 |
μ | micro | 10-6 | M | mega | 106 |
n | nano | 10-9 | G | giga | 109 |
p | pico | 10-12 | T | tera | 1012 |
f | femto | 10-15 | P | peta | 1015 |
update:2011.03.31