前回の続きです。


 

オホンと一つ咳払いをすると学者は話を続けました。

「では、ステッープパートの乗り越え方についての説明ですな。需要に供給が追いつきバランスが取れると、もうそれ以上商品が売れなくなってしまう。この時どうするかというと、商品の多様化を進めるわけですな。具体的には自動車メーカーでいうと、一般車のニーズは限界に達したから、より速い車を欲しがる若者が多いからスポーツカーを作ろうとか。ガソリン代が高いという声が多いから低燃費車を作ろうといった具合に、消費者のより細かいニーズに合った商品を市場に展開しようとするわけですな。ではこれで売上が伸びるのかというと、そうはいかないのです。なぜかというと、ライバル会社もまた同じように、スポーツカーや低燃費車を市場に展開してくるからです。そこで次に何をするのかというと、さらに細かい利便性の向上や、商品によって違いますが娯楽要素の向上を図るわけです。例えば車でいえば、座席の形を体にフィットするように工夫しましたとか、スマートキーでドアノブに触れるだけでロックが解除されますよ、といったように小さな工夫をしてライバル他社との違いを出そうとするわけです。ではこれで売上が伸びるのかというと、これまたそうではないとなるのです。自社がライバル他社との差をつけるために小さな工夫を凝らすと、ライバル他社はそれを見て真似をして同じような小さな工夫を凝らした車を市場に出してくるためすぐに差がなくなってしまうからです。となるとステッープパートではどんなに頑張っても現状維持しか出来ないのではないのかとなりますが、一つだけそこから抜け出し売上を向上させる方法があるのです。皆さん、それが何かお分かりですかな?・・・ん、なんですか。ジャーーーンプですと。なにを言っているのですか、今はステッープパート話ですぞ。そりゃジャーーーンプを行えば市場は独占できますが、そう簡単にジャーーーンプは起きませんぞ・・・他には、なにかありますか?・・・ん、分からない・・・・そうでしょう、そうでしょう。だからあなた方の会社の商品は、いつまでたっても売れないというわけですな。いいでしょう、いいでしょう。お教えしましょう・・・このことについては、ある有名な偉人が商売の真理ともいえる言葉を残していますので、そちらをご紹介したいと思います・・・その言葉とは、何か知っていますかな?・・・その言葉とは<商売は爆発だ!>ですぞ・・・聞いたことはありますかな?・・・ん、どうしました。ざわついているようですが?・・・<商売は爆発だ!>ですぞ。聞いたことはないですか?・・・ん、なんですって・・・芸術?・・・芸術がどうかしたのですか?今はビジネスの話をしているのですよ。皆さん私語は謹んでくださいね。<商売は爆発だ!>ですぞ・・・では皆さん<商売は爆発だ!>の意味が分かりますか?・・・ん、分からない。芸術だったら知っている?ですって・・・・何を言っているのですか。まったく困た人達ですね・・・まあ素人の皆さんでは分からないのも無理はないですな。いいでしょう、すぐには分からない、そういったものです。ですが、想像ぐらいはしてみましょう。何でもかんでも人に聞いていたのでは、なかなか身につきませんからな。何でもかまいません。分かる方はいませんか?・・・ん、なんですか?・・・お店に爆弾をしかける。ですって!何を言っているのですか、あなたは!なんで爆弾なんか仕掛けるのですか!?・・・いいですか<商売は爆発だ!>は、比喩ですよ比喩!比喩を知らないのですか?あなたはテロリストか何かですか?・・・まったく直訳してどうするんですか。ほんとに・・・いいですか比喩ですよ、間違わないで下さいね。<商売は爆発だ!>ですよ、<俺の商売は爆弾だ!>ではないですよ、間違ってテロリストにならないようにして下さいね・・・ではどういった意味かといいますと、これを買いたいという強い衝動を心の中で起こさせるという意味です。ようは衝動買いをさせるということですな。ではなぜ人は衝動買いをするのでしょうか?簡単な話です。その商品が他の商品とは明らかに違って魅力的に見えるからです。もちろんただ違っているだけでは、衝動買いはしませんぞ。例えば一般車にはもうあきた、もっと速い車が欲しいというニーズが強いとして、よし分かった一番速いF1カーを売ろうじゃないかとか。ガソリン代が高いから低燃費車が欲しいというニーズが強いとして、よし分かった一番燃費の良いソーラーパネルカーを売ろうという会社があったらどうなりますか?もちろん言うまでもなく、そんな会社は倒産しますぞ。心の中に衝動を起こさせるためには、他の製品との明らかな違いが必要にはなりますが、商品にはその商品を利用するための主体というものがある。自動車なら、人間や荷物を他の離れた場所まで簡単に低コストで移動させるというのが自動車の主体になりますぞ。F1カーやソーラーパネルカーはそれぞれの用途では優れてはいますが、明らかに自動車の主体からはかけ離れているため売れないというわけですな。その製品の主体を無視して作ったような製品は、他の製品といくら差別化しようとも需要が無いため売れないというわけですな。ではどうやって<商売は爆発だ!>という衝動を起こさせるのかというと、それはほんのささいな事だとなります・・・分かりますかな?・・・」


 

つづく。


 

では、続きは次回としたいと思います。

 

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