4月の頃の陽気になる、と聞いて久しぶりに自転車に乗ってみることにした日曜日。


タイヤに空気を入れてチェーンに油をさす。ズボン下ははかず、薄めのダウンを着る。ただし、帽子は二重に被り、手袋もはめた。寒暖両睨みの態勢だ。


川越へ参る。



行くぞ、金剛号。


九里よりうまい十三里。川越は江戸から十三里。川越の名物は栗よりうまいさつまいもである。だが、今日のお目当てはさつまいもではない。

自宅から川越までは約30キロだ。自分の鈍足でも2時間半あれば届く。とにかく真北に走ればいずれ川越には着く。

とはいっても無闇に北を目指すことはない。所沢まではかつての鎌倉街道中の道という古道に沿った府中街道を、所沢からは所沢川越道路というわかりやすい道が走っている。

自宅を出たのが9時半だった。所沢通過は10時40分。府中街道は名前は立派だが概ね細い道で、車道が混んで来ると思わず歩道を走りたくなる。その歩道も狭かったりする。しかし途中までは新府中街道が作られている。これが所沢まで貫通すれば車も自転車もずいぶん走りやすくなるだろう。

所沢川越道路は所沢の町を抜けると一本道になる。道は広いとはいえないが、信号は少なく、府中街道に比べるとかなり走りやすい。川越に着いたのは12時10分頃だった。まずは昼ごはんだ。

往きの記録。



先週の日曜日の夜からおれはベジタリアンになった。高菜炒めと冷奴があればなんてことはない。金曜日の昼は娘とマックのテイクアウトを利用した。さすがにビッグマックセットを食べちゃおうかな、と思ったが初志貫徹、ポテトだけにした。じゃがいもは野菜だ。

川越といえば鰻や武蔵野うどんが有名だ。しかし鰻屋はとても混んでいるし、うどんではチカラが出ない気がする。今日は日曜日、自転車で少なくても60キロは走るし、いわゆるチートデイにしよう。自分を許す。

餃子が食べたい。餃子は肉料理のようだが多分野菜の方が多い、ヘルシーな料理だ。川越には王将と日高屋が隣接してある。ダブル餃子定食なら日高屋には小さいながらも唐揚げが2つ付いてくる。日高屋にしよう。ごはんは当然大盛りだ。なんだかヘルシー路線からややはずれかけて来た。



それどころか、実は、土曜日もチートデイにしてしまっていた。何を食べたかというと、忠豊のチャーハンである。


これがそれ↓。



 

普通盛りでも普通の店の大盛りより多い。焼き豚がゴロゴロ入っている。これを大盛りにするととてつもない量になる。大盛りは4回食べたことがあるが、2勝2敗である。2回は容器に入れて持ち帰った。


さて、日高屋ではカウンター席の隣の先客のおっさんがレバニラ炒めを肴に酎ハイを飲みまくっていた。おれが確認しただけでも3杯は飲んでた。仕上げにチゲラーメンみたいなものをすごい勢いで食べて出ていった。自転車だって飲んで乗ってはいけない。じっと我慢だ。


そろそろ店を出ようかな、と思ったらおっさんのあとに隣の席に座った若い女性にビールが運ばれて来た。やるな、この娘。


腹が一杯になった。次は喜多院へ向かう。お詣りしておこう。



今日は喜多院には人が普段より多かった。まだ初詣の名残りみたいなものがあるのか。



そしていよいよお目当ての駄菓子屋のあさひ堂さんへ。ここでベビードーナツを買う。娘の大好物なのだ。去年買いに来たら暑い時期は傷みやすいからベビードーナツは扱わないの、と店の奥様に言われてがっくりきたのだった。だから夏に来たのが最後ということになる。暑い時期によく自転車で川越まできたものだ。



店に入ると奥様が気がついてくれて、すぐにベビードーナツの棚に案内してくれた。十数年来、川越にくるたびこの店には寄るからちょっとした常連なのだ。


さて来た道とは違う道で帰るのが自分流の旅だ。それは散歩でも、サイクリングでも、鉄道でも飛行機でも基本的には変わらない。


今日は川越街道で遠回りして帰ることにした。遠回りといっても所沢からは府中街道を走ることにはなるのだが。


川越街道は今では国道254号線という幹線道路になっているが、川越から江戸に向かうと町を出てすぐに旧街道がそれに並行して走っている。道は細いが国道に比べて車の量が断然少ないし、なんとなく風情がある。もちろんその道を行く。



ふじみ野市をかすめて所沢へ出る。ふじみ野市の隣りは富士見市だ。どっちかが名前を譲るつもりはなかったのか。遠隔地に住む者が訪れると混乱する。


所沢のスーパーでコーヒー牛乳を買って飲む。脱水はきわめて危険だ。身をもって知っている。


府中に入ってロピアで高菜漬け300グラム入りを3袋買う。高菜はもはや毎晩のメイン料理と言える。これを切らしたら大変だ。一袋99円と激安なのは中国製だからだが、中国にも高菜というものがあるのだろうか、とふと疑問に感じた。


東坡肉という料理で豚肉の下に敷いてある野菜は高菜に似ている。あれを高菜と呼んで使っているのかもしれない。まあ、うまければよいのだ。安すぎて安全面が気になるが、うちでこれを食べるのは自分だけだからあまり気にすることもない。


帰宅した。



地図を見るとたいして遠回りしていないことに気づく。距離にして4キロほどしか余計に走っていない。



娘が塾に行ったあとだった。この袋をテーブルに置くと猫ちゃん三銃士が寄ってきてクンクンしていたが、ふん、とそっぽを向いてそれぞれ別の方向に散っていった。