授業参観終ったよ。 | アメリカおばさんのブログ

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アメリカの学校の先生と日本語学校の補習校の先生をしています。教育のこと、習慣の違いに驚いたこと日々感じたこと、起こったことなど独り言を書いてみたいと思っています。趣味は料理です。

高校生になるとお父さんやお母さんには「来て」と言わないのかしら。授業参観は2年生と3年生の授業を見てもらったんだけど、3年生のお母さんは一人だけ。2年生も8人ぐらいだったかしら。
張り切っていたんだけどちょっと寂しい。
やはり教育熱心なお母さんやお父さんしか来てくれないのかな。
「もう来なくていいってお母さんに言った」と言いながら、やはり来てくれると嬉しそうだった。

実は高校3年生は毎週受験のためのテストをしているのです。だからせっかく来てもらっても参観する人はつまらないかも。でも一人だけでもお母さんが来てくれたので私はすごく嬉しかった。子供さんがどんな勉強をしているか、テストをしているかを見てもらうために子供さんの行っているテスト問題を渡しました。

高校2年生の現在学んでいるところは評論で「水の東西」。
評論はあんまり面白く無いかもしれないけど、特別に授業参観の為の授業をしてもよかったんだけど、いつも通りの授業も良いかもしれないとあえて特別の授業はしませんでした。
でも楽しそうにしている雰囲気をみてもらえたみたいです。

授業参観で解放されている時間は2時間目と3時間目。
私のアメリカで働いているボスも見に来てくれました。
アメリカ人にとって日本の教育にはすごく興味があるそうです。
特に小学生中学生。「どうして日本人の生徒はこんなに優秀なんだろう、行儀がいいのだろう。」と思うんだって。
授業参観はオープンなんだけど、開放なんだけど、一応事前に校長先生に報告しておきました。アメリカ人の私の先生仲間が来るということを。


そして、4時間目の高校1年生の授業は授業参観の終った後の授業。
親は来ないんだけど、この1年生の授業参観を本当は見て欲しかったな。
ある女の子の笑いが止まらないの。ほかの女の子も笑うし、男子も驚いている。
どうしてかというと、今高校1年生は芥川龍之介の「羅生門」を勉強していて、これは小説なので結構楽しい。内容は恐ろしい話なんだけど。

さびれた羅生門、その羅生門には死体が捨てられている。仕事を無くした下人が一晩の雨宿りをこの羅生門でしようと死体が捨ててある2階へあがると、そこは真っ暗なはずなのに死体だけのはずなのに明かりが揺れている。猿のような老婆が女の死体から髪の毛を一本一本抜いている。
「おのれ、ここでなにをしておる。」肉食鳥のような目をした老婆は「この髪を抜いてな、この髪をぬいてな、かつらにしようと思うたのじゃ。」

私が教科書を範読すると笑うのよ。登場人物の老婆の声をしわがれた声で、また登場人物で主人公の下人の声を男の声にも感情を込めて読む。
そして、
「ほら老婆のように目をかあっっっと開いてごらん。皆もやってご覧。」
みんな老婆の顔のものまねだ。
こんな授業をする先生は他にいるだろうか?真面目な先生にみられるとおしかりを受けそうだ。

「先生の声ドラえもんの声に似ている」と男子。物まねが得意な私。「そうだよん。やってあげようか?」ドラえもんの声で授業を続けた。
それからジャイアンの声で下人のセリフを読む。

感情を込めて私が読むものだから、本当に怖がる女の子や笑い出す子がいて。いつもうるさい男子も絶句。
失敗失敗。楽しいけど脱線だ。しかし私の指導案通り、下人の心理の移り変わりはよく理解出来たようだ。
この羅生門には色々な色が出てくる「丹色、ひわだ色、山吹色」
からすが胡麻をまいたように、とか、羅生門の色あせた丹色の柱に一匹のきりぎりす(こおろぎ)がとまっている。とかそれから動物のたとえが多い。下人は猫のように背をまるめて、ヤモリのように体を平たくしてとか、猿のような老婆とか。ここの動物のたとえを実際にやらせたりした。
色のサンプルも事前に用意しておいたので難しい色、どんな色かも理解出来たと思う。
そして、最後に、下人は老婆の着物を剥いで暗い闇に走リ去るの。

「さて問題です。このあと下人はどうしたのでしょう?」
「え?このお話続きがあるの?」
「ないよ。自分で想像するんだよ。みんなどう思う?」
「えーとね、これから盗人になる。」
「はいだ着物を売る?」「死んじゃうのかな。」
みんな色々な意見や考えが出た。あんまり手を挙げない子もそれぞれ自分の意見や考えを言った。
今回の私の指導案の予定通り、それぞれ想像させることが出来た。目標達成だ。

それから下人にはにきびがあった。「このにきびということからどんなことが分かる?」「え?」
「年齢がわかるでしょ?」「え?大人にもにきびって出来ない?」「大人は吹き出ものだよ。」
「ずーっと下人はにきびを触りながら勇気が出なかったんだよね。この勇気ってどんな勇気?そして、最後ににきびから手を離すよ。そしてある勇気がでた。ここも下人の心理がよくでているね。」
悩んでいて、死ぬか、盗人になるか。盗人になる勇気がにきびから手を離したということで分かるの。